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古典風(こてんふう)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-20 8:30:21 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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古典風太宰治――こんな小説も、私は読みたい。(作者)
A 一夜、美濃が酔いしれて帰宅したところ、家の中は、ざわめいている。さして気にもとめずに、廊下を歩いていって、母の居間のまえにさしかかった時、どなた、と中から声がした。母の声である。僕です、と明確に答えて、居間の 「なんです。」と美濃は立ったままで尋ねた。 母は言いにくそうに、 「あなたは、私のペーパーナイフなど、お知りでないだろうね。銀のが。なくなったんだがね。」 美濃は、いやな顔をした。 「存じて居ります。僕が頂戴いたしました。」 障子を閉めもせず、そのまま廊下をふらふら歩いていって、自分の寝室へはいった。ひどく酔っていた。 水を飲みたく、目があいた。夜が明けている。 ぼんやり下婢の様を見ているうちに、むしゃくしゃして来た。 「何をしているのだ。」うす汚い気さえしたのである。 女の子は、ふっと顔を 「ばかなやつだ。」と意味なく 「あたし、」下婢は再びうなだれ、震え声で言った。「十郎様を、いけないお方だとばかり存じていました。」そこまで言って、くたくた坐った。 「ペーパーナイフかね?」美濃は笑った。 女は黙って二度も三度もうなずいた。そうして、エプロンの下から小さい銀のペーパーナイフをちらと 「ペーパーナイフを盗むなんて、へんなやつだ。でも、 女の子は声を立てずに 「母上がよくない。ろくに読めもしない洋書なんかを買い込んで、ただページを切って、それだけでお得意、たいへんなお道楽だ。」美濃は寝たままで思いきり 「いいえ、」女は上半身を起し、髪を 美濃はのそりと起き、ベッドの上にあぐらをかいた。ひそかに苦笑している。 「君は、いくつだね?」 「十九歳になります。」素直にそう答えて、顔を伏せた。うれしそうであった。 「もうお帰り。」美濃は、下婢のとしなど尋ねた自分を下品だと思った。 女は、マットに片手をついて横坐りのまま、じっとしていた。 「誰にも言いやしない。いいから、早く出て行って 女の子には、何よりもナイフが欲しかった。光る
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