秋山収内閣法制局長官は1日の参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で、多国籍軍への自衛隊の参加問題について、日本が武力を行使せず、他国の武力行使と一体化しないことが確保されれば、参加することは憲法上問題ない――という見解を示した。主権移譲後のイラクの多国籍軍への自衛隊参加に道を開くもので、武力行使を任務とする多国籍軍への参加を「憲法上許されない」としてきた従来の見解との整合性について、議論を呼びそうだ。
政府は6月末の主権移譲後のイラクで、自衛隊を新しい国連安保理決議に基づき編成される多国籍軍の一員と位置づけたいとして、多国籍軍の任務に「治安維持」に加えて「人道復興支援」などを盛り込むよう関係国に働きかけている。
秋山長官は「多国籍軍の任務に武力行使を伴うものと伴わないものの両方があるものについては十分議論されてこなかった」と指摘。そのうえで「決議の内容、多国籍軍の目的、任務、態勢など具体的な事実関係に沿って、わが国として武力行使せず、わが国の活動が他国の武力行使と一体化されないことが確保される場合」には参加は憲法上問題ないと述べた。
これまで政府は「武力の行使自体を目的、任務とする多国籍軍に参加することは憲法上許されない」(01年12月の津野修内閣法制局長官の国会答弁)としてきた。 (06/01 23:30) |