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河馬(かば)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-10-17 11:24:26 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

  河馬の歌

うす紅くおほにひらける河馬の口にキャベツ落ち込み行方知らずも
ぽつかりと水に浮きゐる河馬の顏郷愁ノスタルヂアも知らぬげに見ゆ
この河馬にも機嫌・不機嫌ありといへばをかしけれどもなにか笑へず
赤黒きタンクの如く並びゐる河馬のめすをすわれは知らずも
水の上に耳と目とのみ覗きゐていぢらしと見つその小さきを
     ×    ×
わが前におほき河馬の尻むくつけく泰然として動かざりけり
無禮なめげにも我がの前にひろごれる河馬のゐしきのあなむくむくし
ゐさらひのたゞ中にして三角の尻尾かはゆし油揚のごと
これやこのナイルの河のならはしか我に尻向け河馬はまりする
事終り小さき尻尾がパシヤ/\と尻を叩きぬ動きこまかに
丘のごともり上る尻をかつ/″\も支へて立てる足の短かさ
三角の尻尾の先端さきゆ濁る水のまだしたゝりて河馬は動かず

   狸

春晝しゆんちうの靜けきまゝにしまらくは狸のつらの澁きをよみ
わらに驚き顏の狸はもショペンハウエルに似たりけらずや
(だま)すなどたれがいひけむ瞞されて身を嘆きなむ狸のつら

   黒豹

ぬばたまの黒豹の毛もつや/\と春陽はるびしみみに照りてゐにけり
思ひかね徘徊たもとほるらむぬば玉の黒豹いまだ独りならし

   マントひゝ

マント狒は身長三尺余、毛は長くして白色。純白のマントをまとへ
るが如し。但し面部と臀部のみ鮮かなる紅色(桃色に近し)を呈す。

銀白の毛はゆたかなれどマントひゝ尻の赤禿包むすべなし
マント狒の尻の赤さに乙女子は見ぬふりをしてににけるかも

   白熊

あふ向けに手足ひろげて白熊の浮かぶを見ればのどかなりけり
白熊の白きを見ればアムンゼンきてかへらぬむかし思ほゆ

   眠り獅子の歌

何時いつ見ても眠るよりほかにすべもなきライオンの身を憐れみにけり
らちもなきざまにあらずや百獸の王の日向に眠れる見れば
うと/\と眠れる獅子の足裏あなうらに觸れて見たしとふと思ひけり
海越えてエチオピアより來しといふこのライオンも眠りたりけり
うつゝなきの鼻先に尻を向けこれも眠れりめすのライオン
が國の皇帝みかどもすでに蒙塵もうぢんと知らでやもは(專)ら獅子眠りゐる

   仔獅子

獅子の仔も犬の仔のごと母親にふざけかゝるところがされけり
肉もだ締らぬ仔獅子首かしげ相手ほしげに我が顏を見る
親獅子は眠りたりけり春のに屈託げなる仔獅子の顏や

   駱駝(らくだ)

生きものの負はでかなはぬ苦惱くるしみの象徴かもよ駱駝の瘤は
やさし目の駱駝は口に泡ためて首差しのべぬ柵の上より

   孔雀の歌

よく見れば孔雀のまなこ切れ上り猛鳥まうてうさうあり/\と見ゆ
印度(インド)なる葉廣はびろ菩提樹の蔭にしてひろげ誇らむこの孔雀とり羽尾はね
いと憎き矜恃ほこりなりけり孔雀はも餌を拾ふにも尾をいたはりつ
六宮リクキウ粉黛ふんたいも色を失はむ孔雀一たび羽尾はねひろげなば

   縞馬

縞馬の縞鮮かにラグビイのユニフォームなど思ほゆるかも

   ペリカンの歌

ペリカンは水の浅處あさどに凝然と置物のごと立ちてゐるかも
ゆあみして櫛梳くしけづりけむペリカンの濡れたるはね桃色細毛ももいろほそげ
舶來の石鹸のも匂ひなむうす桃色のペリカンの羽毛はね
ペリカンのつぶら赤目を我見るにつひに動かず義眼いれめの如し
長嘴ながはし下の黄なるたるみもしぼみたりふくらむものと我は待ちしに

   禿鷲

プロメトイスさいなみにけむ禿鷲も今日は寒げに肩を張りゐる
アンデスの巖根いはねこゞしき山のの鋭どき目かもコンドルの目は
ジャングルに生ふる羊齒草しだくさえびかづら間なくし豹はたちもとほるを
短か布留ふる神杉かんすぎカンガルー春きたれりと人招くがに
春の陽にが短か手を千早ぶるカンガルーは耳を掻かんとするか
去年こぞ見しと同じきすみに石亀は向ふむきたり(ほこり)を浴びて

   山椒魚

山椒魚は山椒魚らしき顏をして水につかりゐるたゞ何となく

   鶴

あさりする丹頂の前にしまらくは目守まもりたりけり心すがしく
水浅く端然と立つ鶴痩せて口紅くちべにほどのとさかあか

   火喰鳥

火くひ鳥火のみか石も木も砂も泥も食はんずつら構へかも

   ホロホロ鳥

ホロホロとホロホロ鳥が鳴くといふ霜降色の胸ふくらせて

   駝鳥

障碍ハードル容易やすく越ゆべし汝が脚の逞しくして長きを見れば
何處(どこ)やらの骨董(こっとう)てんみせさきで見たることあり此奴こやつの顏を
なに故の長き首ぞも中ほどをギユウと掴めばギヤアと鳴くらむ

   大蛇

うね/\とくねりからめる錦蛇一匹ひとつにかあらむ二匹ふたつにかあらむ

   大青蜥蜴とかげ

口あけば大青蜥蜴舌ほそくせん々として※(「火+稻のつくり」、第4水準2-79-88)せいえんはし

   再び 山椒魚について

山椒魚は山椒魚としかなしみをもてるが如しよくよく見れば

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