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木の祭り(きのまつり)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数153 更新时间:2006/10/21 9:22:17 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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木に白い美しい花がいっぱいさきました。木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思いました。木はめったに人のとおらない緑の野原のまんなかにぽつんと立っていたのであります。 やわらかな風が木のすぐそばをとおって流れていきました。その風に木の花のにおいがふんわりのっていきました。においは小川をわたって麦畑をこえて、 「おや」とじゃがいもの葉の上にとまっていた一ぴきのちょうが 「どこかで花がさいたのですね。」と、 それからつぎつぎと、じゃがいも畑にいたちょうちょうは風にのってきたこころよいにおいに気がついて、「おや」「おや」といったのでありました。 ちょうちょうは花のにおいがとてもすきでしたので、こんなによいにおいがしてくるのに、それをうっちゃっておくわけにはまいりません。そこでちょうちょうたちはみんなでそうだんをして、木のところへやっていくことにきめました。そして木のためにみんなで そこではねにもようのあるいちばん大きなちょうちょうを先にして、白いのや黄色いのや、かれた木の葉みたいなのや、小さな小さなしじみみたいなのや、いろいろなちょうちょうがにおいの流れてくる方へひらひらと飛んでいきました。 ところが中でいちばん小さかったしじみちょうははねがあまりつよくなかったので、小川のふちで休まなければなりませんでした。しじみちょうが小川のふちの 「あなたはだあれ。」としじみちょうがききました。 「ほたるです。」とその虫は 「原っぱのまんなかの木さんのところでお 「でも、 「そんなことはありません。」といって、いろいろにすすめて、とうとうほたるをつれていきました。 なんて楽しいお 「もっと遊んでいたい。だけどもうじきまっ 底本:「ごんぎつね 新美南吉童話作品集1」てのり文庫、大日本図書 1988(昭和63)年7月8日第1刷発行 底本の親本:「校定 新美南吉全集」大日本図書 入力:めいこ 校正:鈴木厚司、もりみつじゅんじ 2003年9月29日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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