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床屋(とこや)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006/10/29 16:26:57 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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本郷区菊坂町 ※ 九時過ぎたので、床屋の弟子の 「 「えゝ、ございませう。あのバリカンは今でも中国の方ではみな使って 「床屋で?」 「さうです。」 「それははじめて聞いたな。」 「大阪でも前は矢張りあれを使ひました。今でも普通のと半々位でせう。」 「さうかな。」 「お 「岩手県だ。」 「はあ、やはり前はあいつを使ひましたんですか。」 「いゝや、床屋ぢゃ使はなかったよ。俺は大抵野原で頭を刈って 「はあ、なるほど。あれは原理は普通のと変って居りませんがね。一方の歯しか動かないので。」 「それはさうだらう。両方動いちゃだめだ。」 「えゝ、 ※ 鏡の睡気は払はれて青く明るくなり今度は香油の 「失礼ですがあなたはどちらに出ていらっしやいますか。」 「図書館だ。」 「事務員ですか。」 「いゝや、頼まれて調べてゐるんだ。」 「朝はお早いでせう。」 「朝は六時半にうちを出るよ。」 「ずゐぶんお早いですね。」 「どうせうちに居たっておんなじだ。」 ※ 「丁度五分かゝりました。あなたの頭を刈り込むのに。」 「早いな。」 「いゝえ。競争の時なら早い人は三分かゝりません。」 「指が痛くなるだらう。そんなにしたら。」 「えゝ、指より手首が苦しくて 「さうだらう。どうせそんなぢゃ永くは続かない。」床屋の弟子はバリカンを持ったまゝ手首をぶらぶらふってゐる。 ※ 瓦斯の 「僕のひげは物になるだらうか。」 「なりますとも。」 「さうかなぁ。」 「も少し濃いといゝひげになるんだがなぁ、かう 「いゝや、だめだよ。僕はね、きっと 「どんなんですか。」 「それはね。実は昔の西域のやり方なんだよ。 「今どこで流行ってゐますか。」 「イデア界だ。きっとこっちへもだんだん来るよ。」 「イデア界。プラトンのイデア界ですか。いや。アッハッハ。」 「アツハッハ。君。どうせ顔なんか大体でいゝよ。」 ※ 底本:「新修宮沢賢治全集 第十四巻」筑摩書房 1980(昭和55)年5月15日初版第1刷発行 1983(昭和58)年1月20日初版第4刷発行 入力:林 幸雄 校正:mayu 2003年1月10日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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