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蕎麦餅(そばもち)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-26 14:50:18 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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唐の元和年中のことであった。 その板橋店には三 もう日が暮れて燈火が 「お宅が、旅人に と、言うと婆さんは愛想笑いをした。 「いや、もう、別におかまいもいたしませんが、お客さん方が、よく御贔屓にしてくださいます、さあ、お入りください、ちょうど、皆さんに御飯をあげてるところでございます」 中を見ると六七人の旅人が大きな卓へ向きあって酒を飲んでいた。皆の前に置いた皿からは温かそうな湯気がもやもやと立っていた。 「 婆さんは指で空いた 「私は 酒は一滴もいけない季和はそう言って断った。 「一杯位はよろしゅうございましょう」 「有難いが、私は一滴も飲めない」 「では、食物をあげましょうか」 婆さんは次の やがて婆さんが二個の皿へ盛った食物を持ってきた。季和はそれをもらって黙って 食事がすむと皆が一緒になって次の室へ往って寝た。室の中には燈火が一つ点いていた。食事の時から話していた話をそこへまで持ってきて、大声で話しあっていた男の声もやがて聞えなくなった。 季和は眼が冴えて睡れなかった。彼は右枕になってみたり、左枕になってみたりして身体を動かしていた。 「早くお寝みなさいよ、よく寝ないと、明日苦しいから」 季和はちょっと頷いて見せた。婆さんは出て往った。後は真暗になってしまった。季和は早く睡ろうと思って無理に眼を ぶつぶつと言うような声が聞えた。それは隣の室からであった。そこは荒壁になっていて土の崩れた壁の穴から隣の室の燈火が滲みだしたように漏れて見えた。季和はどんな者が隣にいるだろうかとちょっとした好奇心を動かした。彼は寝床から這いだして壁の穴から 不思議な光景が季和の眼に映った。 婆さんは祈をすました。祈がすむと起ちあがって、傍にあった水桶から 人形に水をかけてどうするだろうと季和は思った。そう思って季和が人形に注意を向けたときであった。今まで横になっていた人形が魂の入ったようにむくむくと動きだした。すると、婆さんは傍にあった小さな箱の中へ手をやって、小さな 季和は体が硬ばったようになった。人形はその鋤を牛につけ、その牛を走らしてそのまわりを耕しはじめた。牛の後で人形は鍬を持った。まわりは見る見る耕地になって往った。婆さんはまた箱の中へ手をやって一握りの物種を取りだした。人形はそれを耕地の上へ蒔いた。 青い物の芽が 七八升の実が婆さんの前に置かれた。婆さんはその実を隅の もう耕されていた畑ももとのとおりになっていた。婆さんは白い粉を水で煉ってそれを餅に円めた。八個ばかりの餅が出来た。季和はその餅はどうするだろうと思って眼を放さなかった。 餅が出来てしまうと婆さんは、その餅を見てにっと笑いながら燈火を持って出て往った。後は真暗になってしまった。季和は寝床の上へ戻りながら奇怪なこともあればあるものだ、全体あの餅をどうするだろうと思って八個の数を浮べた時、自個達旅人もちょうど八人だということを考えだした。では旅人に出すためだろうか、何のためにあんなことをして いつの間にか夜があけた。客は皆起きて出発の 婆さんが入ってきた。婆さんは人の好い顔をしていた。 「皆さん、お準備ができましたら、温かい餅ができておりますから、おあがりなさい」 旅人は皆手荷物を持って入口の方へ出て往った。季和は餅というのは気味の悪いあの餅ではないかと思った。あの餅なら決して口にしてはならないと思いながら皆に 八個の大きな餅が卓の上に置いてあった。それはかの気味の悪い餅であった。 「せっかくでございますが、私は夜明 季和は幾らかの金を出して婆さんの手に載せ、そのまま外へ出てしまった。出てしまったもののその餅をたべた旅人が、どんなになるだろうかという好奇心があるので、家の横手へ往って戸の隙から中を窺いてみた。 七人の旅人は卓に向きあってその餅を旨そうに喫っていた。そして、間もなく餅がなくなってしまった。旅人の中にはもう二人ほど 驢馬は室の中を歩きだした。婆さんが鞭を持ってきて、その驢馬を叩き叩き裏口の方へ通じた扉を開けて外へ追い出して往った。 季和は東都からの帰りに再び三娘子の家へ往った。彼が不思議なことを見せられている婆さんの処へ往ったのは考えがあったからだ。 「これは、いつかのお客さんでございますか、ようこそお寄りくださいました」 婆さんは その晩も五六人の旅人があった。飯がすむと皆がいっしょの室へ入って寝た。考えを持っている季和は寝たふりをして夜具にくるまっていた。 間もなく婆さんが火を取りにきて、室の中は真暗になった。季和は眼を開けて次の室の方へ注意した。と、一時ばかりして荒壁の隙から明りが見えだした。季和は蒲団から這い出てまた壁の隙から隣の室を窺いた。婆さんが竈の前に坐って、傍の箱から人形を出しているところであった。 季和は嘲りながら見ていた。婆さんはまた指を組み合せて人形の方に向って祈をはじめた。祈がすむと水桶の水を 朝になって五人の者は入口の室へ往った。五個の餅が卓の上に置いてあった。婆さんは傍へきてそれを皆にすすめた。季和は別に懐に 「これは、私が昨日路で買ってきた餅ですが、私は温かいのを御馳走になりますからあげます、あがってごらんなさい、ちょっと旨いですよ」 「そうですか、それは、どうも有難うございます、いただきましょう」 婆さんはその餅を口に持って往った。季和は自個の持ってきた餅を喫いながら婆さんに注意していた。と、婆さんがひっくり覆った。婆さんの姿はもう驢馬に変っていた。それといっしょに他の四人の旅人も皆驢馬になってしまった。季和は走って往って婆さんの驢馬に飛び乗った。そうして愉快そうに言った。 「どうだ、俺には 四年の後、季和は婆さんの驢馬に乗って旅行をしていた。 「 老人は驢馬の口を捕えた。 「三娘子も罪があるが、貴郎には大分恥をかかされた、もう許してやったらどうだな」 季和がおりると老人は驢馬の鼻と口の間へ手をかけて物を引き裂くようにした。驢馬がなくなって三娘子が姿を現わした。三娘子は老人の方に向って 底本:「中国の怪談(一)」河出文庫、河出書房新社 1987(昭和62)年5月6日初版発行 底本の親本:「支那怪談全集」桃源社 1970(昭和45)年11月30日発行 入力:Hiroshi_O 校正:小林繁雄、門田裕志 2003年9月17日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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