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明治座の所感を虚子君に問れて(めいじざのしょかんをきょしくんにとわれて)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-10-18 9:29:43 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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○虚子に誘われて珍らしく明治座を見に行った。芝居というものには全く無知無識であるから、どんな印象を受けるか自分にもまるで分らなかった。虚子もそこが聞きたいので、わざわざ誘ったのである。もっとも幼少の頃は沢村田之助とか ○それで明治座へ行って、自分の ○それからだんだん慣れて来たら、ようやく役者の主意の存するところもほぼ分って来たので、幾分か彼我の ○その特色を一言で概括したら、どうなるだろうと考えると、―― ○油屋御こんなどもむやみに刀をすり ○ ○立ち廻りとか、だんまりとか号するものは、前後の筋に関係なき、独立したる体操、もしくは ○ ○しまいの踊は綺麗で愉快だった。見ていて人情も頭脳もいらない。ただ芸術的に眼を喜ばせる単純なものであるから、そこが自分にはすこぶる結構であった。 ○最後に一言するが、自分は午後の一時から、夜の十一時まで明治座の中で暮した。時間から云うと大変なものである。これは日本の芝居が安過ぎるか、または見物が慾張り過ぎる 底本:「夏目漱石全集10」ちくま文庫、筑摩書房 1988(昭和63)年7月26日第1刷発行 底本の親本:「筑摩全集類聚版夏目漱石全集」筑摩書房 1971(昭和46)年4月~1972(昭和47)年1月にかけて刊行 入力:柴田卓治 校正:大野晋 1999年6月14日公開 2003年11月28日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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