海和尚、山和尚
とにかくに
また、別に
その夜半である。
大水をわたって来る者があるらしいので、李はそっと表をうかがうと、ひとりの真っ黒な、脚のみじかい和尚が水面を浮かんで近寄って来る。それが怪物らしいので、彼は大きい声をあげて人を呼ぶと、黒い和尚も一旦はやや退いたが、やがてまた進んで来るので、彼も今は途方にくれて、一方には人の救いを呼びつづけながら、一方にはそこにある竹杖をとって無暗に叩き立てているところへ、他の人びともあつまって来た。
大勢の人かげを見て、怪物はどこへか立ち去ってしまって、夜のあけるまで再び襲って来なかった。水が引いてから土地の人の話を聞くと、それは山和尚というもので、人が孤独でいるのを襲って、その脳を食らうのであると。
火箭
乾隆六年、
楊はしばらくその匣を撫でまわしていたが、やがて匣の上に
「卦は震で、おれの名の震に応じている。これはおれが開くべきものだ」
遂にその匣の蓋をひらくと、たちまちにひと筋の
九尾蛇
「山の中には怖ろしい物が棲んでいる。虎や狼ばかりでない」
茅もそこに泊まっているうちに、ある夜の月がひどく冴え渡った。茅は眠ることが出来ないので、戸をあけて月を眺めたいと思ったが、おどされているので、再三躊躇した。しかも武勇をたのんで、思い切って出た。
行くこと数十歩ならず、たちまち数十の
蛇は大樹の下に来ると、九つの尾を
茅は