南米最南端から人類が誕生した東アフリカまで、人力を頼りに踏破する「グレートジャーニー」を8年以上かけて達成した探検家・医師の関野吉晴さん(55)=武蔵野美術大教授(文化人類学)=が8日、日本人のルーツを探る旅に出る。「グレートジャーニー・ジャパン+海のグレートジャーニー」と名づけた今回のゴールは日本。日本人の祖先がたどったと考えられるルートを前回と同様、自転車や徒歩、カヤックなど近代動力に頼らないスタイルで移動しながら起源を探る。
ルートは最近の考古学、人類学、遺伝学などの研究により考えられている三つ。シベリアからサハリンを経由し北海道へ至る「北方ルート」、スンダランド(マレーシア・インドネシアとその近海にあった大陸)から航海によって海洋民が北上したと考えられる「黒潮ルート」、中国から朝鮮半島を経て日本列島に渡ってきた「中国ルート」。いずれの出発点もこれまでに関野さんが足跡を残した旅のルート上だ。そこから枝道を延ばすように日本列島まで到達させる。さらにヒマラヤからインドシナ半島を経てオセアニアに至る「海のグレートジャーニー」も計画している。
関野さんは「日本人はアジア系の多様な人が集まって形成されたいわばモンゴロイドのるつぼ。その多様性、多面性がみえてくるのでは」と期待する。「一番の目的は現地の人との出会い」という「関野流」はこれまで通り。各地で出会った人のほおの粘膜を採取してミトコンドリアDNAを調べることも考えている。
「北方ルート」からスタート。シベリアのネベールを自転車でこぎ出し、まずは2000キロ先の間宮海峡を目指す。還暦を迎える5年後までに全行程を終える予定だ。
(07/04 07:01) |