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かえるの王様(かえるのおうさま)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-1 11:58:23 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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いちばん下の おひめさま、
あけてください たのみます。 つめたい泉の わくそばで、 きのう やくそく したことを、 あなたは おぼえて いるでしょう。 いちばん下の おひめさま、 あけてください たのみます。 すると王さまはいいました。 「それはおまえがいけないね。いちどやくそくしたことは、きっとそのとおりしなければなりません。さあ、はやく行って、あけておやり。」 おひめさまはしぶしぶ立って、戸をあけました。とたんに、かえるはぴょこんととびこんで来て、それから、おひめさまのあとについて、ひょこひょこ、いすの所までやってきました。 かえるは、そこにしゃがみこんで、上をみながら、 「わたしも、そのいすに上げてください。」といいました。おひめさまがもじもじしていると、おとうさまがまた、かえるのいうとおりしておやりといいました。 おひめさまはしかたなく、かえるをいすにのせてやりました。 するとかえるがまたいいました。 「どうぞ、わたしを、テーブルの上にのせてください。」 おひめさまが、かえるをテーブルにのせてやると、こんどは、 「さあ、その金のお皿をずっとわたしのほうによせてください。そうするとふたりいっしょにたべられるから。」といいました。 おひめさまは、かえるのいうとおりしてやりました。ほんとに、かえるが、ぴちゃぴちゃ、さもおいしそうに舌づつみうってたべているそばで、おひめさまは、ひとくちひとくち、のどにつかえるようでした。 かえるはたべるだけたべると、おなかをまえへつきだして、 「ああ、おなかがはって、ねむくなった。おひめさま、さあ、わたしをあなたのおへやにつれて行ってください。かわいらしい、あなたのきぬのお おひめさまは、もうがまんができなくなって、しくしく泣きだしてしまいました。ほんとに、ぬるぬる、ぴちゃぴちゃ、さわるのもきみのわるいかえるが、おひめさまのきれいなお するとまた王さまが、 「泣くことがあるか。たれでも、こまっているとき、たすけてくれたものに、あとで知らん顔するのは、いけないことだよ。」といいました。 おひめさまは、さもきみわるそうに、指のさきでそっとかえるをつまみあげて、上のおへやまでもって行くと、そっと ところが、かえるは、さっそく、のこのこはいだしてきて、 「ああくたびれた、くたびれた。はやくゆっくりねむりたい。さあ、そこへ上げてください。でないと、おとうさまにいいつけるから。」といいました。 これでおひめさまは、すっかり腹が立ちました。そこでいきなりかえるをつかみ上げて、ありったけのちからで、したたか、 「さあ、これでたんとらくにねむるがいい。ほんとにいやなかえるったらないよ。」 ところで、どうでしょう。かえるは、ゆかの上にころげたとたん、もうかえるではなくなって、世にもうつくしいやさしい目をした王子にかわっていました。 さて、この王子が、おひめさまのおとうさまのおぼしめしで、おひめさまのお友だちでも、おむこさまであることになりました。そのとき、王子はあらためて、じぶんの身の上の話をして、あるわるい 三 それでふたりはゆっくりやすみました。そして、あくる朝、お日さまがにこにこ、ふたりをお起しになるじぶん、八 忠義もののハインリヒは、鉄のたがを三本も胸にまきつけていました。それは、ご さて馬車がすこしはしりだしたとおもうころ、王さまのお耳のうしろで、ぱちり、ぱちり、なにかはじける音がしました。わかい王さまはそのとき、うしろをふりかえっていいました。 「ハインリヒ、馬車がこわれるぞ。」
「いいえ、いいえ お あれは馬車では ござんせぬ。 せっしゃのむねに はめたたが。 殿さま、げえろにならしゃって、 ぎゃあぎゃあ、泉でなかしゃるで、 はりさけそうな このむねを、 むりにおさえた そのたがが。」 それでも、ぱちり、ぱちり、また二どもはじける音がしました。わかい王さまは、そのたんびに馬車がこわれるのではないかとおもいました。けれども、それはやはり、ご主君がにんげんにかえって、たのしい日をおくられることになったので、ふさがっていたハインリヒのむねが、ひらけたため、胸のたががはれつして、とびちる音でございました。 底本:「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」小峰書店 1949(昭和24)年2月20日初版発行 1949(昭和24)年12月30日4版発行 ※原題の「DER FROSCHKNIG ODER DER EISERNE HEINRICH」は、ファイル冒頭ではアクセント符号を略し、「DER FROSCHKONIG ODER DER EISERNE HEINRICH」としました。 ※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。 入力:大久保ゆう 校正:浅原庸子 2004年4月29日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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