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創作余談(そうさくよだん)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006/9/20 9:20:11 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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創作余談、とでもいったものを、と できるようにも思うのであるが、私は、わざと、できぬ、という。無理にも、そう言う。文壇常識を破らなければいけないと頑固に信じているからである。常識は、いいものである。これには従わなければいけない。けれども常識は、十年ごとに飛躍する。私は、人の世の諸現象の ほんとうは、マルクス、エンゲルス両先生を、と言いたいところでもあろうが、いやいや、レニン先生を、と言いたいところでもあろうが、この作者、元来、言行一致ということに奇妙なほどこだわっている男で、いやいや、そう言ってもいけない、この作者、元来、非惨を愛する趣味家であって、安心立命の境地を目して、すべて崩壊の前提となし、ああ、あとの言葉は、諸兄のうち、心ある者、つづけ給え。 このように、作者は、ものぐさである。ずるい。煮ても焼いても食えない境地にまで達しているようである。憎いか? 憎いことはないだろう。私は、いまのこの世の中に最も適した表現を以て、諸兄に話かけているだけなのである。私は、いまのこの現実を愛する。冗談から駒の出る現実を。 判るかね? 不愉快かね? 君自身、おのれの不愉快な存在であることに気づかなければいけない。君は、無力だ。 非難は、自身の弱さから。いたわりは、自身の強さから。恥じるがいい。 自己弁解でない文章を読みたい。 作家というものは、ずいぶん見栄坊であって、自分のひそかに苦心した作品など、苦心しなかったようにして誇示したいものだ。 私は、私の最初の短篇集『晩年』二百四十一頁を、たった三夜で書きあげた、といったら、諸兄は、どんな顔をするだろう。また、あれには十年たっぷりかかりまして、と殊勝らしく伏眼でいったら、諸兄は、どんな顔をするだろう。そこの態度を、はっきりきめていただきたい。天才の 面白いかね? すこし冗談いいすぎたようである。私は、いま、机の前に端座して、謂わば、こわい顔して、この一文をしたためている。この一文にとりかかるため、私は、三夜、熟考した筈である。世間の常識ということについて考えていた。私たちは、全く、次の時代の作家である。それは信じなければいけない。そう在るべく努力してみなければいけない。意の在るところの一端は、諸兄にも通じたように思う。 私は、このごろ、アレキサンダア・デュマの作品を読んでいる。 底本:「もの思う葦」新潮文庫、新潮社 1980(昭和55)年9月25日発行 1998(平成10)年10月15日39刷 入力:蒋龍 校正:今井忠夫 2004年6月16日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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