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女王(じょおう)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-10-23 9:04:16 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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トムちやんのお母さまが学校に勤めるやうになつてから、それを作曲して学校の 村のお祭に八幡様の森で児童達が合奏するこの歌は、どんなに村人の心を和げ又慰めたことでせう。 娘姿で 駒鳥は
糸 糸紡いた シヤラシヤラ ビンビン
糸紡いた 糸は何糸 愛の糸
愛の糸より 糸はない シヤラシヤラ ビンビン
糸はない 森の
糸紡き車で 糸紡いた シヤラシヤラ ビンビン
糸紡いた 歌を唄ひば 愛の歌
愛の歌より 歌はない シヤラシヤラ ビンビン 歌はない 村祭の日が近づいてまゐりました。子供達はお宮の森の、とある広ツぱへ集つて、いろいろとお祭のお 「女王はどうしたの、遅いなア」 「やつぱり先生が悪いんだツか」 そんな話が子供達の間に交されると、皆が 「 「病気、悪いのかなア」 「悪いんさ。でなきやトムちやんと 「みんなで行つてみよか」 「ウム、それ好いや。女王が居んぢや、ちつとも面白く無え」 「花輪が出来たんか」 「まだ野菊が足りねえ……トムちやん処へ行く前にみんなで野原へ 「ああ、それがいいや。行こ、行かう」 村の 「女王」といふのは 「女王」に贈る花輪は、 花輪が出来上ると、トムちやんと仲よしのしげのさんがそれを持つ、そしてそれを取り巻く皆が「愛の歌」を トムちやんが、 「あ、 トムちやんはさう言つて、静かにお母さまの枕許を抜足しました。トムちやんは、村の少年少女が、花輪を持つて自分を迎へに来たことが解つたのでした。で、子供達の トムちやんが茅葺屋根の 「やア、女王、女王」 皆は皆熱心にトムちやんの顔を 「トムちやん、これ とまづしげのさんが口を開きました。 「しげのさん、有りがたう。みなさん有りがたう……」 トムちやんはさう 「先生悪い?」 「ええ。……」 「トムちやん、「女王」になれない?」 皆は心配げに尋ねました。 「……え、今年の「女王」はしげのさんにして頂戴、私はお母さんとこ離せないの……」 「そんなに悪い? 困るなア」 「……」 折から「夕べの祈りをせよ」と 「ゴオーン……」 と、重く沈んだその 皆が顔を上げると、夕陽の輝きが野を 底本:「日本の名随筆50 歌」作品社 1986(昭和61)年12月25日第1刷発行 1991(平成3)年9月1日第8刷発行 底本の親本:「定本 野口雨情 第六巻」未来社 1986(昭和61)年9月発行 入力:加藤恭子 校正:今井忠夫 2000年10月27日公開 2005年6月28日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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