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右門捕物帖(うもんとりものちょう)08 卍のいれずみ

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-7 9:08:50 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


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 さて、引き揚げてしまってからの右門が、そろそろとまたむっつり右門の右門たるところを遠慮なく発揮しだしましたので、毛抜きを取り出しながらあごひげの捜索を始めたのもその一つですが、それよりもっと変なことは、ときどきにやりとひとりで思い出し笑いをやりながら、
「もう来そうなものだな。まだかえらんのかな」
 そういっては、だれかを待ちでもするかのように、しきりとひとりごとをつぶやきつづけましたものでしたから、伝六がまた伝六の本来に返って、右門を右門とも思わぬ、粗略な言を無遠慮にろうしはじめたのは当然なことでありました。
「ちえッ、うすっ気味がわるい! 思い出し笑いなんぞおよしなせえよ。どなたさまをお待ちかねか知らねえが、あっしにないしょでそんな隠し女をこしらえたりなんかすりゃ、だんなにおぼしめしのある江戸じゅうの女を狩りたててきて、娘一揆いっきを起こさせますぜ」
 しかるに、右門は依然あごひげをまさぐりながら、にたりにたりとやっては、その日一日、まだ来ないか、まだ帰らんかをつぶやきつづけたのみならず、それが翌朝にまでも及びましたものでしたから、伝六がさらに右門をそまつにした言を弄しました。
「あきれちまうな、きのうくさやの干物で奈良づけをたべるまでは、とても調子のいいだんなでしたが、あれからこっち、また少し気が変のようじゃござんせんか。奈良づけのかすにまだ酔ってらっしゃるんですかい」
 ところが、お昼ちょっとまえでありました。ぶつぶつと言い通しだった伝六が、真に意外なる来訪者を取り次ぐことになりました。ほかでもなく、それは、きのう意気揚々と中仙道なかせんどうへ追っかけていったあのあばたの敬四郎なので、だから伝六は犬ころのように、玄関から座敷へ引きかえしてくると、そこにごろりと寝ころびながらまだ二日ごしにあごひげをまさぐっている右門へ、事重大とばかりに声をひそめてささやきました。
「ね、だんなだんな! なにか知らぬが、あばたの野郎がまっさおな顔つきで、目をまっかにしながら、しょんぼりとしてたずねてきましたぜ」
「そうか! やっといま来たか」
 すると、右門は、やっといま来たかといって、何を隠そう、きのうからの待ち人こそはその敬四郎であったことを裏書きしながら、自身玄関まで出迎えにいって、あまつさえ丁重に上座へ直すと、伝六が目をぱちくりするほどのいんぎんさをもって、大海のごとき虚心坦懐たんかいな淡泊さを示しながら、笑い笑いいいました。
「さぞ暑かったでござりましょう。昨日来、拙者は心してご貴殿の帰来をお待ちうけしていたところでござりますから、お気安くおくつろぎくださるように――」
 導かれてきたときは、すっかり青ざめて、なにかまだおどおどしながら、警戒している節がみえましたが、右門の坦々たんたんたること清らかな水のごとき心の広さに、あれほど意地のくね曲がっていたあばたの敬四郎も、ぐんと胸を打たれたものか、かつてない神妙さをもって口を開きました。
「いや、おことば、いまさらのごとくてまえも恥じ入ってござる。貴殿にそう淡泊に出られると、てまえも大いに勇気づいてお願いができるしだいじゃが、どうでござろう。今度という今度は、ほとほとてまえも肝に銘じてござるから、今までの失礼暴言はさらりと水にお流しくだすって、てまえの命をお助けくださるわけにはいくまいかな。このとおり、手をついての願いでござるが……」
「もったいない。お手をあげくだされませ。もうじゅうぶんにてまえには、こうやってご貴殿のお越しなさることまでもわかってでござりますによって、どうぞもうそれ以上はおっしゃらずに――、中仙道はどこまでお越しでござったか存じませぬが、暑い中を、ひどいめにお会いでござりましたな」
「そう申さるるところをみると、では破牢罪人の行く先、ご貴殿にはもうわかってでござるか!」
「さようにござります。中仙道へ参ろうと、東海道へ参ろうと、ことによったら唐天竺からてんじくまでお捜しなすっても、ちょっとあいつめを見つけること困難でござりましょうよ」
「さようか、ありがたい! では、敬四郎一期のお願いじゃ。なにとぞ、お力をお貸しくださらぬか。貴殿のことだからもうご存じでござろうが、あいつめをてまえが逃がすと、切腹ものでござるからな」
「ええ、ようわかってでござります。ひょっとしたら、へびといっしょにじゃが飛び出すかもしれませぬから、どうぞ今からごいっしょにお越しくだされませ」
 いうと、いよいよ右門の右門たるところをお目にかけましょうといわんばかりに、莞爾かんじとうちみながら立ち上がったようでしたが、不意に伝六へ意外なものの用意を命じました。
「どこか、ご近所のお組屋敷にやりをお持ちのかたがあるだろうから、急いで一本借りてこい!」
「えッ? 槍……? 槍というと、あの人を突く槍ですかい」
「あたりめえだ。槍に幾色もはねえはずじゃねえか、なるべく長いやつがよいぞ」
 めんくらいながら駆けだしていって、伝六がどこで見つけたものか長槍を借り出してきたものでしたから、右門はそれを高々とかつがせると、意表をつかれて目をぱちくりしている敬四郎に、ごくさばさばとしながらいいました。
「さ、参りましょうよ。おひろいではちっとまだ暑うござるが、小者に槍をかつがせておひざもとの町中を歩くのも、にわか大名のようで近ごろおつな道中でござりますからな。ゆっくりと楽しみ楽しみ参りまするかな」
 そして、みずから先にたちながら、行き向かったところは、きのうことさら安心させるようなことばを残したままで引き揚げたあの道灌山裏の恒藤権右衛門宅でした。
 むろん、敬四郎も伝六も鼻をつままれたような面持ちでしたが、それよりぎょっとなったのは恒藤夫人で、おそるべき右門がみたび案内も請わずに、ぬうとまた訪れたばかりでなく、そこには長いやつを一本伝六にかつがせていたものでしたから、青ざおと青ざめて、震えるくちびるに虚勢を張っているもののごとく、とがめだていたしました。
「白昼許しもなく女こどもばかりの住まいに長物持参で押しかけ、なにごとにござりまするか!」
「いや、どらねこ退治に参ってな」
 しかし、右門は相手にもせずに、にやにやとうち笑みながら、伝六からくだんの長槍をうけとると、さッと石突きをふるって毛鞘けざやをはねとばしたと見えたが、えい! とばかり気合いを放つと、意外や、そこの天井めがけて、ぶすりとそのどきどきととぎすまされた九尺柄の穂先を突きさしました。しかも、そのへやの天井一カ所ばかりではなく、次々と疾風の早さをもって、残らずのへやの天井を同じく長槍の穂先を突き刺してまわったと見えましたが、突然、真に突然、意外な人の姓名を大音声だいおんじょうで天井めがけながら呼びました。
「さ! 恒藤権右衛門、降りてこぬと、右門の槍先がこのとおり見舞っていくぞ!」
 伝六のおどろいたことはもちろんでしたが、それよりも妻女の青ざめたことはいっそうのもので、へたへたとそこにうずくまってしまったのをみると、右門はさらに勢い鋭く天井を突き刺してまわりながら、ふたたび大音声で叫びました。
「さ! 権右衛門! 男らしく正体を現わさぬか! 降りてこぬと、ほんとうに突き刺すぞ!」
 すると、まことに意外でありました。右門のその慧眼けいがんを裏書きして、天井裏から答える声がありました。
「恐れ入りました。いかにも正体は現わしまするによって、どうぞ気味のわるい穂先だけはもうお控えくださいまし」
 つづいて、みしみしという音とともに、押し入れの中の出入り口を伝わって、果然そこに姿を見せたものは、二日の天井裏籠城ろうじょうで、ほこりとすすによごれ染まっている死んだはずの恒藤権右衛門でしたから、右門は会心そうなみをみせていましたが、しかし不平そうなのはあばたの敬四郎で、ややなじるがごとくにいいました。
「拙者の尋ねるものは、恒藤某なぞではござらぬよ。破牢罪人の源内でござるよ」
 すると、右門が莞爾かんじとばかりうち笑みながらいいました。
「その源内とやら申す破牢罪人は、こやつが殺して、おのれの身代わりとなし、もうきのう土の下へうずめてしまいましたよ」
「なに※(感嘆符疑問符、1-8-78) 殺した※(感嘆符疑問符、1-8-78) 殺した※(感嘆符疑問符、1-8-78) なぜ、てまえのたいせつな罪人をかってに殺しおったか、さ! 子細を申せ! 申さぬか!」
 あまりな意外のために、つい本性が出たものか、あばたの敬四郎が権右衛門に飛びかかって、その首筋を締めあげながら、いまにも悪い癖の痛め吟味を始めようとしたものでしたから、右門はあわててさえぎると、痛いところを一本刺していいました。
「いや、お待ちめされ! 拷問ばかりが吟味の手ではござらぬ。物には順序と道理があるはずじゃから、理詰めに調べたてれば、実を吐かぬというはずはござらぬ。てまえが代わって吟味つかまつろう。――さ、権右衛門、上には目のある者も、慈悲を持つ者もあるゆえ、ありていに申すがよいぞ。何がゆえに、なんじは源内を一昨夜かようにむごたらしき死に落とし、おのれの死骸しがいのごとくによそおって、人目をたぶらかそうといたしおった。このうえ白を黒と申しても、八丁堀にむっつり右門といわるる拙者の目が光っているかぎり、偽りは申させぬぞ!」
 敬四郎ならば一言も自白しまいとするかのように見えた恒藤権右衛門も、右門の慈悲あるらしい様子とことばに隠すことの愚を知ったものか、神妙に恐れ入って尋ねました。
「おことば身にしみてござります。いかにも白状いたしましょうが、それより、どうしてだんなは、あの死体がてまえの替え玉であるとおにらみでござりましたか」
「いうまでもないことじゃ。きのうあのような愚かしき手紙を持たしてよこしたによって、不審がわいたのじゃ。それも、日本橋にさらした立て札と手紙とは別々に、どちらか妻女にでも代筆させたら、まだ不審はわかなかったかもしれぬが、両方ともにそのほうが書くとは、りこうそうにみえても愚かなやつじゃ」
「なるほど、とんだしくじりでござりましたが、でも、てまえが天井裏に潜みおること、よくおにらみでござりましたな」
「あれなるねこに焼きざかなを取られたことが、そちの運のつきじゃったわい。人間がいなくば、天井裏に食べごろの焼きざかななぞあるはずはないからな」
「さようでござりましたか。いや、かさねがさね慧眼けいがん恐れ入りました。では、いかにも、神妙に白状いたしましょうが、何をかくそう、てまえは、もと、あれなる非業の死をとげしめた破牢罪人の源内などとともに、長崎ながさき表に根城を構えて、遠くは呂宋るそん天竺てんじくあたりまでへもご法度はっとの密貿易におもむく卍組まんじぐみの一味にござりました。しかるうちに、これなる妻女となじみましてな、はじめのうちは船の帰るたびに相会うだけで、てまえも妻女も満足してござりましたが、いつかあれなるかわいいせがれができまして、それからというもの、急に妻女にもせがれにもいとしさがつのり、いろいろと考えましたところ、上の目をおかすめたてまつって、いつまでもご法度の密貿易なぞに従っていましたのでは、いずれ遠からずご用弁になって打ち首にでもなり、家内はおろか、せっかく設けたかわいいせがれとも、死に別れいたさねばなるまいと存じましたによって、お恥ずかしいことながら、妻子たちのかわいさゆえに、死すとも友は売るまじと神に誓って、あのようにめいめい右乳下へまんじのいれずみすらしておいた身にかかわらず、つい仲間の者にそむいて、長崎奉行に密告したのでござります。それも、密告すればお奉行さまがてまえの罪をお許しくださるというご内達でござりましたから、せがれのために行く末長いてまえの命ほしさで、ついつい、血をすすり合った兄弟を裏切ったのでござりまするが、いや、わるいことはできないものでござる。兄弟たちが極度にてまえを恨み、いかにしても裏切り者のてまえに天誅てんちゅうを加えねばと、一度長崎表でご用弁となったにかかわらず、仲間のうちの四人が決死隊となって破牢はろうを企て、どこでどうかぎつけたものか、てまえが江戸に潜んでいることを聞きつけまして討っ手に向かったと知りましたので、じゅうぶんてまえも気をつけまして、ついひと月ほどまえに、わざわざこんなへんぴな土地へ逃げかくれ、首尾よく身を隠しおおせていたつもりでござりましたが、それが一昨夜でござりました。その四人のうちのひとりのあれなる源内が、長崎表からのお達しでこちらのだんなにご用弁となり、運よくというか、入牢していたうちにだれからか、はからずもてまえがここにいるということをかぎつけ、あのように破牢いたしましてつじうら売りとなり、てまえを討ち取りに参りましてござるが、昔とったきねづかに、てまえのほうが少しばかり力があまっているため、かえってきゃつめを討ち取ってしまったのでござります。そのとき、ふとこれなる妻女が知恵をつけてくれましたので、てまえも急に替え玉のことを思いつき、さいわい右乳下には源内にもてまえにも同じ卍のいれずみがござりましたから、源内の面をあのようにめった切りといたしまして、その卍のいれずみをなによりの証拠のようにみせかけるつもりで、ひとしばい打ってみたのでござります。そうして、上のお目をかすめ、あの日本橋へかかげた立て札によって、いずこにいるか、たしかにまだこの江戸の中にてまえをねらって潜んでいるはずの、残る三人の卍組刺客しかくたちにも、てまえがもう死んだごとくに装って、その凶刃から一生安楽にのがれるつもりでござりましたが、右門のだんなの慧眼けいがんに、とうとうこのように正体を見現わされたのでござります。かくのとおり、なにもかも包まずに申し上げましたによって、さいわいに、あれなるてまえのせがれのために、特別のお慈悲あるおさばきをいただければしあわせにござります……」
 長い自白の陳述をようやく終わると、子ゆえに一味の者すらも売り、子の愛ゆえに今はまた死体の替え玉すらも思い決し行なった不憫ふびんなる父恒藤権右衛門は、そこにじっと両手をつきながら、右門の慈悲を願うようにその顔を見仰ぎました。仰がれて右門もじっとしばらく裁断を考えまよっているかのようでしたが、やがて断固としていいました。
「情状不憫ふびんにも思うが、天下のご法度はっとをまげることは相成らぬ。遠島申しつけられるよう上へ上申するから、さよう心得ろ!」
「えッ! 遠島――あの、遠島でござりまするか!」
「不服か」
「でも、てまえの密貿易のとがは、すでに長崎お奉行さまからご赦免になっているではござりませぬか!」
「囚人とはいいじょう、許しなくして人をむごたらしくあやめた罪じゃ」
「でも、それは、それは、わが身を守ったがための科でござります。そのうえ、てまえは今こそ浪々の身でござりまするが、れっきとした士籍にある身ではござりませぬか!」
「愚かなやつじゃな。これほどいうても、まだわしの慈悲がわからぬか。そちは今なんと申した、子のかわいさゆえに人も切ったと申したではないか。さればこそ、その子ゆえに、そちの命の長かるべきよう慈悲をたれて、縛り首打ち首にもすべきところを遠島に上申すると申すのじゃ。それも、島流しすべきものはそちひとりではない。それなる妻女も、夫の罪業を手助けいたした罪により、同罪の遠島じゃ。せがれは――上の席にあるものとして教ゆることはならぬが、係り役人なぞに用いてはならぬそでの下を使って、手荷物なぞに装い、うまいこと船に積み込んだりしてはあいならぬぞ。どうじゃ、まだそれでもわしの慈悲がわからぬか」
「はッ……よくわかってござります。せがれの手荷物のことも、よく胸におちてござります。ありがとうござりました。ありがとうござりました」
 なぞの手荷物のことすらもわかったごとく、権右衛門夫婦がひれふしましたものでしたから、右門はかたわらの敬四郎を顧みると、さわやかな面持ちでいいました。
「これでてまえの八番てがらは、九分どおりかたづいてござる。知恵をお貸し申すといったのでは失礼にござるが、ついでに卍組残りの三人をもめしとられるよう、てまえがちょっと一しばい書いてしんぜますから、それをご貴殿のてがらになされい」
 そして、伝六に立て札を五枚ほど急場にこしらえるよう命じていましたが、ほど経てできあがったのを受け取ると、さらさらと次のごとき文言をその五枚の表に書きつけました。

「諸兄よ、恒藤権右衛門の居どころ判明したり。
明六日夜、五つ下がりに道灌山どうかんやま裏の森まで参集されよ。――卍」

「この五枚を、日本橋とか浅草といったような、人出の個所へすぐさまお立てなすって、夜この時刻に、あの森のあたりにでも張り込んでいたら、十中八、九逐電中の三人をも、ご貴殿のてがらにめしとることができましょうよ」
 立て札を手渡しながら敬四郎に注意をしておくと、右門はさらに権右衛門夫妻に言い渡しました。
「わしの慈悲が肝に銘じたならば、逃ぐるようなこともあるまいによって、流罪のおさばきが決まるまでこのまま当屋敷に起きふしをさし許すから、その間にじゅうぶん島へ渡るしたくなど整えておくがよいぞ。――では、伝六、そろそろまた主従ふたりきりの大名道中いたそうかな」
 そして、伝六に槍をかつがせると、さっさと表へ出ていってしまいました。
 ――その翌々日の朝でありました。右門の貸してやったあの立て札の機知によって、案の定残りの卍組三人をめしとって、あばたの敬四郎がほくほくしながらお組屋敷を訪れると、精いっぱいの感謝を現わしながらいいました。
「いや、おかげで、えらいてがらにありつき、お礼のいいようもござらぬ。どうしたらよろしいか、てまえにはくふうもつかぬが、何をお礼にしたらよろしゅうござろうな」
 すると、右門が言下に答えました。
「拙者へのお礼よりも、これから先、ここにいる伝六なぞを、あまりむごく扱わぬことがなによりでござりまするな。お互いこういうかわいい小者があってこそ、お上のご用も勤まるのでござりまするからな」
 そして、そこに敬四郎がいるというのに、右門はたったそれだけいってしまうと、なにごともなかったような顔つきで、もうつんとあごのひげをまさぐりだしました。





底本:「右門捕物帖(一)」春陽文庫、春陽堂書店
   1982(昭和57)年9月15日新装第1刷発行
入力:tatsuki
校正:Juki
2000年4月10日公開
2005年6月30日修正
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