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中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)04

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-8-27 17:42:45 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


   蛟を生む

 長沙ちょうさの人とばかりで、その姓名を忘れたが、家は江辺に住んでいた。その娘が岸へ出てきものすすいでいると、なんだか身内に異状があるように感じたが、後には馴れて気にもかけなかった。
 娘はいつか懐妊して、三つの生き物を生み落したが、それは小鰯こいわしのような物であった。それでも自分の生んだ物であるので、娘は憐れみいつくしんで、かれらを行水ぎょうずいたらいのなかに養って置くと、三月ほどの後にだんだん大きくなって、それがみずちの子であることが判った。蛟はりゅうのたぐいである。かれらにはそれぞれのあざなをあたえて、大を当洪とうこうといい、次を破阻はそといい、次を撲岸ぼくがんと呼んだ。
 そのうちに暴雨出水と共に、三つの蛟はみな行くえをくらましたが、その後も雨が降りそうな日には、かれらが何処からか姿を見せた。娘も子供らの来そうなことを知って、岸辺へ出て眺めていると、蛟もまたかしらをあげて母をながめて去った。
 年を経て、その娘は死んだ。三つの蛟は又あらわれて母の墓所に赴き、幾日も号哭ごうこくして去った。そのく声はいぬのようであった。

   秘術

 銭塘せんとう杜子恭としきょうは秘術を知っていた。かつて或る人から瓜をく刀を借りたので、その持ち主が返してくれと催促すると、彼は答えた。
「すぐにお返し申します」
 やがて其の人が嘉興かこうまで行くと、一尾の魚が船中に飛び込んだ。その腹を割くと、かの刀があらわれた。

   木像の弓矢

 孫恩そんおんが乱を起したときに、呉興ごこうの地方は大いに乱れた。なんのためか、ひとりの男が蒋侯しょうこうびょうに突入した。蒋子文しょうしぶん広陵こうりょうの人で、三国のの始めから、神としてここに祀られているのである。
 蒋侯の木像は弓矢をたずさえていたが、その弓を絞ってひょうと射ると、男は矢にあたって死んだ。往来の者も、廟を守る者も、皆それを目撃したという。





底本:「中国怪奇小説集」光文社
   1994(平成6)年4月20日第1刷発行
※校正には、1999(平成11)年11月5日3刷を使用しました。
入力:tatsuki
校正:もりみつじゅんじ
2003年7月31日作成
2003年9月29日修正
青空文庫作成ファイル:
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    「竹/斷」    64-3、64-3、64-6

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