打印本文 关闭窗口 | ||||||||||||||||
春(はる)
|
||||||||||||||||
作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-15 7:44:04 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
時 さくら さくら
やよいの そらは みわたす かぎり かすみか くもか 少年少女が登場すると、舞台裏でもその唱歌を少し遅らせて、 少女「おや! 兄さん、
少年「うそだよ、きっと
少年歌いつづける。少女耳をすます。
においぞ いずる
いざや いざや みに ゆかん 少女「いいえ兄さん、よく聞いて御覧なさい……ほらね」
少年「ああ、ほんとだ、
少女「ね、兄さんもっと何か言って御覧なさい」
さくら さくら
やよいの そらは 少年歌いながら首を
少年「誰だ!」
山彦「誰だ!」
少女おどおどと少年に寄添う。
少年「真似をするのは誰だい」
山彦「真似をするのは誰だい」
少女「兄さん、あたし怖くなったわ」
少年「怖かあないよ。誰かきっと
少年勇敢に力みながら
少年「人の真似をするのは失敬だぞ!」
山彦「人の真似をするのは失敬だぞ!」
少女「大丈夫兄さん?」
少年「大丈夫だよ」山に向い「
山彦「馬鹿野郎」
少女「兄さん。向うの人きっと怒ったのよ」
少年「そうかなあ」
少年も
上手より 少女「あら先生よ」
少年「あ、吉野先生、こんちは」
先生「今日は」
少年「先生、先生は
先生「いや、歌いませんぞ」
少年「でも、先生、ぼくたちが唱歌を歌っていたら向うの山でも唱歌を歌いましたよ」
先生「なるほど」
少女「それからねえ先生、あんまり
先生「なるほどね」
少年「あれは山の
先生「ははは、それはね山のお
少年「山彦がものを言うんですか」
先生「そうじゃ、こちらの声が向うの山へ響くと、向うの山がそれを返してくるのじゃ、だからこちらの言う通りに向うでも答えるのだ」
少年「だから僕が
先生「そうだろう。だからこちらで何かやさしい事を言ってやれば、向うでもやさしい事を返してくるのじゃ」
少年「おもしろいなあ」
少女「兄さん、何かやさしい事を言って御覧なさい」
少年(山に向い)「こんちは、ごきげんはいかがですか」
山彦「こんちは、ごきげんはいかがですか」
少年少女顔を見合せて笑う。
少年少女「あなたは
山彦「あなたは好い方ですね」
先生「どうだね、山彦は正直だろう。どれ私は行こう、仲よく遊んでおいで」
少年「先生、さよなら」
少年少女「さようなら」
先生下手へ去る。
[#改ページ] ころ ころ 小山の
なぜに ころ ころ お泣きだえ お母さんがないか 実がないか お母さんは そばに いなさるし 木の実は お山に あるけれど 九十九人の 九十九谷をとりまいて 少年「
少女「そうね」(耳をすます)
歌が終ると、下手から一匹の兎が
兎「助けて下さい。怖い猟人がわたしを撃ちにくるんです」
少年「その猟人はどこにいるの」
兎「あれあの坂をいま上ってます。もうじきここへ来るでしょう。どうぞわたしを助けて下さい。」
少女「まあ、
少年「よし、きっとぼくが助けてあげるよ」
兎「ほんとに、坊ちゃんありがとう」
猟人撃方の構えに銃を持って、下手より急ぎ登場。
少女「あら兄さん」
少年「あ、来たな」鋭く少女に「はやく、かくして、かくして」
猟人「坊ちゃん、
少年「なんですか」
猟人「兎を知りませんか」
少年「知っていますよ、おじさん」
この対話の間に、少女は兎をほどよき
猟人「たしかこの辺へ逃込んだがなあ」(
少年(
猟人「ああ、その白兎、白兎」
少年「耳が長いでしょう、おじさん」
猟人「そうそう耳が長いね」
猟人、銃を
少年「ね、おじさん、兎の
猟人「短いとも、これんばかりさ」
少年「それから、前脚が短くて、後脚が長いでしょう」
猟人「短くって、長くって」猟人は、自分が何をしているかを
少年「おじさん、その兎はやっぱり赤い
猟人「ぼくは、坊ちゃんの博物の
少年「白兎ですね。おじさん」
猟人「白兎ですよ。何遍それを言えば
少年「なあんだ、おじさんは、その
猟人「そうさ」
少年「だっておじさんは、いきなり兎を知らないかって言うんだもの、だからぼく、学校の
猟人「
少年「ああ、その兎なの」
猟人「そうさ」
少年「その兎なら、もうよっぽど遠くへ逃げました。あの道の先の、ほら左側に赤松があるでしょう」
猟人「あるある」
少女は
少年「あすこを左へ曲って、桜の木が見えるでしょう」
猟人「ああ、見えるね」
少年「あの木から、一本、二本、三本、四本、五本、六本、十三本目の桜の下へかくれましたよ」
猟人「いや、どうもありがとう」
猟人はあたふたと、上手へ走ってゆく。
少年「おじさん、早く走らないと、また兎が逃げますよ」
少年兎に近づきながら、「万歳、万歳。兎さんもう出ても
少女「ずいぶん心配したわ」
兎「やれやれ、ほんとに
少女「よかったわね」
少年「うまくいったね」
少年を上手に、兎をまん中に、三人手をつなぎ舞台の前へ進み。
かすみか くもか
はたゆきか…………舞台裏の (幕)
底本:「童話集 春」小学館文庫、小学館 2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行 底本の親本:「童話 春」研究社 1926(大正15)年12月 ※「少年( 入力:noir 校正:noriko saito 2006年7月2日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
|
||||||||||||||||
打印本文 关闭窗口 |