剣術
韋が若いとき
「お客人、夜道の旅はおやめなさい。ここらには賊が多うございます」と、彼は韋にむかって注意した。
「賊などは恐れない」と、韋は言った。「わたしも弓矢を取っては覚えがある」
老人に別れを告げて、彼は馬上で夜道を急いでゆくと、もう夜が
見れば、空中には電光が飛び違って、さながら
「どうぞ助けてください」
彼は弓矢をなげ捨てて、空にむかって拝すること数十回に及ぶと、電光はようやく遠ざかって、風も雷もまたやんだ。まずほっとして見まわすと、大樹の枝も幹も折れているばかりか、自分の馬も荷物もどこへか消え失せてしまったのである。
こうなると、もう進んでゆく勇気はないので、早々にもと来た道を引っ返したが、今度は
「弓矢を
彼は韋を案内して、宿舎のうしろへ連れてゆくと、そこには荷物を乗せた馬が繋いであった。
「これはあなたの馬ですから、遠慮なしに
老人はさらに桶の板一枚を出してみせると、ゆうべの矢はことごとくその板の上に立っていた。
刺青
都の市中に住む悪少年どもは、かれらの習いとして大抵は髪を切っている。そうして、
そのなかに
かれらも無論に撃ち殺されたのである。その以来、市中で刺青をしている者どもは、みな争ってそれを焼き消してしまった。
また、元和の末年に
「不埒至極の奴だ。毘沙門でもなんでも容赦するな」
李は彼を引っくくらせて役所の前にひき据え、新たに作った
これでさすがに懲りるかと思いのほか、それから十日ほどの後、趙は肌ぬぎになって役所へ呶鳴り込んで来た。
「ごらんなさい。あなた方のおかげで毘沙門天の御尊像が傷だらけになってしまいました。その修繕をしますから、相当の
李が素直にその寄進に応じたかどうかは、伝わっていない。
朱髪児
町の
岸に居あわせた船頭がそれを怪物とみて、
数十年前のことである。
「試みにあらゆる薬や金石草木のたぐいを食わせてみろ」と、ある名医が彼に教えた。
商人はその教えの通りに、あらゆる物を与えると、唯ひとつ
「占めた。これが適薬だ」
彼は小さい
油売
都の
その油売りは大きい帽をかぶって、
官人は不思議に思って、すぐにその跡を付けてゆくと、かれのすがたは門内の大きい
これで奇怪なる油売りの正体は判った。
菌は人である。蝦蟆は驢馬である。筆筒は油桶である。この油売りはひと月ほども前から城下の里へ売りに来ていたもので、それを買う人びとも品がよくて
九尾狐
むかしの説に、
後に一頭の
劉はその以来、狐を捕らせない事にした。道士の術のうちに天狐の法というのがある。天狐は九尾で金色で、日月宮に