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賭博の負債(とばくのふさい)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-26 15:04:49 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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徳化県の県令をしていた 「お前さんは、たれだ、そんな処へこられては困る、もう張令のお着きになる時分だ」 奴僕の一人は 「おけ、おけ、そんなことをしなくってもいい」 張は奴僕を制して黄いろな服の男に向って聞いた。 「君は、どこから来たのだね」 黄いろな服の男は頷いて見せたが何も言わなかった。張は不思議な奴だと思ったが、悪人であるだけに気にもかけなかった。 「じゃ、まあいい、御馳走をしよう、酒でも飲んで往くがいい」 大きな盃へ酒を注いで出さすと、黄いろな服の男はやはり黙って飲んだ。飲んでから羊の 「私は人ではありません、新たに死ぬる人の名を記入した 張はますます好奇心に駆られた。 「では、それを見せてくれないか」 と言うと、黄いろな服の男は袋から軸になった物を出した。張が取って見ると、「 「私は一家一門が広いから、後の始末をせずに死ぬると、大変なことになる、今、私の 張は泣きだしてしまった。黄いろな服の男は言った。 「金はいりません、今日のお礼に教えてあげましょう、華山の そこで張は車をかまえて華山廟へ往き、 「死んで体が腐りかかっているものが、なにしにここへ来た」 と言って叱った。張はその前にひれ伏して、 「どうか私の生命が延びるように、おとりはからいを願います」 「いかん、俺は一度、漢朝の権臣の生命を延ばそうとおもって、奏請したために、ここへ 張はここぞと思って一生懸命になって頼んでいると、一人の使がやってきて 「華山の神から頼んできたな、しかたがない、奏請してみよう」 道士は筆を執って何か書いてそれを函に入れ、香を焚いて拝んでいると、その函がひらひら空へあがって往った。そして、暫くするとはじめの函が落ちてきて道士の前へ止まった。函の上には、徹という字が書いてあった。道士はまた香を焚いて拝んだ後に函の蓋を開けた。それには、張の生命を五年延ばしてやるという意味の文書が入っていた。 「五年の生命が延びた、これからは身を謹み、心を清くせんければならんぞ」 張は喜んで礼を言って道士の前を辞し、一足歩いて振り返って見ると、もう庵もなければ道士もいなかった。そして、十里あまりも歩いたところで、かの黄いろな服を着た男がひょっこり前へきて立った。 「あなたのお陰で、五年間生命が延びました、どんなお礼でもいたします、言ってください」 黄いろな服の男は、 「私は何もいらない、華山の神へ約束の金を献上して、私を門番にしたいと言ってもらいたい、そうすると、私の苦痛もなくなる、私はもと と言い言い歩いて往って、そこの 張は華陰の旅館へ帰ったが、華山の神へ献上する金が惜しくなった。彼は奴僕の一人に言った。 「千の金を献上する約束をしてきたが、千ありゃ、十晩の費用が出る、 奴僕はてんでそんなことは信用していなかった。 「そうでございますとも」 翌日張は華陰を出発して、十日ばかりの後に 「あなたは嘘 張は 夜になって張は急に病気になった。張はもうとても逃れないと思ったので、遺言状を書いて妻子の許へ送ろうと思って、筆を持って書きだしたが半分も書かないうちに死んでしまった。 底本:「中国の怪談(一)」河出文庫、河出書房新社 1987(昭和62)年5月6日初版発行 底本の親本:「支那怪談全集」桃源社 1970(昭和45)年発行 入力:Hiroshi_O 校正:noriko saito 2004年11月3日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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