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織田君の死(おだくんのし)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-16 6:58:06 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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織田君は死ぬ気でいたのである。私は織田君の短篇小説を二つ通読した事があるきりで、また、逢ったのも、二度、それもつい一箇月ほど前に、はじめて逢ったばかりで、かくべつ深い附合いがあったわけではない。 しかし、織田君の はじめて彼と銀座で逢い、「なんてまあ哀しい男だろう」と思い、私も、つらくてかなわなかった。彼の行く手には、死の壁以外に何も無いのが、ありありと見える心地がしたからだ。 こいつは、死ぬ気だ。しかし、おれには、どう仕様もない。先輩らしい忠告なんて、いやらしい偽善だ。ただ、見ているより外は無い。 死ぬ気でものを書きとばしている男。それは、いまのこの時代に、もっともっとたくさんあって当然のように私には感ぜられるのだが、しかし、案外、見当たらない。いよいよ、くだらない世の中である。 世のおとなたちは、織田君の死に就いて、自重が足りなかったとか何とか、したり顔の批判を与えるかも知れないが、そんな恥知らずの事はもう言うな! きのう読んだ 「生を棄てて逃げ去るのは罪悪だと人は言う。しかし、僕に死を禁ずるその同じ 織田君を殺したのは、お前じゃないか。 彼のこのたびの 織田君! 君は、よくやった。 底本:「もの思う葦」新潮文庫、新潮社 1980(昭和55)年9月25日発行 1998(平成10)年10月15日39刷 入力:蒋龍 校正:今井忠夫 2004年6月16日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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