餅二枚
その頃、ここらの地方は大
門を叩くと、やや暫くして一人の娘が出て来ました。周は泊めてもらいたいと頼むと、娘は言いました。
「
周はそこへ入れてもらいますと、娘はその前に立っていました。やがて妹娘も出て来ましたが、姉のうしろに隠れていてその顔を見せませんでした。周は自分が携帯の食事をすませて、女たちにも餅二つをやりました。
二人の女はその餅を貰って、自分たちの
いよいよ不思議に思って、戸を
周は後に、かれらの死体をみな埋葬してやったそうです。
鬼兄弟
軍将の
「わたしは鬼神であるから、人間と雑居するのを好まないのである。しかし君は堅固な人物であるから、兄分として交際したいと思うが、どうだな」
「よろしい」と、陳も承知しました。
その以来、陳と鬼とは兄弟分の交際を結ぶことになりました。何か吉凶のことがあれば、鬼がまず知らせてくれる。鬼が何か飲み食いの物を求めれば、陳があたえる。鬼の方からも銭や品物をくれる。しかし長い間には、陳もその交際が面倒になって来ました。そこで、ある道士にたのんで、訴状をかいて上帝に捧げました。鬼の退去を出願したのです。
すると、その翌日、鬼は大きい声で呶鳴りました。
「おれはお前と兄弟分になったのではないか。そのおれを何で上帝に訴えたのだ。男同士の義理仁義はそんなものではあるまい」
「そんな覚えはない」と、陳は言いました。
嘘をつけとばかりに、空中から陳の訴状を投げ付けて、鬼はまた罵りました。
「お前はおれの居どころがないと思っているのだろうが、おれは今から
鬼はそれぎりで跡を絶ったそうです。