報寃蛇
かつて南中に遊ぶ人があって、日盛りを歩いて林の下に休んでいる時、二尺ばかりの青い蛇を見たので、たわむれに杖をもって撃つと、蛇はそのまま立ち去った。旅びとはそれから何だか体の工合いがよくないように感じられた。
その晩の宿に着くと、旅舎の主人が怪しんで訊いた。
「あなたの
旅人はぼんやりして、なんだか
「きょうの道中にどんな事がありましたか」と、主人はまた訊いた。
旅人はありのままに答えると、主人はうなずいた。
「それはいわゆる『
旅人は
「構わないから
その通りにして待っていると、果たして夜半に家根瓦のあいだで物音がきこえて、やがて何物か
夜が明けて見ると、きのうの昼間に見た青い蛇がそこに
又こんな話もある。旅人が日暮れて宿に行き着くと、旅舎の主人と息子が客の荷物をじろじろと眺めている。その様子が怪しいので、ひそかに主人らの挙動をうかがっていると、父子は一幅の
旅人は
暫くして