重度の視覚障害者がパソコン操作を簡単にできるよう、触るだけでデータの入出力ができる装置を産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などが開発し、17日発表した。視覚障害者にとって使いにくいマウスなどに代わる入出力装置として期待される。
この装置は、縦32本、横48本の計1536本のピンが2.4ミリ間隔で並んだ「画面」を持つ。ピンを指で押し込んで文字や絵を描くと、押し込まれたピンが逆に0.7ミリ浮かび上がって文字や絵をすぐに再現する。画面を指で触れると、描いた文字や絵を感じることができる。ほかの人が送ってきた文字や絵も、同じように指で読みとれる。
これまで、パソコン画面の情報を振動や圧力で皮膚に伝える「表示」装置はあったが、出力機能しかなく、入力はできなかった。また表面に触れて文字や絵を描く平面ディスプレーでは、視覚障害者は自分が描いた文字や絵を確認できず、操作が難しかった。
パソコンの操作はかつて、キーボードによる文字入力が中心で、視覚障害者のための出力には合成音声や点字ディスプレーが使われていた。しかし最近は、マウスなどの操作が中心のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)が増え、重度の視覚障害者には逆に不便になっている。
今回の試作には、電気通信大(東京都調布市)と視覚障害者向けの表示装置メーカーのケージーエス(埼玉県小川町)が協力した。 (06/17 19:37) |