産業再生機構と同機構の支援で経営再建を目指すカネボウは31日、繊維事業の大幅縮小などを柱にした事業再生計画を発表した。国内の全従業員の37%に当たる1800人程度を削減し、家庭用品、薬品を事業の柱にする。04年3月期連結決算が特別損失の計上で3553億円の債務超過に陥ったため、債権放棄などで最大1495億円の金融支援を要請する。再生機構が筆頭株主になる見通し。
計画では、繊維、食品、薬品、家庭用品のそれぞれの事業を、今後の中核や、早期に売却、清算をはかるものなど4分類した。設立当初の柱だった天然繊維からは全面撤退。合繊事業が主体の防府工場(山口県)を来年6月までに売却または閉鎖し、北陸合繊工場(福井県鯖江市)に集約する。
食品部門も菓子を除いてほぼ撤退する。撤退する部門については、売却先を探すが、相手先がみつからなければ清算。この結果国内15工場のうち8工場を売却または閉鎖する。
今後の事業は低価格の化粧品やシャンプーなどの家庭用品と、漢方を主体にした薬品、菓子、ファッションに絞る。
主力行の三井住友銀行をはじめとする90以上の金融機関に995億円の債権放棄を要請。株主責任を明確にするために、99.7%の減資で資本金を1億円まで減らし、三井住友銀行が300億円、再生機構が最大200億円の債務の株式化や増資に応じる。化粧品事業の売却益も加え、05年3月期までには債務超過を解消する予定だ。
同日発表した決算では、リストラ費用を前倒しで計上したため、特別損失額が当初予想より1500億円以上多い3571億円に達した。売上高は前年同期比15.5%減の4377億円、当期赤字は3576億円だった。
経営の透明性を高めるため、委員会等設置会社に移行し、取締役8人のうち再生機構から5人の社外取締役を迎える。中嶋章義社長は続投する。
(05/31 22:06) |