国などの援助を受けない自作の宇宙船による世界初の有人宇宙飛行に、米の航空機開発会社が２１日にも挑戦する。米メディアで注目されており、成功すれば、公的機関が担ってきた有人の宇宙開発に民間が一歩を刻むことになる。同社は有人宇宙飛行を達成したグループに賞金１０００万ドル（約１１億円）が贈られる米民間団体主催の「Ｘ賞」に名乗りを上げており、その合格基準の一つ「高度１００キロ」をめざす。 　挑戦するのはスケールド・コンポジット社。一般市民の宇宙旅行実現をめざしている。 　スケールド社の発表などによると、独自に開発した宇宙船「スペース・シップ・ワン」を機体下に取り付けた航空機が２１日早朝（日本時間同日夜）にもカリフォルニア州の飛行場から飛び立つ。宇宙船には飛行士１人が乗り、高度約１５キロまで運ばれた後、切り離され、ロケットエンジンを点火して音速の３倍に加速して高度１００キロへ。同高度で３分間以上飛行し、滑空して着陸する予定。 　５月１３日の試験飛行では過去最高の高度約６４キロに到達したという。 　「Ｘ賞基金」は米の実業家らが９６年に設立した。 　合格基準は（１）公的な機関に頼らず、３人乗りの宇宙船を開発（２）（大気が薄くなり一般的に宇宙といえる）高度１００キロに飛ばし、地上に安全に戻す（３）２週間以内にもう一度往復する――。欧米など７カ国から２０以上のグループが登録し、競い合っている。 (06/16 11:11)