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阿宝(あほう)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-25 8:39:29 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 | |||
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粤西に 村に豪商があってそこの富力は大名とおんなじ位だといわれていた。従って親類も皆身分がよかった。その豪商に 「君は細君を亡くしているが、阿宝に結婚を申しこんではどうだね」 と言った。孫はふとその気になって自分の境遇のことも考えずに、とうとう 阿宝の父親は孫の名を聞いたが、あまり貧乏だからと思って躊躇した。そこで媒の婆さんが父親の 「あの枝指をとってくれるなら、結婚してもいいわ」 婆さんは帰ってきて孫に話した。孫は本気にして、 「そんなことはなんでもないさ」 と言って、婆さんの帰った後で、斧を出してきて、その枝指を 「では、お婆さん、こう言ってちょうだいよ、あなたの馬鹿をとってくれってね」 婆さんは帰ってきてまたそれを孫に話した。孫は、 「婆さん僕は馬鹿じゃないよ、僕を馬鹿というのは間違っているよ」 とやかましく弁解したが、自分の腹の中を女に見せることができないということに気が 「阿宝が綺麗だといったところで、天女にはおよばないだろう、高くとまるにもほどがあるじゃないか」 と言ったが、それから阿宝と結婚しようとするの思いはなくなってしまった。 清明の節になった。土地の風習としてその日は女が郊外に出て遊ぶので、軽薄の少年が隊を組んで 「一度、あの人を見ようと思ってるのじゃないかね」 孫も阿宝のことで自分をからかっているということを知っていたが、女からばかにせられているので、どんな女であるか一度見たいと思って喜んで随いて往った。 ふと見ると遠くの方の樹の下に女が休んでいて、それを少年達が取り巻いて 「あれはきっと阿宝だよ」 急いで往って見ると果して阿宝であった。孫はそれをじっと見た。それは 孫の友人達はむこうの方へ往ってふりかえった。孫はまだ 「おい魂が阿宝に随いて往ったのじゃないかい」 孫は考えこんだまま返事もしなかった。皆は孫の平生のぼんやりを知っているので怪しまなかった。そこで皆で手を引いたり後ろから推したりして帰ってきた。そして家へ帰った孫は、すぐ 「おい、しっかりしろ、どうしたのだ」 といって訊くと、孫はぼんやりした声で、 「俺は阿宝の家にいるのだ」 と言った。家の者はもうすこし はじめ孫は、阿宝の帰って往くのを見て、捨ててゆけない気になると共に、自分の体がそれに従いて往くのを感じた。そして、やっとその帯の間にひっついたが、べつに叱る者もなかった。とうとう女の家へ帰って、寝る時も坐る時もいつもいっしょにいるようになった。孫は甚だ得意であったが、ひもじいので、一度家へ帰ろうと思っても路が解らなかった。 女は毎晩夢の中で男に愛せられるので、 「あなたは、 と言って訊いた。すると男は、 「私は孫子楚だよ」 と言った。女は心のうちで不思議に思ったが、人に言うべきことでもないから黙っていた。 孫の体は榻に寝てから三日になったが、息がかすかになって今にも滅入りそうになった。家の者はひどく驚いて人を豪商の許へやって、そこで魂を招かしてくれと頼んだので、阿宝の父親は笑って言った。 「ふだん往復したことのない者が、なんで私の家へ魂を遺してゆこう」 孫の家の者はそれでも是非招かしてくれと頼んだので、阿宝の父親もやっと承諾した。そこで 孫は既に病牀を離れたが、阿宝のことが忘れられないので、時とするとものを忘れた人のようになって考えこむことがあった。そしていつも阿宝の身辺に注意していて、もう一度逢ってみたいと思っていた。四月八日の 午ごろになって阿宝の車がやっと来た。阿宝は車の中から孫を見つけて、しんなりした手で 「失礼ですが、あなたのお名前は」 孫は 「私は孫子楚というものでございます」 孫の魂はますますぐらついた。そのうちに車は往ってしまった。孫はそこでやっと帰ってきたが帰るとまた病気になって、精神が朦朧となり、食事もせずに夢中になって阿宝の名を呼んだ。そして自分の魂の霊験のなくなったのを恨んだ。 その孫の家には一羽の 「お嬢さん、鎖をつけちゃ駄目です、僕は孫子楚ですよ」 阿宝はひどく駭いて鎖を解いた。孫の鸚鵡は動かなかった。そこで女は言った。 「あなたのお心は、心にきざんでおりますけれど、今となっては、 孫の鸚鵡が言った。 「僕は、あなたの側にいられるなら、本望だ」 他の人が餌をやっても食わなかったが、阿宝がやれば食った。そして、阿宝が坐るとその膝の上に止まり、寝るとその榻に止まった。 そんなふうで三日になった。阿宝はそれがひどく気の毒になって、陰に人をやって孫の家の 「あなた、 孫の鸚鵡が言った。 「僕をだますのじゃないのですか」 阿宝は、 「けっしてだましません」 と固く誓った。孫の鸚鵡は目をみはって何か考えているようであったが、暫くして女が髪を結うために 「おい履を取ってくれ」 と言った。家の者がその理由を知るに苦しんでいると、そこへ阿宝の家の婆さんが入ってきて、孫を見て、 「その履は何処にあったのです」 と言った。孫は言った。 「これは阿宝と誓いをした物です、あなたから言ってください、僕はお嬢さんの 婆さんが帰って往って孫の言ったことを言った。阿宝はますます不思議に思って、わざと婆さんからその容子を母親に話さした。母親はそれを確かめたうえで、 「この人は、評判も悪くはないが、ただ 阿宝は孫に誓っているから決して他へは往かないと言った。阿宝の父親と母親はとうとう女の言葉に従った。 阿宝の父親は孫を入婿にしようかどうかということを評議した。すると阿宝が言った。 「婿は久しく 孫はそこで阿宝を親しく迎えて結婚したが、二人は互いに世を隔てて逢った人のように 孫はそれから細君が化粧料として持ってきた金ですこし豊かになった。またいくらか財産もふえたので書物に一生懸命になって、家のことは見向きもしなかった。阿宝はよく貯蓄して、他のことで孫を 三日過ぎて親類や友人が集まって、孫の死骸を葬ろうとした。と、棺の中からうめき声が聞えてきた。開けてみると孫は活きかえっていた。 「冥王の前へ往ったところが、冥王は僕が平生の誠実を知っておって それから孫の体はだんだんと回復した。そのうちに官吏登用試験がきた。孫もそれに応ずることになったが、試験場に入る前にあたって、悪戯の少年達はまた孫をからかって、七つ出ることになっている試験の題になぞらえたものを作り、孫を人のいない所へ伴れて往って話した。 「これは某という家へ賄賂を贈って得たものだから、君にあげるよ」 孫はほんとうにして昼夜いろいろと工夫して七つの文章を作った。少年達は 底本:「中国の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社 1987(昭和62)年8月8日初版発行 底本の親本:「支那怪談全集」桃源社 1970(昭和45)年11月30日発行 ※「 入力:Hiroshi_O 校正:門田裕志、小林繁雄 2003年8月3日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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