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化鳥(けちょう)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-8-22 13:20:43 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语



     第十二

れかゝると彼方あつちひとならび、此方こつちひとならび縦横じうわうになつて、うめとび々にくらくなる。えだ々のなかの水田みづたみづがどむよりしてよどむでるのに際立きはだつて真白まつしろえるのはさぎだつた、二羽には一処ひとところにト三羽さんば一処ひとところにトてそして一羽いちはが六しやくばかりそらなゝめあしからいとのやうにみづいてつてあがつたがおとがなかつた、それでもない。
かはづ一斉いつせいきはじめる。もりくらくなつて、やまえなくなつた。
宵月よいづきころだつたのにくもつてたので、ほしえないで、陰々いんいんとして一面いちめんにものゝいろはいのやうにうるんであつた、かはづがしきりになく。
あをいでたかところしゆ欄干らんかんのついたまどがあつて、そこが母様おつかさんのうちだつたとく、あほいでたかところしゆ欄干らんかんのついたまどがあつてそこからかほす、其顔そのかほ自分じぶんかほであつたんだらうにトさうおもひながらやぶれたかきあなとここしをかけてぼんやりしてた。
いつでもあのはねへたうつくしいひとをたづねあぐむ、そのひるのうち精神せいしん疲労つかれないうちはいゝんだけれど、ぎて、そんなにおそくなると、いつもかう滅入めいつてしまつて、なんだか、ひとはなれたやうな世間せけんとほざかつたやうながするので、心細こゝろぼそくもあり、裏悲うらかなしくもあり、覚束おぼつかないやうでもあり、おそろしいやうでもある、いや心持こゝろもちだ、いや心持こゝろもちだ。
はやかへらうとしたけれどおもくなつて其癖そのくせ神経しんけいするどくなつて、それでてひとりでにあくびがた。あれ!
あかくちをあいたんだなと、自分じぶんでさうおもつて、吃驚びつくりした。
ぼんやりしたうめえだをのばしてつてるやうだ。あたりを※(「目+旬」、第3水準1-88-80)みまはすとまつくらで、とほくのはうで、ほう、ほうツて、ぶのはなんだらう。えたとほこゑ野末のずゑおしひろげるやうに、く、トントントントンとこだまにあたるやうなひゞきがとほくからるやうにこえるとりこゑは、ふくらうであつた。
ひとツでない。
ふたツもみつツも。わたしなにはなすのだらう、わたしなにはなすのだらう、とりがものをいふと慄然ぞつとして慄立よだつた。
ほんママうに其晩そのばんほどこはかつたことはない。
かはづこゑがます/\たかくなる、これはまた仰山ぎやうさんな、何百なんびやくうして幾千いくせんいてるので、幾千いくせんかはづひとひとがあつて、くちがあつて、あしがあつて、身躰からだがあつて、みづなかて、そしてこゑすのだ。ひとひとツトわなゝいた。さむくなつた。かぜすこがゆつさりうごいた。
かはづこゑがます/\たかくなる、てもつてもられなくツて、そつとうごした、身躰からだうにかなつてるやうで、すつとれないでつくばつた、すそあしにくるまつて、おびすこゆるむで、むねがあいて、うつむいたまゝ天窓あたまがすはつた。ものがぼんやりえる。
えるのはだトまたふるママた。
ふるママながら、そつと、大事だいじに、内証ないしやうで、手首てくびをすくめて、自分じぶん身躰からだやうとおもつて、左右さいうそでをひらいたときもうおもはずキヤツとさけんだ。だつてわたしとりのやうにえたんですもの。んなにこはかつたらう。
此時このとき背後うしろから母様おつかさんがしつかりいてくださらなかつたら、わたしうしたんだかれません。それはおそくなつたからくだすつたんでくことさへ出来できなかつたのが、
母様おつかさん!」といつてはなれまいとおもつて、しつかり、しつかり、しつかりえりとこへかぢりついて仰向あふむいておかほとき、フツトいた。
うもさうらしい、はねへたうつくしいひとうも母様おつかさんであるらしい。もう鳥屋とりやには、くまい、わけてもこのこはところへと、其後そののちふつゝり。
しかしうしてもても母様おつかさんにうつくしい五色ごしきはねへちやあないから、またさうではなく、ほかにそんなひとるのかもれない、うしても判然はつきりしないでうたがはれる。
あめれたり、ちやうど石原いしはらすべるだらう。母様おつかさんはあゝおつしやるけれど、わざとあのさるにぶつかつて、またかはちてやうか不知しら。さうすりやまた引上ひきあげてくださるだらう。たいな! はねへたうつくしいねえさん。だけれども、まあ、いゝ母様おつかさんらつしやるから、母様おつかさんらつしやつたから。(完)

(「新著月刊」第一号 明治30年4月)




 



底本:「短篇小説名作選」岡保生・榎本隆司 編、現代企画室
   1982(昭和57)年4月15日第1刷発行
   1984(昭和59)年3月15日第2刷
※文字づかい・仮名づかいの誤用・不統一、促音「っ」「ッ」の小書きの混在は底本のままとしました。
※「猪子いぬしゝしてママ」は、底本では、「いぬしゝしてママ」となっていますが、初収録単行本「柳筥」では「いぬしゝ子にして」となっているため、上記のように改めました。
入力:土屋隆
校正:門田裕志
2003年4月10日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について
  • このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
  • [#…]は、入力者による注を表す記号です。
  • 「くの字点」は「/\」で、「濁点付きくの字点」は「/″\」で表しました。
  • 「くの字点」をのぞくJIS X 0213にある文字は、画像化して埋め込みました。
  • 傍点や圏点、傍線の付いた文字は、強調表示にしました。
  • この作品には、JIS X 0213にない、以下の文字が用いられています。(数字は、底本中の出現「ページ-行」数。)これらの文字は本文内では「※[#…]」の形で示しました。

    「さんずい+散」    39-4、53-4、53-15

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