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失敗園(しっぱいえん)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006/9/20 8:40:02 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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(わが とうもろこしと、トマト。 「こんなに、丈ばかり大きくなって、私は、どんなに恥ずかしい事か。そろそろ、実をつけなければならないのだけれども、おなかに力が無いから、いきむ事が出来ないの。みんなは、 「なんだ、なんだ、竹じゃないか。」 「本気でおっしゃるの?」 「気にしちゃいけねえ。お前さんは、夏 「葉ばかり伸びるものだから、私を 「ふん、どうやら、ね。もっとも俺は、下品な育ちだから、 クルミの苗。 「僕は、孤独なんだ。大器晩成の自信があるんだ。早く毛虫に這いのぼられる程の身分になりたい。どれ、きょうも ネムの苗。 「クルミのチビは、何を言っているのかしら。不平家なんだわ、きっと。不良少年かも知れない。いまに私が花咲けば、さだめし、いやらしい事を言って来るに相違ない。用心しましょう。あれ、私のお尻をくすぐっているのは誰? 隣りのチビだわ。本当に、本当に、チビの にんじん。 「どうにも、こうにも、話にならねえ。ゴミじゃ無え。こう見えたって、にんじんの芽だ。一箇月前から、一分も伸びねえ。このまんまであった。永遠に、わしゃ、こうだろう。みっともなくていけねえ。誰か、わしを抜いてくれないか。やけくそだよ。あははは。馬鹿笑いが出ちゃった。」 だいこん。 「地盤がいけないのですね。石ころだらけで、私はこの白い脚を伸ばす事が出来ませぬ。なんだか、毛むくじゃらの脚になりました。ごぼうの振りをしていましょう。私は、素直に、あきらめているの。」 棉の苗。 「私は、今は、こんなに小さくても、やがて一枚の へちま。 「ええと、こう行って、こうからむのか。なんて不細工な棚なんだ。からみ附くのに大骨折りさ。でも、この棚を作る時に、ここの主人と細君とは夫婦喧嘩をしたんだからね。細君にせがまれたらしく、ばかな主人は、もっともらしい顔をして、この棚を作ったのだが、いや、どうにも不器用なので、細君が笑いだしたら、主人の汗だくで怒って 「ここの庭では、やはり私が女王だわ。いまはこんなに、からだが汚れて、葉の 「我輩を、せめて、竜の 「ねぎ、じゃないの。」 「見破られたか。面目ない。」 「何を言ってるの。ずいぶん細いねぎねえ。」 「ええ面目ない。地の利を得ないのじゃ。世が世なら、いや、敗軍の将、 花の咲かぬ矢車草。 「是生滅法。盛者必衰。いっそ、化けて出ようか知ら。」 底本:「太宰治全集3」ちくま文庫、筑摩書房 1988(昭和63)年10月25日第1刷発行 底本の親本:「筑摩全集類聚版太宰治全集」筑摩書房 1975(昭和50)年6月~1976(昭和51)年6月刊行 入力:柴田卓治 校正:渥美浩子 2000年4月27日公開 2005年10月25日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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