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海底都市(かいていとし)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-8-24 11:04:19 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


   興奮こうふんする学生


 いつの間にか十五の少年の姿に戻された僕は、カビ博士とその学生たちの前で、さんざんに標本としてつとめさせられた。
 博士は、僕の健康や知能の欠点ばかりを探して、学生たちに講義をした。口を大きくあけさせて、虫くいだらけのらんぐい歯を見せさせたり、肺門はいもんのあたりにうようようごめている結核菌けっかくきんを拡大して見せさせたり、精神力の衰弱状態を映写幕の上に波形なみがたで見せさせたり、そのほかいろいろなことをやってみせた。僕は、なるべく聞いてないことにしたけれど、やっぱり博士の講義が耳に聞こえた。そして僕は、自分のからだが、まるで半分くさった日かげの南瓜かぼちゃのように貧弱きわまるものであることに恥じ、つ自分で自分がいやになった。
 カビ博士の講義がすむと、こんどは男女学生が、僕のからだをいじりまわした。それは直接手でいじるのではなく、ぴかぴか光った長い消息子しょうそくしのようなものを、透明碗の外から中へつきたて、その先についている五本指の触手しょくしゅみたいなものによって、僕のからだをいじるのであった。僕には、いくらしても鋼鉄の壁のように硬くて動かない透明碗の壁を、学生たちが消息子を手にとって壁につきさすとかんたんにぷすりとそれをつきとおしてしまうのであった。なんの力を利用したのか、すごい力だ。しかし消息子の先についている触手しょくしゅは、手ざわりのよいやわらかいものであったから、こっちのからだは痛みはしなかったが、そのかわりみんなが無遠慮ぶえんりょに十何本もの消息子でもって僕のわきの下でも咽喉のどでも足の裏でもお構いなしにさわるので、くすぐったくてやりきれなかった。
 その間に、僕に話しかけてくる学生もいた。僕はやりきれなくていい加減かげんな返事をしてお茶をにごした。全くやりきれない。この世界にとどまっていたいがために、こんな苦痛をこらえているわけであるが、ずいぶん、がまんがなりかねる。
「博士。標本人間の肌の色が変って来ましたですよ。足なんか長くなりました」
 よくしゃべりまわっている一人の女学生が、カビ博士の胸を叩いて注意をした。
 博士は眉をあげて僕の方を見た。
「ははあ、なるほど。磁界じかいがよわくなったらしい。君、ダリア嬢。あの配電盤の黄いろの3という計器の針を18のところまであげてくれたまえ。そうだとも、もちろんその計器の調整器ちょうせいきのハンドルをまわしてだ」
 ダリヤ嬢とよばれた猿の生まれかわりみたいな顔のおしゃべり姫は、博士に命ぜられると、すぐ配電盤のところへ行って、そのとおりにした。
 すると僕は気分が急に悪くなった。見ると自分の足が小さくちじんでいく。肌色がわるくなる。――どうやら僕はある器械が出している磁場じばの中にいるらしく、そして今しがたその場の強さがよわくなったので、僕のからだは二十年後の世界の方へすべしたものらしい。それを今ダリヤ嬢が場の強さをつよくして元へ戻したものらしかった。
 とにかく妙な仕掛を使っているらしい。それはそのあたりに並んでいる装置そうちのうちのどれからしいが、時間器械と同様な働きをするものらしい。
 いや、それはそのとおりであることが、後になって学生と博士との会話によって知れた。僕はそれを知って、むしろ安堵あんどの胸をさすった。カビ博士の器械によって、一時僕が二十年前に戻されているのは我慢できる。なぜなら待っていれば、博士はこの海底都市の世界へ私を戻してくれることは間違いないからである。しかし、もしかの学友辻ヶ谷君の手によって、二十年前の焼跡へ戻されたなら、これは僕の楽しみにしている時間旅行がここで中絶してしまうことを意味する。――どうぞ“辻ヶ谷君よ。僕のことは忘れて、僕が満足するまでどうぞ僕を二十年後の海底都市で生活させてもらいたい。このことを君に確実に通信できないので、実は僕はいつでもびくびくしているのだよ”
 標本勤務は一時間で終った。そこで僕は元のはねあがったひげの大人の姿へかえされ、服も着た。僕はようやく安心した。博士は僕を透明碗から外へ出してくれた。
「本間君。どうじゃったね。標本勤務は、あんがい楽なものだろう」
 博士は、今までになく機嫌きげんのいい調子で、僕に話しかけた。
「いやいや、僕はうんとつかれましたよ」
「それはあとで食事をすれば、たちまち直るから心配ない」
「そうですかね……それにあの学生さんたちが無遠慮ぶえんりょに僕のからだをいじりまわすので閉口へいこうしました」
「おいおいれれば、大した苦痛じゃなくなるよ。なにしろ学生たちは君に対して異常な興味をもっている。だから君は今後ますます大切にあつかわれるだろう」
「そんなに彼等は興味を持っていますかね」
 そのことが災難の火の元だとは知らずに、僕はむしろ得意になって聞きかえした。


   五頭ごとうパイプ


 カビ博士の顔の下半分は黒い毛でうずもれている。その毛むくじゃらの草原のまん中が、ぽっかりあくと、赤いものが髭越ひげごしに見える。それは博士の口の中の色である。この赤いきんちゃくのような口は、ひろがったりすぼまったりして、よく動く。そして髭の中から博士のがらがら声がとび出して来るのである。
 博士は、僕との対談のうちに、安全剃刀かみそりをくわえた――と見えたが、それから煙が出てくるところを見ると、それは安全剃刀ではなくて、どうやら煙草のパイプの類らしいことが分った。
 普通のパイプは、煙草をつめる火皿、すなわち雁首がんくびが一つである。ところがカビ博士が口にくわえるパイプには、五つの雁首が並んでいるのだった。そしてそれに一々火をつけるわけでもないのに、雁首から煙がゆらゆらとあがった。
 その煙のあがり方が愉快だ。五本の雁首から五本の煙があがって、煙突だらけの工場そっくりになるかと思うと、次の雁首の一つだけが煙がゆらゆら立ちのぼる。そうかと思うと、こんどは三本から立ちのぼる。それを見ていると、まるで煙の音楽会というか、煙の舞踊ぶよう会というか、たしかに或るリズムに乗って煙がふきだしてくるのであった。
 もちろん、その合間合間には、博士のひげだらけの中から、別にもうもうたる煙がふき出てくる。
「先生は、煙草がお好きと見えますね」
 僕は、素直に感想をのべた。
「うん。わしは連日れんじつ、脳細胞を使い過ぎるので、どうしてもこれをやらないと、早く疲労ひろうがとれないのじゃ」
「ずいぶん変わった形のパイプですね。そんなパイプが海底都市では、はやるのですか」
「はやるというわけではない。これはわしの考案したものでな、ほかにはない特殊のものじゃ」
「煙の出るところが五つもありますね」
「そうだ。五種類の薬品をつめこんであるのだ。それを適当に蒸発せしめて、或る特殊のリズムで脳神経に刺戟をあたえる。このリズムを決定することがむずかしい」
「なるほど。僕もそのリズムの利用には気がついていましたよ。面白い療法ですね。どんな味がするか、僕にもちょっと吸わせてください」
「いや、いけない!」
 博士は目をくるくるさせてパイプをポケットにかくした。
「君なんかが吸うと、とんでもないことになる。絶対にいけない」
 博士の狼狽ろうばいぶりを、僕は意外に感じた。
「君に警告しておくが、君は実在の人間ではなく、イマジナリーの人間なんだ。それを忘れないようにしなければならんね。つまり何でもわれわれと同じには、やれないってことを、よく頭にいれておいてもらいたい」
 イマジナリーの人間! それはそうだ。僕は二十年後の世界へ先走りをして生活をしているのだから。
「君は何も知らないが、君の実在する世の中からその後二十年経つ間に、文明はあらゆる方面において驚異きょうい的な発展進歩をとげた。人でも人体改良じんたいかいりょうには、非常な努力が払われ、そして改造進化が行われ、今日の高等人間を生むに至ったものである」
「高等人間ですって。人体改造ですって」
「人体の進化を自然にのみまかせていたのは昔のことさ。なんという知恵のない話じゃないか。さればこそ昔の人間はやたらに病気にかかって悩み、そして衰弱し生命を縮めた。そればかりか人智じんちのレベルは、さっぱり向上しなかった。なぜ昔の人間は、そこに気がつかなかったんだろう。人為じんい的に人体改造進化を行う事によって病気と絶縁ぜつえんする。それから人智を高度にあげる。こんな思いつきは赤ん坊にでも出来ることじゃないか。もちろん今の赤ん坊のことだがね。とにかく昔の人間は実に哀れなものだった。眼前の実在のみに注意力や情熱を集中して、遙かなる未来世界について夢を持つことをしらず、従ってその夢から素晴らしい現実の発展が起こることにも想到そうとうしなかった。あああわれなりし人類よ……」
 カビ博士は、日頃のとつべんとはうってかわって雄弁に論旨ろんしをすすめていた。しかし僕は白状するが、博士の熱弁を聞くのは、もうそのくらいで沢山だと思った。
「先生。すると、そういう意味において、自然進化にまかせて来た僕の身体は、この海底都市の研究家たちにとって絶好の標本だというわけですね」
「そうだ。全く貴重なる標本だといわんければならん」
「じゃあ、僕は大いばりで、ここに滞在することが許されるのですね。いや、国賓待遇こくひんたいぐうを受けてもいいじゃないですか」
 僕は朗らかな気持ちになって叫んだ。


   暗い問題とは


「君を国賓待遇こくひんたいぐうにするなんて、とんでもないことだ。政府に見つかれば、もちろん君は海底冷蔵庫の壁になるしかないんだ」
 カビ博士は僕のことばをひっくりかえして、いつか僕が聞かされたと同じ警告をあびせかける。
「だって僕は、貴重な標本なんでしょう」
「そうさ。君は網の目をのがれている所謂いわゆるヤミ物品だから値が高いんだ。しかしどう釈明しゃくめいしても君は合法的存在じゃない」
 ああ、ヤミというやつにはずいぶん悩まされた僕であるが、この海底都市へ来てまでヤミ扱いされるとは、なんという情けないことだろう。
「学問のための貴重な標本なりということを、政府の役人どもは了解りょうかいしないのですか」
「そこじゃ、実に困った対立、いや暗い問題があるんだ、この海底都市にはね」
「へえッ、こんな理想境りそうきょうにも暗い問題なんかがあるんですかね。それは一体どんな問題なんですか」
 僕は非常に意外に感じたので、強くいただした。
 博士はすぐには返事をせず、例の五頭のパイプを髭の野原の中に押しこんで、やけに煙をふかしていたが、やがてやっとパイプを口から取ってつぶやくように低いことばをはき出した。
「それは言えない。わしの口から言えない。君のようなエトランジェ(異境人)には言えない」
 博士は、そのことばが終るとともに立上って、両の肩をぶるぶるとふるわせた。
 僕の好奇心は火柱ひばしらのようにもえあがったけれど、博士の沈痛ちんつうな姿を見ると、かさねてうは気の毒になり、まあまあと自分の心をおさえつけた。
 しかし一体いったいなんであろうか。この完全文明理想境をおびやかすところの、暗い問題とは。暗い問題があるということすら、僕には不審ふしんでならないのだが……。
 僕はそれから間もなく、博士に別れた。
 別れる前にカビ博士は、僕の合法的滞留ごうほうてきたいりゅうを政府に対してあらゆる手段によって請願せいがんすることを誓ってくれた。
 タクマ少年が待っていてくれたので、僕は少年とれだって考古学教室を出た。
「どうです。疲れましたか」
 少年は僕にきいてくれた。
「疲れはしないけれど、標本になってじこめられていたので、気がまったよ。なんか気持ちがからりとすることはないだろうかね」
「ありますよ、いくらでも、本当はお客さんは、これから食事をしてそれから睡眠すいみんをとるといいんですが、その前に、喜歌劇きかげき見物でもしましょうか」
「喜歌劇だって、それはいい。ぜひそこへ案内してくれたまえ」
 僕とタクマ少年は、動く道路を利用し、第十八歓楽街かんらくがいのクラゲ座へ行った。
 入場してみて、僕はやっぱりおどろかされた。すばらしい劇場だといって、僕がこれまで知っている、座席のきちんと並んだ大劇場を拡大したすばらしさとは違う。
 場内は、森かげの草原のようであった。そこに掛け心地のいい椅子が、勝手に放りだしてあるんだ。客はそれを好きなところへ移して座をきめればいい。卓子テーブルを持って来れば、軽い飲物や喫煙に都合がいい。
 舞台は明るく、近くなく、遠くない距離にある。いい音楽。すてきな俳優たち。出しものは三つ。第一が「タンポポはどこへ飛んで行きたいか」第二は「火星人の引越しさわぎ」そして第三は「クレオパトラの蒸留じょうりゅう」と、番組に出ていた。今、舞台は「火星人の引越しさわぎ」が演ぜられていて、陽気な笑いが続いていた。
 客席は、朧月夜おぼろづきよの森かげほどの弱い照明がしのびこんで来る程度であるから、隣の席の客がどんな顔をしているのか分りかねた。
 その客たちは、熱心に舞台を見ているわけではなく、盛んにコップの音をさせたり、ぺちゃくちゃしゃべったりをひったりするのであった。僕には勝手のちがうこと、いやあきれることばかりであった。
 それでも僕は、タクマ少年と並んでおとなしく見物を続けた。そのうちにねむくなって、とろとろんとしていると、かん高い女の声が耳にとびこんだので、はっと目ざめた。隣の席で、なにか言い合っているのだった。
「――いいえ違うわ、わたくしは、改造以前の人間といえども、海に棲息せいそくし得る特質を具備ぐびしていると思うの。それは、あの人類は、海から陸へあがってから八千万年を経ているでしょうが、それでも尚且なおかつ人類は、その発生の故郷である海中生活にえる器官や本能を残して持っていると断定しますわ」
「それは一種の感傷主義かんしょうしゅぎだ。もはや人類は、そういう能力を全然失っている。海中生活に耐える器官は痕跡こんせき程度残っているかもしらんが、海中棲息せいそくの本能なんど有るもんですか」
 反対するのは男の声だ。この男女二人の声に、僕はいささか聞きおぼえがあった。


   平衡器官へいこうきかん


 クラゲ座の中の、僕の座席のうしろで、喜歌劇見物はそっちのけにして、しきりに人類学について論じ合っている若い男女の声。それは、昼間、考古学教室で見かけた熱心な学生のダリア嬢とトビ君の声にちがいなかった。
 両人は、僕がすぐ前に腰を下ろしていることも気がつかないほど、夢中になって論争を発展させていた。
「いや、そういう君の論は、甚だしく定量性ていりょうせいいている。退化が或る限度に及ぶと、もう器官は全然用をなさないのだ。だからそういう器官が始めから存在しなかったと考えていいのだ。例えば、われわれに尾骨びこつがあるからといって未だ一度も尻尾しっぽを振ってみたい欲望をもよおしたことはないですぞ、ダリア君」
「それは暴論というものですわ。尾骨のことと内耳迷路ないじめいろ平衡器官へいこうきかんのこととは一しょに論じられませんわ。尾骨の方は、今は全然動かないのですよ。尻尾なんか人間にはぶら下っていませんし、ね。動かなきゃ尻尾なんか意味ないです。そこへいくと、平衡器官の方は現在もちろん働いている。人類が大むかし海中にんでいたときと同様に、彼の平衡器官は、今もちゃんと機能をもって役立っているんですからね」
「ちがうよ、ダリア君。それは平衡器官といえば平衡器官にちがいないけれど、今は海の中で棲んでいるわけじゃない。空気の中に於ける陸上生活ばかりなんだ。人類の祖先が海から陸上へあがってからこっち何十万年はたっているが、その長い間の陸上生活に、かの平衡器官は退化してしまって、海中生活用の平衡器としてはもう役に立たなくなっているんだ。そこを考えなくちゃね。美しいお嬢さん」
「まあ。まあまあまあ。ディスカッションに勝った、と思って、あたくしをからかうんですね」
「からかいやしません。美しいから美しいといった、までです。急にあなたを美しいと感じたもんですから素直にいっただけです。それにもうあの方は論じつくした感がありますから、ここらでよしましょう」
「ごましていらっしゃるのね。トビ君、あなたこそもう論ずべき種がつきてしまったんでしょう。きっと、そうよ。ところがあたくしの方は、これから本格的な実証に移るのですわ。実験証明ほど、たしかなものはありませんわ。そしてあたくしは、何人をも納得なっとくさせます。あたくしの論文は、そのときになって、だんぜん光を放つでしょう。ああ、そのときのことを今から予想しただけで胸が高鳴りますわ」
「うわッ、とんでもない。考古人類学は、詩ではないです。あなたみたいに、夢に感激ばかりしていたんでは、自然科学の正しい解決はつきませんよ」
「ああ、なんとでもおっしゃい。あたくしには、ちゃんと自信満々たる研究企画があるんですわ。まことにお気の毒さま、タングステンこうあたまのトビ、トビタロ君」
 両人の仲が険悪になって来たので、僕は見るに見かねて座席を立つと両学生の間へ顔をつき出した。
「たいへん御両所とも討論にご熱心のようですが、ひとつ僕も中に入れていただいて、乾杯といきましょう」
 僕は給仕を呼んで酒を注文した。

 ダリア嬢とトビ君とは、僕が顔を出すと、顔を見合わせて、すっかり黙りこんでしまった。そして給仕が酒を持って来ると、両人は席からはじかれるように立った。僕が声をかけるのも聞かずに、両人はどんどん帰ってしまった。
 僕は、あとにいやな気持ちでとりのこされた。
 なにかが両人の気持ちを悪くしたにちがいない。しかしそれがなんであるかについては、僕にはさっぱり心あたりがなかった。
 同伴していたタクマ少年は、分かりませんと答えた。
 なんだか気持ちが悪い。
 劇場がはねると、僕はタクマ少年に送られてホテルに帰った。
 僕は部屋にひとりとなった。やがて僕はベッドの上に横になった。
 すぐには寝つかれなかった。昼間からの、あまりにも多いいろいろの刺戟的しげきてきな出来ごとを、それからそれへと思い続けていくと、ますます眼がさえて来た。
 それにしても、辻ヶ谷君が僕を時間器械でよびもどしてくれないことが不審ふしんでもあり、またありがたかった。たしかに二十年後の世界を約一時間散歩してくるという申し合わせで、僕はこっちへ来たわけだ。彼は何をしているのだろう。辻ヶ谷君も一しょに来ればよかったと思う。……
 急にねむくなった。
 それがあたり前の睡さでないことに僕はすぐ気がついた。どうしたんだろうと、いぶかしく思っているうちに、僕は知覚がなくなった。

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