そのはなしになると何時も終ひには喧嘩が起つて、聞くに堪えない罵倒を浴びながらほうほうの態で逃げ出さなければならないので、隱岐はフアコートと聞くと慄然とした。 「コートだけあつたつて仕樣がないさ。第一、こんな陽氣の好い田舍の街を歩くのに、あんなものを着て歩くのは物々しいよ。」 「それが氣に喰はないのよ。理屈をつけるのは止めて欲しいわ。あなたはね、實に――」 と細君はそろそろ昂奮した。「手前勝手な人間だわね、男らしくないよ。ひとを悦ばせて、結局自分も悦ばうといふ風な大きさぐらひは、誰だつて持つてゐるのが普通よ。實に、低級な自分勝手しかしらない憐れな人間だわ。」 「左うよ/\!」 と彌生も眞面目になるのであつた。「自分で自分をごまかしてゐるのよ、狡いんだわ、そして度胸が無いんだ。」 「だから、何事につけても、やるならやるで、思ひ切りやり通すといふことも出來やしないぢやないか。――嫌ひだ。道樂をするならするで、凡てを放擲して、飽くまでも自分の思ひを通して見せるつていふ一貫したものが無い。あたしなんか、生活のことなんかに就いては、何もびく/\してはゐないわ。何時破壞されたつて、ちやんとやつて行ける自信があるわ。あたしはね、返つて、この人が滅茶苦茶なことをやつて呉れる方が、清々とするわ。何方つかずの奴が一番嫌ひさ。」 「戀人でもつくると好いんだよ。」 「さうとも――否應なく崖のふちに追ひやらなければ、いつまで經つたつて埒は明かないといふのさ。女でもこしらへて、うんと酷い目に合されると好いんだ。」 「つまり、姉さんが、あんまり兄さんに忠實過ぎるのがいけないのね。」 「他所の人のやうに、何でも、あなた/\と云つて、亭主にばかり頼つてゐた方が好いのね。なまじ、あたしに強い一面があることが不幸なのよ。――でも、あたし此頃泌々と他所の人が羨しいわ。夫に頼りきつてゐられたら、何んなに樂だらうと思ふわ。自分の女房ぐらゐは、落着かせて置くのが當り前のはなしぢやないかね。あたしなんか斯うやつてゐたつて年柄年中、びく/\してゐて、やりたいと思ふことは何んにも出來やしないしさ――これぢや堪らない。一層、別になつた方が好いと思ふばかりだわ。」 「妻に、そんな類ひの不安を與へるやうな男は死んだ方が増しだわね。」 「――生活! ほんとに、生活のことだけがちやんと出來ないやうな男は、何をやつたつて駄目よ。」 「ヴアイタリテイのない人間ほど醜惡なものはないね。」 二人は左ういふはなしに走ると夢中になつて、止め度もなかつた。隱岐も全く有無もなかつた。胸が震えるだけで、返す言葉などは一つも浮ばないのであつた。その上、二人の者に、あんな弱點を握られてゐることが敵はなかつた。 「あたし達が、こんなにやきもきしてゐるのが解らないのかしら。聞えないのかしら?」 「圖々しいのよ。」 「あんまり、人を馬鹿にして貰ひたくないわ――此方は何時も眞劍なんだから――」 默つてゐればゐるで、細君は更に業を煮すのであつた。 「馬鹿になんかしちやゐないよ。」 と彼は怕る/\呟くより他はなかつた。 「あゝ、焦れつたい。男の考へることまで、あたしは心配しなければならないんだもの。」 彼女は手細工の道具を力一杯投げつけたりした。どうせ、ものになるやうな腕ではなかつたが、畫でも描いたら少しは了見が廣くなるだらうと隱岐は思ひもしたのであるが、まるで駄目だつた。性根が浮調子で、ひがみ強いのだから何をやつたつて中途半端なのだが、彼女は自分の才能までを悉く夫の犧牲と心得てゐた。 「そんな本なんて讀んでゐる振りをしないで、これでも見てゐる方が好いでせうよ――だ。」 細君は、やをら立ちあがるとデスクの抽出しから二三通の封書を取り出して彼の上に落した。「流れ御通知」といふ書付ばかりであつた。――一圓五十錢、男袴。三圓、男袷。七圓、女帶。四圓、麻雀……」などと、とても判讀の出來ない態の達者な文字が讀みきれぬ程竝んでゐた。
三 或晩細君は、落ち着いた氣分で斯んなことを云つた。 「やあちやんに、あたしはまるで戀してゐる見たいだわ。自分が女であるといふことを、忘れるんだもの。」 「同性愛といふのかね?」 と隱岐も興味を感じた。 「……堪らない言葉だけれどね。」 細君はあかくなつた。彌生は、廊下を隔てた浴室にゐた。細君は、わざと廊下の燈りを消しに行つて、誰もゐやしないから平氣よ。影を見せてね――などと彌生にさゝやき、硝子戸に映る姿に見惚れてゐた。 「以前には隨分聞いた言葉ぢやないか、この頃は別の言葉になつてゐるかも知れないが。學生時分に經驗があるかね?」 ――隱岐は、それは自分が凡ゆる點で彼女に不滿足ばかりを與へてゐるので、自然と變質的な傾向に走つたのであらう――と考へ、殊に田舍に移つてからの自分をいろいろと振り返つて見たりした。 「ほんとうは、あたし畫なんか描きたくはなかつたのよ。だましちやつたのさ。」 「……愉快だね。」 「いつまで見てゐても飽きないわ。それよりも、このごろぢや、嫉妬を覺えて、苦しくなつたりするわ。彼女の結婚を考へると、凝つとしてゐられなくなつたりするのさ。……だつて、まあ、あの子の、體の綺麗さ加滅[#「加滅」はママ]と云つたら、それあもう、何とも彼とも、云ひやうもない――ふるひつかずには居られないほどの……」 「ふるひついたことは、あるか?」 「あら、眼をまるくしてら……でも、あたし、いろいろ考へて、いつかのお前のことを無理もないと思つてるわ。」 「……馬鹿だつた!」 「あたしだつて、それより激しい氣持になることがあるんだもの。」 (以下の會話數行省略する。) 「顏はそれほどの美人といふほどのこともないけど、ヘツプバアン見たいな口つきで、何か不敵な魅力を持つてゐるぢやないの。それよりもね、肉體の素晴しさつたらないのよ、女のあたしがつくづく見惚れるほどなんだもの、きめがこまかくて、張りきつてゐて……」 「君とは正反對なんだな。」 隱岐は、なりが厭に大きいばかりで、ごつごつとした中性のやうな細君を想つて鳥肌になり、凡そ反對らしい蠱媚に滿ちた豐かな色艶の肉體を想像した。 「それあもう恰で――」 細君はわけもなく淡白に、自尊心などは置き忘れてゐた。 「顏だつて俺は……」 隱岐は、彈みさうになる言葉つきを慌てゝ控えた。――「眼つきなんかに不思議な落着きを持つてゐるぢやないか。そして相當教養のありさうな不良性で。」 「不良性は感じないわ。そんな感じではない、寧ろ冷たさうな、何でも突つ放してゐる見たいな……」 「どつちでも好いさ。」 と隱岐は、細君の手前そんな類ひの立入つたはなしを厭つてゐたが、細君はいつまでも微細な觀賞眼を批瀝して、まるでその皮膚は處女を失つた當座でゝもあるかのやうな沾みに富んでゐるとかなどゝ、口を極めて、益々自分の女らしさを忘れてゐた。 冬らしくもない暖い晩がつづいてゐた。その上にストーヴなどを焚いてゐる部屋にゐると、温泉にでもつかつてゐるかのやうに蒸々として、汗が滲みさうだつた。――不圖隱岐がうしろの壁を見ると、何うして持ち出して來たものか訊きもしなかつたが、あの毛皮の外套が獲物のやうにうやうやしく懸つてゐた。彼女等の好氣嫌は、どうやらその獲物に依るらしかつた。 「やあ子つたら、バカよ――すつかり悦んぢやつて、まるつきり何にも着ないで、いきなりこれにくるまつてゐるのよ。今日などいちんち、そのまゝごろごろしてゐるのさ。體ぢうにタルカンを振りまいて、ふわりとこれをひつかけてゐると、とてもうつとりとしちやふんだつて!」 「折角、持つて來たんなら、そんな亂暴な着方をしては臺なしになつてしまふだらうに。他所行きに……」 隱岐が云ひかけると、忽ち細君は嶮し氣な調子になつて、 「他所行きに使へるやうに、他のものもそろへて貰ひたいものだわ――」 とさへぎつた。「何うせ駄目なんだから、滅茶苦茶にしてしまふのさ。」 「なるほど、それも好からう。」 隱岐は危くなつたので、 「意味があるよ。」 などとわらつた。まつたく、マゾー伯爵ではないが、毛裏の外套に包まれた裸女の皮膚や動作を想像することは、仲仲[#「仲仲」はママ]の意味がある――と彼は胸のうちで呟き、凝つと眼を閉ぢた。 「まあ、厭あね、お姉さんひとりぢやなかつたの、酷いわ――」 襖の蔭で彌生が頓興な聲をあげた。そして、「外套とつてよ、はやくつたら……」 などと焦れて、激しい脚踏みの音を鳴り響かせた。 「粉が一杯ついてるわ……」 細君は外套の肩を掴んで、はたはたと振りまはしながら、彌生へ投げ渡した。タルカムの甘つたるい香りが、部屋一杯に濛々と溢つて、隱岐は身動きもならぬ心地だつた。
四 遙かの山々には斑らな雪が見えたが、陽氣は日毎に春のやうに暖かつた。くつきりと冴えた山肌の紫地に、殘雪の痕が翼を擴げて舞ひ立つた鶴のやうに飛び散つてゐた。――隱岐の窓から見渡せる砂濱には、夏の日傘を立てゝ寢轉んでゐる人や、蹴球のあそびに耽つてゐる四五人の若者達が、運動シヤツの姿で飛びまはつてゐた。 隱岐は、もう好い加滅[#「加滅」はママ]に本を讀むことを切りあげて、ぼつぼつ創作の仕事にとりかゝらうとして苛々しはじめてゐたが、ブロバリンばかりを服み過ぎて眠るので、止め度もなく頭がぼんやりしてゐて、さつぱりと空想力が働いて來なかつた。そして五體は、恰も枯木のやうに干乾びて、風邪の引きつゞきであつた。かあツと頭が熱くなると、急に脚の先から水がおし寄せて來るやうに冷え込んで來て、のべつにくしやみは出るし、鼻水は垂れるし、あまつさへ、レウマチスの氣味でもあるのか、腰骨や膝がしらが螺線のやうにしびれてゐて、全く埒もない有樣であつた。腹には懷爐などをあてゝ、木像のやうに坐つてゐたが、歩かうともするのには杖がほしいほどだつた。 酷く六ヶしい顏をして彼が、海邊の方を眺めてゐると、彌生が口笛を吹きながら廊下をまはつて來て、窓先の縁側に置いてある布椅子に寢ると、 「日光浴に出たいんだけれど、人がゐるんで困つてしまつたわ。」 と呟いた。パジヤマのパンツを穿いた長い脚を、恰度隱岐の眼上に組んで、桃色のスリツパをつつかけた一方の爪先を、天井を蹴るやうに動かせてゐた。 「姉さんは?」 「頭が痛くつて起きられないんだつて。―― menses なんだらう。」 「――日光浴は病人がすることぢやないか。」 「うつかり出任せなことを云つたら、婆さんたら本氣にしちやつて、お天氣が好いと屹度起しに來るのよ。――お孃樣お起き遊ばせ、お起き遊ばせ――だつて。辛いね」 彌生は聲をあげて、笑つた。留守居の老婆が耳が遠いのであつた。――「遊ばせ――と聞かされちや、さすがに照れちやふよ。」 「お孃樣は大變立派な外套をお召しになつて、見違えましたわ、此度御注文なすつたんですつてね、――なんて云つてゐたぞ。そんな出鱈目云つたのかい?」 「はつはつは……何うだか知らねえよ。女房が吹いたんだらう……ともかく今日は、素晴しい日光浴日和ぢやないの。」 「それや左うに違ひない――」 隱岐は眼を霞めて、陽炎の立つてゐるかのやうな明るい砂原を見渡した。微かな風もなかつたが、海の上から溢れて來るやうな陽の肌ざわりは、それこそ深々とした毛皮か、鳥の羽毛にくるまれてゐるやうな物柔らかさだつた。 「ねえ、ずつと向ふの松林の方まで行つて見ない、誰も人の居さうもない――」 「日光浴、するのか、ほんとに?」 「何時だつてしてゐるわよ、今日に限つたことぢやないわ。川のふちまで行くと恰で砂漠見たいなところがあるわよ。決して、人になんか見つかりつこないわ。停車場からサンドヰツチでも買つて、お午過ぎまで遊んて[#「遊んて」はママ]來ませうよ。」 と、隱岐は左程氣がすゝみもしなかつたが、否應なく誘ひ出された。 「どうせ駄目ときまつてゐるのに、そんな顏をして机にかぢりついてゐても仕方がないぢやないの。氣分ばかり惡がつてゐたつて、それは運動不足だからぢやないの。歩いて來れば、屹度清々としてしまふわよ。」 街にまはつて、出來あがつてゐる寫眞の燒つけなどをとつてから、もう一度家に引き返すと、彌生は靴下を脱いで、素足に重たげな庭下駄を穿いた。彼女は未だ、執拗にも例の外套を着て、兩腕で胸のあたりを堅く掻き合せるやうにしながら、酷く無器用な脚どりで砂を踏んでゐた。隱岐は、模擬革のボストンバツクをぶらさげて、彼女と肩を竝べた。 「さつき、玄さんに遇つたら――どちらへ? なんて云つたわね。東京ですか? だつてさ。」 「ちよつと左う見えたんだらう。」 「なにしろ、鞄までぶらさげて、氣取つてゐるんだからね……」 彼女は、何が可笑しいのか、ひとりでクスクスと笑ひ出した。「寫眞屋も、そんなことを訊いてゐるのさ。あのまゝ汽車に乘つたら何うだらう。」 「え?」 「人に會つたり、喫茶店に寄つたり、それから映畫でも見たり……」 彼女はいつまでも、ひとりで呟いで奇妙な笑ひを浮べてゐた。 「その外套、お前には餘つ程大きいね。エスキモー見たいだぞ。」 ひとりごとなど呟いで笑つてゐる彌生を、隱岐は難じてやつた。 「左うよ。だから、何うせ他所行きになんかなりつこないさ。――その代り、凡そ窮屈ぢやなくつてよ、中で泳いでゐる見たいよ。」 「さすがに、それぢや、暑過ぎるだらう。」 「ほんの少し……」 と彌生は、薄ら笑ひのまゝ、何やら思ひ切つたやうに輕く默頭いて、立ちどまつた。そして、ぐるりとあたりを見まはした。 球蹴りをしてゐる若者達の姿が、遙かの後ろに、鳥のやうに小さく見えたゞけだつた。折々遊びに來て、彌生と文學の話などを取り交す青年もゐた。――見つかると困るから、遠くを廻らう――といふので、はじめから二人は彼等を避けて、街をまはつてずつと西寄りの濱邊に降りたのである。 彌生は稍しばらく笑ひを堪へるかのやうに、襟の中に顎を埋めながら、凝つと隱岐の顏を見据えてゐたが、やがて、 「でも、大したことはないわよ。――だつて、斯うなんだもの――」 と云ふがいなや、非常な速やかさで、ぱつと、一瞬間、それを脱ぐ眞似をした。隱岐は、思はず、アツ! と云つた。たしか一糸も纏つてはゐなかつた。 「さつきから、そのまんまだつたのかえ、驚いたな。」 「えゝ――。靴下だけで。」 彌生は何故か急に濟してゐた。「だから、東京へ行くのかなどゝ聞かれると、變な氣がしちやつたのよ。でも、あたし、よくよく困つたことに慣れちやつたな。」 と、そこはかとなく憂愁氣な顏色に變つてゐた。 「心の半分まではらはらしながら、このまんま、何處までゞも行つて見たいやうな氣がするのよ。」 「くだらんぞ。」 と隱岐は唸つたが、あとから/\矢つぎばやに胸先を襲つて來る稻妻のやうなものに射られて震えが込みあげて來るのであつた。 「あら! あんなところから、人が來るわよ。氣をつけてよ。」 氣をつけることもないのに、彌生は耳の根まであかくして、彼の腕をとつた。極く稀に、散歩の人々に出遇つた。 「駄目だわね。――引つ返さうかしら?」 彌生は、はぢめのうちの元氣はすつかりなくなつて、弱音を吐き出した。 「ともかく川尻のちかくまで行つて見ようよ。――それとも、いつそ、思ひきつて、そこからバスに乘つて、小八幡か酒匂の方まで行つて見ようか、松濤園の下あたりまで……」 「……ドレスや下着も、靴だつて、要心に、その中に入れて來たんだから、日光浴なんて止めにして、散歩に變へても好いけれど、着ることが出來ないわ。この分ぢや――」 「夏だと、更衣所があるんだがね。」 「何云つてんのよ、馬鹿――。しつかり、頭を働かせてよ。」 さう云つて彌生は、突き飛すやうに隱岐の背中をたゝいた。 「この邊には、舟も見あたらんな!」 「飛んだ砂漠だつたわね。――あら、いまごろあんなところで、子供が凧をあげてるわよ。こんなに、風も無いのに好くあがつたものだわね。」 「やあ、三つも、四つもあがつてやがら。ヤツコやカラス凧は、風がなくつたつて、あがるんだよ。」 隱岐は、大した六つかし氣な知識でも吹聽するかのやうな重々しい口調で、世にも愚かなことを呟きながら、水のやうな空に浮いてゐる凧を見あげて、何といふこともなしに太い吐息を衝いた。 「でも、運動になるから結構ぢやないの。具合の好いところが、見つかつたら、着ることにして、もつと勢ひ好く歩いて行つて見ようぢやないの。」 「運動不足はいかんね。歩かう。」 彼は、片方に彌生の腕を執り、左には、何も彼も一處くたに下穿までも丸め込んであるといふ鞄を大きく振りながら、歩調を合せて、さへぎるものもない廣々として[#「て」はママ]砂原を颯々と歩きはじめた。 「こんな下駄、棄てゝ、靴だけ出してよ、歩き憎いわ。」 「――穿かせてやらう、肩につかまりな。」 「サンドヰツチ、喰べようか。」 「胸が一杯だ。」 と隱岐は應へた。
●表記について
- このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
- [#…]は、入力者による注を表す記号です。
- 「くの字点」は「/\」で表しました。
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