総務省は6月7日,日本のインターネット・バックボーンの在り方などを検討した「次世代IPインフラ研究会第1次報告書 バックボーンの現状と課題」を公開した。
第1次報告書では,インターネット・バックボーンの現状と課題が盛り込んだ。現在インターネットでやり取りしているトラフィック量,インターネット・インフラを構成する機器の性能がこの先のトラフィック増を考えると不安な面があること,光ファイバ量は十分であること,トラフィックの東京1極集中は今後検討すべき事項であること--などである。
特筆すべきは,総務省が初めて実施した国内のインターネット・トラフィックの調査の結果である。調査は,総務省が実施したアンケートに対してインターネットイニシアティブ,NTTコミュニケーションズ,ケイ・オプティコム,KDDI,ソフトバンクBBといった主要インターネット接続事業者(プロバイダ)14社が回答したことで実現したもの。
具体的には,(1)プロバイダ間の接続方法であるパブリック・ピアリング,プライベート・ピアリング,トランジットの回線容量はそれぞれ同程度,(2)主要プロバイダ間の接続にはピアリングが多用されていること,(3)主要プロバイダ間の接続場所は東京に集中していること,(4)地域間トラフィックは東京-大阪が7割を占めていること--が分かった。
次世代IPインフラ研究会の座長を務めた東京大学の斉藤忠夫名誉教授は,「これまでインターネット・インフラの現状は誰も分からなかった。通信事業者側は供給出来ない可能性に不安を感じ,ユーザーは利用できなくなる可能性に不安を感じてきた。報告書で現状が明らかになったことで適切な設備投資ができるのではないか」と報告書の意義を説明している。
次世代IPインフラ研究会は2004年12月まで続く予定。ただし,今後のテーマや会合の開催時期については現時点では未定である。 |