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ケーベル先生の告別(ケーベルせんせいのこくべつ)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-10-18 8:37:48 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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ケーベル先生は 静かな先生は東京で三度居を移した。先生の知っている所はおそらくこの三軒の家と、そこから学校へ通う道路くらいなものだろう。かつて先生に散歩をするかと聞いたら、先生は散歩をするところがないから、しないと答えた。先生の意見によると、町は散歩すべきものでないのである。 こういう先生が日本という国についてなにも知ろうはずがない。また知ろうとする好奇心をもっている道理もない。 私が先月十五日の 場所ばかりではない、時間のうえでも先生の態度はまったく普通の人と違っている。郵船会社の汽船は半分 先生の金銭上の考えも、まったく西洋人とは思われないくらい すべてこんなふうにでき上がっている先生にいちばん大事なものは、人と人を結びつける愛と情けだけである。ことに先生は自分の教えてきた日本の学生がいちばん好きらしくみえる。私が十五日の晩に、先生の家を辞して帰ろうとした時、自分は今日本を去るに臨んで、ただ簡単に自分の朋友、ことに自分の指導を受けた学生に、「さようならごきげんよう」という一句を残して行きたいから、それを朝日新聞に書いてくれないかと頼まれた。先生はそのほかの事を言うのはいやだというのである。また言う必要がないというのである。同時に広告欄にその文句を出すのも好まないというのである。私はやむをえないから、ここに先生の許諾を得て、「さようならごきげんよう」のほかに、私自身の言葉を 底本:「硝子戸の中」角川文庫、角川書店 1954(昭和29)年6月10日初版発行 1994(平成6)年3月10日改版21版発行 入力:柴田卓治 校正:しず 1999年9月9日公開 2003年10月29日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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