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水莽草(すいぼうそう)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-25 9:20:38 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 | ||||||
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この水莽鬼の伝説のある楚の地方では、同じ 「どうかお茶を一ぱい飲ましてください」 と言うと、媼さんはこころよく迎えて、 「さあ、さあ、どうかお休みくださいまし」 と、言って祝に腰をかけさし、静かに茶を汲んできたが、茶器も立派なうえに茶の色も良かった。祝はますます喜んで飲もうとしたが、みょうな匂いがして茶のようでないから飲まずに置いて、 「どうもありがとう」 と、言って起って出ようとすると媼さんが止めた。 「どうか、すこしお待ちなすってください」 と、言って媼さんはそれから内の方を見て、 「三 すると台の後から少女が茶を捧げて持ってきた。それは年の頃十四五の綺麗な少女で指輪も 「どうか、もう一ぱい」 と、言って二杯目の茶をもらったところで、媼さんが外へ出て往った。それを見て若い祝は少女の細そりした手を握ったが、少女が厭な顔もしないでその手の指輪の一つを 「あなたはどうした方です」 と、聞くと少女は囁くように言った。 「晩にいらっしゃい、わたし此所にいるわ」 祝は夜になってくることにして、同年の男の所へ往こうとしたが、非常に旨かった茶のことを思いだしてその葉をすこしもらって出かけ、そして、同年の男の家へ往ったところで気もちが悪くなった。祝は途中で飲んだ茶のためではないかと思って、同年の男にわけを話した。 「あぶない、そいつは水莽鬼だ、僕の親爺もそれで死んでるのだ、そいつはどうかしなくちゃならない」 同年の男が顔の色を変えて驚いたので祝もふるえあがったが、念のために少女からもらってきた茶の葉を出して見せた。同年の男は一眼見て断言した。 「たしかに水莽草だ」 祝はそこで指輪を出して少女の 「この指輪も貰ったのだが、鬼だろうか」 「待て、よ」 と、同年の男はちょっと考えて、 「これは、きっと三娘だ」 祝は 「どうして、三娘ということが解ってるのだ」 「この南の村に、 同年の男の傍にいる者が、鬼に祟られているものは、その鬼の家へ往って、鬼となった者が 「僕が死んだなら、あの女をどうしても生れ代ることのできないようにしてみせる」 同年の男は祝を乗物に乗せて舁いで送って往ったが、家に往きつくと共に死んでしまった。祝の母は泣きながら葬式をすました。祝には一人の男の子があったが、 「お前はなにしに来たの」 すると祝が言った。 「私は、お母さんの泣声が聞えると苦しいから、お母さんの世話をしにきたのです、私は死んでますけれども、家内も出来てますから、それも 母はそこで聞いてみた。 「お前の家内というのは、どうした方かね」 「それは寇三娘です、寇の両親は、みすみす私を殺したから、私は三娘を生れ代らせないようにしようと、三娘のいる所を探していると、友達の 暫くして門の外から一人の女が入ってきた。見ると綺麗に化粧した美しい女であった。女は母に向ってお辞儀をした。祝は母に言った。 「これが三娘です」 二人がそうして揃っているのを見ると生きた人ではないが、母の心は慰められるのであった。祝はそこで三娘に母の手助けをさした。三娘は富豪の女で家事のことをしたことがないので、 二人はそれから母の許にいた。三娘は母に言ってそのことを自分の家に知らさした。祝はそれを好まなかったが、母は三娘の言うとおり寇家へ知らした。寇家の両親はそれを聞くとひどく駭いて車に乗って駈けつけた。そして、逢ってみると確かに三娘であるから声が出なくなるまで泣いた。三娘はそれをなぐさめた。三娘の母親は祝の家の貧しいのを見て三娘をなおさら可哀そうに思った。 「私は生きていないから、貧しくたって何ともないのです、それに祝さんのお母さんも可愛がってくだされるのですから、心配しないでください」 三娘の母親は聞いた。 「お前と同時にお茶を飲ましてた媼さんは何人だね」 「あれは と、言った。三娘は祝の方を振返って、 「あなたは婿じゃありませんか、なぜあいさつをしてくださらないのです」 祝はそこで三娘の両親にあいさつをした。三娘はそれから 「あれは、わしが それを聞いて祝の母が言った。 「お前も、何故、人を取って生れ代らない」 「私は、こんなことをする者に対して恨みがあるのですから、そんな奴を皆追いのけてしまいたいのです、くだらんことをしたくないのです、それに私はこうしてお母さんにつかえていれば良いのです、生れ代りたくはないのです」 それから村で水莽草の毒に中る者のあった時には、御馳走を供えて祝を祭ると ![]() 祝夫婦は母を葬ってから、二年あまりして児に家内を持たしたが、それは任侍郎[#「侍」は底本では「時」]の孫女であった。それは任侍郎の妾が女の児を生んだところで、数ヶ月にして亡くなったが、後になって三娘が祝に捉えられて伴れもどされたということを聞いたので、祝の家へ往って祝夫婦と親類づきあいをするという約束をしていた。とうとう任の家では孫女を祝の児の嫁にして、それから往来するようになったのであった。 「上帝が、わしが人世に功があると言われて、わしを四 児が何か言おうとしていると、庭のさきに四頭の馬をつけた 「祝さんがもう出かけたのですから」 そして、門を出たかと思うと、もう見えなくなった。祝の児の名は 底本:「中国の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社 1987(昭和62)年8月4日初版発行 底本の親本:「支那怪談全集」桃源社 1970(昭和45)年発行 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 入力:Hiroshi_O 校正:noriko saito 2004年9月25日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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