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楡の家(にれのいえ)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-10-25 16:05:33 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


 

 先日はいろいろ有難うございました。
 O村は私もたいへん好きになりました。私もああいうところに隠遁いんとんできたらと柄にないことまで考えています。然しこの頃の気もちは却って再び二十四五になったような、何やら訳の分らぬ興奮を感じている位です。
 殊にあの村はずれで御一緒に美しい虹を仰いだときは、本当にこれまで何やら行き詰っていたようで暗澹あんたんとしていた私の気もちも急に開けだしたような気がしました。これは全くあなたのお陰だと思っております。あの折、私は或る自叙伝風な小説のヒントをまで得ました。
 明日、私は帰京いたす積りですが、いずれ又、お目にかかってゆっくりお話したいと思います。数日前お嬢さんがお見えになりましたが、私の知らない間に、お帰りになっていました。どうなさったのですか?


 私がこの手紙を読むそばに、しお前がおいでだったら、私にはこの手紙はもっと深い意味のものにとれたかも知れない。しかし、私一人きりだったことが、読んだあとで平気でそれを他の郵便物と一緒に机の上に放り出させて置いた。それが私にこの手紙をごく何でもないもののように思い込ませてくれた。
 同じ日の午後、明さんがいらしって、お前がもう帰京されたことを知ると、そんな突然の出発が何だか御自分のせいではないかと疑うような、悲しそうな顔をして、お上りにもならずに帰って行かれた。明さんはいい方だけれど、早くから両親を失くなされたせいか、どうもすこし神経質すぎるようだ。……
 この二三日で、ほんとうに秋めいて来てしまった。朝など、こうして窓ぎわに一人きりで何ということなしに物思いにふけっていると、向うの雑木林の間からこれまではぼんやりとしか見えなかった山々のひだまでが一つ一つくっきりと見えてくるように、過ぎ去った日々のとりとめのない思い出が、その微細なものまで私に思い出されてくるような気がする。が、それはそんな気もちのするだけで、私のうちにはただ、何とも云いようのない悔いのようなものが湧いてくるばかりだ。
 日暮どきなど、南の方でしきりなしに稲光りがする。音もなく。私はぼんやり頬杖ほおづえをついて、若い頃よくそうする癖があったように窓硝子まどガラスに自分の額を押しつけながら、それを飽かずに眺めている。痙攣けいれん的にたたきをしている、あおざめた一つの顔を硝子の向うに浮べながら……

      *

 その冬になってから、私は或る雑誌に森さんの「半生」という小説を読んだ。これがあのO村で暗示を得たとおっしゃっていた作品なのであろうと思われた。御自分の半生を小説的にお書きなさろうとしたものらしかったが、それにはまだずっとお小さい時のことしか出て来なかった。そういう一部分だけでも、あの方がどういうものをお書きになろうとしているのか見当のつかない事もなかった。が、この作品の調子には、これまであの方の作品についぞ見たことのないような不思議に優鬱なものがあった。しかしその見知らないものは、ずっと前からあの方の作品のうちに深く潜在していたものであって、唯、われわれの前にあの方のいつわられていた brilliant な調子のためすっかりおおいかくされていたに過ぎないように思われるものだった。――こういうなまな調子でお書きになるのはあの方としては大へんお苦しいだろうとはお察しするが、どうか完成なさるようにと心からお祈りしていた。が、その「半生」は最初の部分が発表されたきりで、とうとうそのまま投げ出されたようだった。それは何か私にはあの方の前途の多難なことを予感させるようでならなかった。
 二月の末、森さんがその年になってからの初めてのお手紙を下さった。私の差し上げた年賀状にも返事の書けなかったおびやら、暮からずっと神経衰弱でお悩みになっていられることなど書き添えられ、それに何か雑誌の切り抜きのようなものを同封されていた。何気なくそれをひらいてみると、それは或る年上の女に与えられた一聯いちれんの恋愛詩のようなものであった。何だってこんなものを私のところにお送りになったのかしらといぶかりながら、ふと最後の一節、――「いかで惜しむべきほどのわが身かは。ただ憂う、君が名の……」という句を何の事やら分らずに口ずさんでいるうち、これはひょっとすると私に宛てられたものかも知れないと思い出した。そう思うと、私は最初何とも云えずばつの悪いような気がした。――それから今度は、それが若し本当にそうなのなら、こんなことをお書きになったりしては困ると云う、ごく世間並みの感情が私を支配し出した。……たとえ、そういうお気持がおありだったにせよ、そのままそっとしておいたら、誰も知らず、私も知らず、そして恐らくあの方自身も知らぬ間にそれは忘れ去られ、葬られてしまうにちがいない。何故そんな移ろい易いようなお気持を、こんな婉曲えんきょくな方法にせよ、私にお打ち明けになったのだろう? いままでのように、向うもこちらもそういう気持を意識せずにおつきあいしているのならいいが、いったん意識し合った上では、もうこれからはお逢いすることさえ出来ない。……
 そうして私はあの方のそんな一人よがりをお責めしたい気もちで一ぱいになっていた。しかし、そういうあの方を私はどうしても憎むような気もちにはなれなかった。そこに私の弱みがあったように思われる。……が、私はその数篇の詩が私に宛てられたものであることを知り得るのは、恐らく私一人ぐらいなものであろうことに気がつくと、何かほっとしながら、その紙片を破らずに自分の机の抽出ひきだしのずっと奥の方にしまってしまった。そうして私は何ともないような風をしていた。
 丁度、お前たちと夕方の食事に向っている時だった。私はスウプをすすろうとしかけたとき、ふとあの紙片が「スバル」からの切り抜きであったことを憶い出した。(それまでもそれに気がついていたが、それが何の雑誌だろうと私は別に問題にしていなかったのだ。)そしてその雑誌なら、毎号私のところにも送ってきてある筈だが、この頃手にもとらずに放ってあるので、若しかしたら私の知らぬ間に、兄さんはともかく、お前はもうその詩を読んでいるかも知れなかった。これは飛んでもないことになった、と私ははじめて考え出した。何だか気のせいか、お前はさっきから私の方を見て見ないふりをしておいでのようでならなかった。すると突然、私のうちに誰にともつかない怒りがこみ上げてきた。しかし私はいかにもつつましそうにスウプのさじを動かしていた。……
 
 その日からというもの、私はあの方が私のまわりにお拡げになった、見知らない、なんとなく胸苦しいような雰囲気のなかに暮しだした。私のお逢いする人達といえば、誰もかもみんなが私を何かけげんそうな顔をして見ているような気がされてならなかった。そうしてそれから数週間というものは、私はお前たちに顔を合わせるのさえ避けるようにして、自分の部屋に閉じこもっていた。私はただじっとして私の身に迫ろうとしている何やら私にも分らないものから身をはずしながら、それが私たちの傍を通り過ぎてしまうのを待っているより他はないような気がした。とにかくそれを私たちの中にはいりこませ、もつれさせさえしなければ、私たちは救われる。そう私は信じていた。
 そうして私はこんな思いをしているよりも一層のこと早く年をとってしまえたらとさえ思った。自分さえもっと年をとってしまい、そうしてもう女らしくなくなってしまえたら、たとえ何処であの方とお逢いしようとも、私は静かな気もちでお話が出来るだろう。――しかし今の私は、どうも年が中途半端なのがいけないのだ。ああ、一ぺんに年がとってしまえるものなら……
 そんなことまで思いつめるようにしながら、私はこの日頃、すこし前よりもせ、静脈のいくぶん浮きだしてきた自分の手をしげしげと見守っていることが多かった。
 
 その年は空梅雨からつゆであった。そうして六月の末から七月のはじめにかけて、真夏のように暑い日照りが続いていた。私はめっきり身体からだが衰えたような気がし、一人だけ先に、早目にO村に出かけた。が、それから一週間するかしないうちに、急に梅雨気味の雨がふりだし、それが毎日のように降り続いた。間歇かんけつ的に小止みにはなったが、しかしそんなときは霧がひどくて、近くの山々すら殆どその姿を見せずにいた。
 私はそんな鬱陶しいお天気をかえって好いことにしていた。それが私の孤独を完全に守っていてくれたからだった。一日は他の日に似ていた。ひえびえとした雨があちらこちらにまっているにれの落葉を腐らせ、それを一面に臭わせていた。ただ小鳥だけは毎日異ったのが、かわるがわる、庭のこずえにやってきて異った声でいていた。私は窓に近よりながら、どんな小鳥だろうと見ようとすると、この頃すこし眼が悪くなってきたのか、いつまでもそれが見あたらずにいることがあった。そのことは半ば私を悲しませ、半ば私の気に入った。が、そうしていつまでもうつけたように、かすかに揺れ動いている梢を見上げていると、いきなり私の眼の前に、蜘蛛くもが長く糸をひきながら落ちてきて、私をびっくりさせたりした。
 そのうちに、こんなに悪い陽気だけれど、ぼつぼつと別荘の人たちも来だしたらしい。二三度、私は裏の雑木林のなかを、淋しそうにレエンコオトをひっかけたきりで通って行く明さんらしい姿をお見かけしたが、まだ私きりなことを知っていらっしゃるからか、いつもうちへはお立寄りにならなかった。
 八月にはいっても、まだ梅雨じみた天候がつづいていた。そのうちにお前もやって来たし、森さんがまたK村にいらしっているとか、これからいらっしゃるのだとか、あんまりはっきりしないうわさを耳にした。何故なぜまたこんな悪い陽気だのにあの方はいらっしゃるのかしら? あそこまでいらっしたら、こちらへもお見えになるかも知れないが、私はいまのような気もちではまだお目にかからない方がいいと思う。しかしそんな手紙をわざわざ差し上げるのも何だから、いらしったらいらしったでいい、その時こそ、私はあの方によくお話をしよう。その場に菜穂子も呼んで、あの子によく納得できるように、お話をしよう。何を云おうかなどとは考えない方がいい。放っておけば、云うことはひとりでに出てくるものだ……。

 そのうちときどき晴れ間も見えるようになり、どうかすると庭の面にうっすらと日の射し込んでくるようなこともあった。すぐまたそれはかげりはしたけれど。私は、この頃庭の真んなかの楡の木の下に丸木のベンチを作らせた、そのベンチの上に楡の木の影がうっすらとあたったり、それがまた次第に弱まりながら、だんだん消えてゆきそうになる――そういう絶え間のない変化を、何かにおびやかされているような気もちがしながら見守っていた。あたかもこの頃の自分の不安な、落ちつかない心をそっくりそのままそれに見出しでもしているように。

 それから数日後、かあっと日の照りつけるような日が続きだした。しかしその日ざしはすでに秋の日ざしであった。まだ日中はとても暑かったけれども。――森さんが突然お見えになったのは、そんな日の、それも暑いさかりの正午近くであった。
 あの方は驚くほど憔悴しょうすいなすっていられるように見えた。そのお痩せ方やお顔色の悪いことは、私の胸を一ぱいにさせた。あの方にお逢いするまでは、この頃、目立つほどけだした私の様子を、あの方がどんな眼でお見になるかとかなり気にもしていたが、私はそんなことはすっかり忘れてしまった位であった。そうして私は気を引き立てるようにしてあの方と世間並みの挨拶などをわしているうちに、その間私の方をしげしげと見ていらっしゃるあの方の暗い眼ざしに私のやつれた様子があの方をも同じように悲しませているらしいことをやっと気づき出した。私は心の圧しつぶされそうなのをやっとこらえながら、表面だけはいかにももの静かな様子をいつわっていた。が、私にはその時それが精一ぱいで、あの方がいらしったらお話をしようと決心していたことなどは、とてもいま切り出すだけの勇気はないように思えた。
 やっと菜穂子が女中に紅茶の道具を持たせて出て来た。私はそれを受取って、あの方にお勧めしながら、お前が何かあの方に無愛想なことでもなさりはすまいかと、かえってそんなことを気にしていた。が、その時、私の全く思いがけなかったことには、お前はいかにも機嫌よさそうに、しかも驚くほど巧みな話しぶりであの方の相手をなさり出したのだ。この頃自分のことばかりにこだわっていて、お前たちのことはちっとも構わずにいたことを反省させられたほど、そのときのお前のおとなびた様子は私には思いがけなかった。――そう云うお前を相手になさっている方があの方にもよほど気軽だと見え、私だけを相手にされていた時よりもずっと御元気になられたようだった。
 そのうちに話がちょっと途絶えると、あの方はひどくお疲れになっていられるような御様子だのに、急に立ち上られて、もう一度去年見た村の古い家並みが見てきたいとおっしゃられるので、私たちもそこまでおともをすることにした。しかし丁度日ざかりで、砂の白く乾いた道の上には私たちの影すらほとんど落ちない位だった。ところどころに馬糞ばふんが光っていた。そうしてその上にはいくつも小さな白い蝶がむらがっていた。やっと村にはいると、私たちはときどき日をけるため道ばたの農家の前に立ち止って、去年と同じように蚕を飼っている家のなかの様子をうかがったり、私たちの頭の上にいまにも崩れて来そうな位に傾いた古い軒の格子を見上げたり、又、去年まではまだ僅かに残っていた砂壁がいまはもう跡方もなくなって、其処そこがすっかり唐黍畑とうきびばたけになっているのを認めたりしながら、何ということもなしに目を見合せたりした。とうとう去年の村はずれまで来た。浅間山は私たちのすぐ目の前に、気味悪いくらい大きい感じで、松林の上にくっきりと盛り上っていた。それには何かそのときの私の気もちに妙にこたえてくるものがあった。
 暫くの間、私たちはその村はずれの分れ道に、自分たちが無言でいることも忘れたように、うつけた様子で立ちつくしていた。そのとき村の真ん中から正午を知らせる鈍い鐘の音が出し抜けに聞えてきた。それがそんな沈黙をやっと私たちにも気づかせた。森さんはときどき気になるように向うの白く乾いた村道を見ていられた。迎えの自動車がもう来る筈だったのだ。――やがてそれらしい自動車が猛烈なほこりを上げながら飛んで来るのが見え出した。その埃を避けようとして、私たちは道ばたの草の中へはいった。が、誰ひとりその自動車を呼び止めようともしないで、そのまま草の中にぼんやりと突立っていた。それはほんの僅かな時間だったのだろうけれど、私には長いことのように思えた。その間私は何か切ないような夢を見ながら、それからめたいのだが、いつまでもそれが続いていて醒められないような気さえしていた。……
 自動車は、ずっと向うまで行き過ぎてから、やっと私たちに気がついて引っ返して来た。その車の中によろめくようにお乗りになってから、森さんは私たちの方へ帽子にちょっと手をかけて会釈されたきりだった。……その車が又埃を上げながら立ち去った後も、私たちは二人ともパラソルでその埃を避けながら、何時いつまでも黙って草の中に立っていた。
 去年と同じ村はずれでの、去年と殆ど同じような分れ、――それだのに、まあ何と去年のそのときとは何もかもが変ってしまっているのだろう。何が私たちの上に起り、そして過ぎ去ったのであろう?
「さっき此処ここいらで昼顔を見たんだけれど、もうないわね」
 私はそんな考えから自分の心を外らせようとして、殆ど口から出まかせに云った。
「昼顔?」
「だって、さっき昼顔が咲いていると云ったのはお前じゃなかった?」
「私、知らないわ……」
 お前は私の方をけげんそうに見つめた。さっきどうしても見たような気のしたその花は、しかし、いくらそこらを眼で捜して見てももう見つからなかった。私にはそれが何だかひどく奇妙なことのように思われた。が、次ぎの瞬間にはこんなことをひどく奇妙に思ったりするのは、よほど私自身の気もちがどうかしているのだろうという気がしだしていた。……

 それから二三日するかしないうちに、森さんからこれから急に木曽の方へ立たれると云うお端書はがきをいただいた。私はあの方にお逢いしたらあれほどお話しておこうと決心していたのが、変にはぐれてしまったのを何か後悔したいような気もちであった。が、一方では、ああやって何事もなかったようにお逢いし、そうして何事もなかったようにお分れしたのもかえって好いことだったかも知れない、――そう、自分自身に云って聞かせながら、いくぶん自分に安心をいるような気もちでいた。そうしてその一方、私は、自分たちの運命にも関するような何物かが――今日でなければ、明日にもその正体がはっきりとなりそうな、しかしそうなることが私たちの運命を好くさせるか、悪くさせるかそれすら分らないような何物かが――一滴の雨をも落さずに村の上をよぎってゆく暗い雲のように、自分たちの上を通り過ぎていってしまうようにとねがっていた。……
 或る晩のことであった。私はもうみんなが寝静まったあとも、何だか胸苦しくて眠れそうもなかったので一人でこっそり戸外に出て行った。そうして、しばらく真っ暗な林の中を一人で歩いているうちに漸く心もちが好くなって来たので、家の方へ戻って来ると、さっき出がけにみんな消して来た筈の広間の電気が、いつの間にか一つだけいているのに気がついた。お前はもう寝てしまったとばかり思っていたので、誰だろうと思いながら、楡の木の下にちょっと立ち止ったまま見ていると、いつも私のすわりつけている窓ぎわで、私がよくそうしているように窓硝子に自分の額を押しつけながら、菜穂子がじっとくうを見つめているらしいのが認められた。
 お前の顔は殆ど逆光線になっているので、どんな表情をしているのか全然分らなかったが、楡の木の下に立っている私にも、お前はまだ少しも気づいていないらしかった。――そういうお前の物思わしげな姿はなんだかそんなときの私にそっくりのような気がされた。
 その時、一つの想念が私をとらえた。それはさっき私が戸外に出て行ったのを知ると、お前は何か急に気がかりになって、其処へ下りて来て、私のことをずっと考えておいでだったにちがいないと云う想念であった。恐らくお前はそれと知らずにそんな私とそっくりな姿勢をしているのだろうが、それはお前が私のことを立ち入って考えているうちに知らずらず私と同化しているためにちがいなかった。いま、お前は私のことを考えておいでなのだ。もうすっかりお前の心のそとへ出て行ってしまって、もう取り返しのつかなくなったものでもあるかのように、私のことを考えておいでなのだ。
 いいえ、私はお前の傍から決して離れようとはしませぬ。それだのにお前の方でこの頃私を避けよう避けようとしてばかりいる。それが私にまるで自分のことを罪深い女かなんぞのように怖れさせ出しているだけなのだ。ああ、私たちはどうしてもっと他の人達のように虚心に生きられないのかしら?……
 そう心の中でお前に訴えかけながら、私はいかにも何気ないように家の中にはいって行き、無言のままでお前の背後を通り抜けようとすると、お前はいきなり私の方を向いて、殆どなじるような語気で、
「何処へ行っていらしったの?」と私にいた。私はお前が私のことでどんなににがい気もちにさせられているかを切ないほどはっきり感じた。


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