国会は15日、民主、共産、社民の野党3党が共同提出した小泉内閣不信任決議案が衆院本会議で自民、公明の与党の反対多数で否決された。通常国会は16日閉会し、年金とイラクでの自衛隊の多国籍軍参加を二大争点とした与野党攻防は、参院選(24日公示、7月11日投開票)に移る。小泉首相にとっては、06年秋までの長期政権を賭けた信任選挙であり、民主党など野党には、低投票率が指摘されるなか、無党派層を中心に政権への批判票をどこまで動員できるかが問われる。
首相の自民党総裁任期は06年9月まで。首相は任期中、解散・総選挙は行わない考えを明らかにしており、その通りなら小泉政権が有権者の審判を受ける最後の機会となる。自民党は景気の回復基調を踏まえて「小泉改革」の3年間の実績を前面に打ち出すが、民主党など野党は、今国会で与党が採決を強行した年金改革関連法を批判し、最終盤で浮上した多国籍軍参加問題も民主党が15日に反対を決定。内政・外交の両課題で政権の姿勢をただす考えだ。
また、参院選は、昨年11月総選挙で各党が掲げたマニフェスト(政権公約)の実行ぶりが評価される初めての選挙でもあり、「マニフェスト選挙」が定着するかどうかの試金石にもなる。
自民党は今回、現有議席の51(欠員の鹿児島選挙区を含む)を勝敗ラインにしており、これを下回れば首相の進退問題に発展しかねない。56議席を獲得すれば89年以来の単独過半数回復となる。
岡田代表になって初めての国政選挙となる民主党は、改選議席で自民党を上回る50議席以上の獲得を目指す。公明党は現有10議席以上の確保が目標で、先の総選挙で退潮が目立った共産、社民両党は党勢回復のきっかけにしたい考えだ。
参院選の投票率は95年に戦後初めて50%を割る44.5%に落ち込んだ後、98年は58.8%、01年は56.4%。ただ、今回は、朝日新聞社の連続世論調査でも選挙への関心が高まっていない様子がうかがわれ、低投票率が懸念されている。
15日の内閣不信任案の提案理由説明には民主党の岡田代表が立ち、年金問題で「審議のやり方、説明責任のいずれについても大きな怒りが渦巻いている。首相では抜本改革はできない」とし、退陣を求めた。採決は反対が自民、公明の280票、賛成が民主、共産、社民などの193票だった。 (06/15 21:10)
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