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北守将軍と三人兄弟の医者(ほくしゅしょうぐんとさんにんきょうだいのいしゃ)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-10-29 16:50:37 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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一、三人兄弟の医者 むかしラユーといふ首都に、兄弟三人の医者がゐた。いちばん上のリンパーは、普通の人の医者だつた。その弟のリンプーは、馬や羊の医者だつた。いちばん末のリンポーは、草だの木だのの医者だつた。そして兄弟三人は、町のいちばん南にあたる、黄いろな 坂のふもとで見てゐると、 さて三人は三人とも、実に医術もよくできて、また 二、 ある日のちやうど日の出ごろ、ラユーの町の人たちは、はるかな北の野原の方で、鳥か何かがたくさん群れて、声をそろへて鳴くやうな、をかしな音を、ときどき聴いた。はじめは そしてその日の 番兵たちや、あらゆる町の人たちが、まるでどきどきやりながら、矢を射る 「北守将軍ソンバーユーは
いま さあ城壁のこつちでは、やつとのことで戻つてきた。 勇ましい 実はすつかり参つて来たのだ とにかくあすこは寒い 三十年といふ黄いろなむかし おれは十万の軍勢をひきゐ この門をくぐつて威張つて行つた。 それからどうだもう見るものは空ばかり 風は乾いて砂を吹き おれはその間馬でかけ通し 馬がつかれてたびたびペタンと座り 涙をためてはじつと遠くの砂を見た。 その度ごとにおれは 塩をすこうし取り出して 馬に その馬も今では三十五歳 五里かけるにも四時間かゝる それからおれはもう七十だ。 とても帰れまいと思つてゐたが ありがたや敵が残らず 今年の夏はへんに湿気が多かつたでな。 それに脚気の原因が あんまりこつちを追ひかけて 砂を走つたためなんだ さうしてみればどうだやつぱり凱旋だらう。 殊にも一つほめられていゝことは 十万人もでかけたものが 九万人まで戻つて来た。 三十年の間には たとへいくさに行かなくたつて 一割ぐらゐは死ぬんぢやないか。 そこでラユーのむかしのともよ またこどもらよきやうだいよ 北守将軍ソンバーユーと その軍勢が帰つたのだ 門をあけてもいゝではないか。」 顔から肩から灰いろの、北守将軍ソンバーユーは、わざとくしやくしや顔をしかめ、しづかに馬のたづなをとつて、まつすぐを向いて先登に立ち、それからラッパや太鼓の類、三角ばたのついた 「みそかの晩とついたちは
西と南の風の夜は 月は冬でもまつ赤だよ。 敵が遠くへ 追はうと馬にまたがれば にはかに雪がどしやぶりだ。」 「雪の降る日はひるまでも
そらはいちめんまつくらで
わづかに雁の行くみちが ぼんやり白く見えるのだ。 砂がこごえて飛んできて 枯れたよもぎをひつこぬく。 抜けたよもぎは次次と 都の方へ飛んで行く。」
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