血糖値を下げる効果がある乳酸菌を、東京の民間研究者が発見した。元々人間の腸内から見つかった菌で、食べたり飲んだりしても副作用の心配がないという。健康食品や糖尿病薬への応用が期待されそうだ。17日から東京で開かれる日本基礎老化学会(会長=後藤佐多良・東邦大教授)で発表される。
発見したのは、河合乳酸球菌研究所(東京都港区)の河合康雄社長。元ヤクルト中央研究所の主席研究員だ。
約1万5000種類の菌株から有望そうなものを選び、糖尿病を発症するマウスに、食事以外に乳酸菌の菌体(死んだ菌)80ミリグラムを1日3回80日間与え続け、食事しか与えなかったマウスと比較した。その結果、2種類の菌で大きな効果が表れ、80日後の血糖値が食事だけだったマウスより37~39%低かった。
河合さんによると、この菌でヨーグルトをつくることもできるが、菌が他の企業などに流出してしまうので考えていない。菌体を混ぜることは考えられるとしている。これらの菌を使えば手軽で安全な糖尿病予防・改善薬を作れる可能性があるとして、特許を申請している。
厚生労働省の調査によると、糖尿病患者は年々増え続け、02年には740万人。予備軍まで入れると1620万人に達している。
河合さんは84年には、血中のコレステロール値を下げる乳酸菌を発見し、乳酸菌ブームのきっかけをつくった。
(06/13 11:31) |