経済産業省、電子商取引推進協議会、NTTデータ経営研究所は6月11日、「平成15年度(2003年度)電子商取引に関する実態・市場規模調査」の結果を発表した。日本におけるBtoB(企業間電子商取引)市場は前年比67.2%増の77兆4320億円、BtoC(消費者向け電子商取引)市場は同64.8%増の4兆4240億円と、いずれも高い伸びを示し、ITバブル崩壊後も電子商取引市場が着実に成長していることを裏付けた。
BtoB市場を業種別に見ると、最も高い伸びを示したのは金融・保険サービスで前年比9万8350%増(市場規模は3兆9340億円)。その後に建設(663.4%増、3兆5490億円)、食品(637.7%増、1兆4030億円)、鉄・非鉄・原材料(479.2%増、5兆3670億円)と続く。
これらの業種で高い伸びを示した要因としては、「VAN(付加価値通信網)や専用線を用いた従来型のEDI(電子データ交換)から、インターネットを活用したEDIへの切り替えが進んだことが大きい。下請け工場や代理店など、ビジネスの下流までIT活用が広がったこともある」(NTTデータ経営研究所 デジタル・イノベーション・コンサルティング本部長の飯塚和幸氏)。
市場規模別に見ると、自動車の28兆490億円と電子・情報関連機器の24兆2940億円の2分野だけで全体の67.6%を占めている。ただし、昨年までの調査ではこれら2分野で80%を超えていたことを考慮すると、他業種での電子商取引が進んでいる状況がうかがえる。BtoB市場でeマーケットプレイスが占める割合は、昨年と変わらず約1割。BtoB市場の伸びにより、市場規模は7兆8890億円(67.2%増)になった。
BtoC市場では、全体の17.6%(市場規模は7800億円)を売上高1億円未満の中小商店が占めた。「そこでしか買えない商品を訴求した“Only Oneショップ”や個性的な小規模旅館など、一芸に秀でた中小商店がBtoC市場で広がっていると言える」(飯塚氏)。
BtoC市場を商品・サービス別に見ると、最も高い伸びを示したのは金融サービスで286.3%増(市場規模は1460億円)。趣味・雑貨・家具(228.4%増、2490億円)、書籍・音楽(211.3%増、1310億円)がこれに続く。市場規模別に見ると、不動産9120億円(BtoC市場の20.6%)と自動車の6030億円(13.6%)、そして今年から調査対象となった公営ギャンブルが大半を占める各種サービスの6380億円(14.4%)で約5割を占め、これらがBtoC市場の3大サービスとなっている。
同調査は1998年度から毎年実施されているもので、今回で6回目。今年1月から5月にかけて調査を実施した。調査結果は、e-Japan戦略のベンチマーク指標としても利用されている。この調査での対象は、TCP/IPプロトコルなどインターネット技術を用いたシステムを介した商取引であり、VANや専用線を使った従来型のEDIは対象となっていない。
調査結果の概要をまとめた参考資料は近日中に、分析まで含めた報告書は6月末までに、経済産業省のWebサイトで一般に公開される予定だ。 |