第十の男は語る。
「わたくしは
元は小説戯曲勃興の時代と称せられ、例の
梁氏の復讐
それをみて通事は大いに怒った。彼は
この通事は身分の高い家に仕えている者であったので、その主人が牛三頭と白金一
「夫の代りにあの男の命を取ったところで、今更どうなるものではあるまい。夫の死んだのは天命とあきらめてはくれまいか。おまえの家は貧しい上に、二人の幼い子供が残っている。この金と牛とで自活の道を立てた方が将来のためであろう」
他の人たちも成程そうだと思ったが、梁氏は決して承知しなかった。
「わたしの夫が罪なくして殺された以上、どうしても相手を
こうなると、手が着けられないので、他の人たちも持てあました。
「おまえは自分であの男を殺すつもりか」と、一人が
「勿論です。なに、殺せないことがあるものか」
彼女は袖をまくって、用意の刃物を突き出した。その権幕が怖ろしいので、人びとも思わずしりごみすると、梁氏は進み寄って縄付きの通事を切った。しかもひと思いには殺さないで、幾度も切って、切って、切り殺した。そうして、いよいよ息の絶えたのを見すまして、彼女はその血をすくって飲んだ。あまりの怖ろしさに、人びとはただ