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『亜』の回想(『あ』のかいそう)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-8-30 7:48:13 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 | ||||||||||
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亞は僕にとつては毎月の清楚な食卓だつた。その皿の數ほどの頁、そしてリフアインされたお喋り。その椅子につくことは僕の閑雅なたのしみであり矜りであつた。伊豆へ來てもう一年にもなるが、その間に北川から送つてくれた亞は積つて、いつも机邊にあつた。そのなかの詩や散文は自づと口に出て來る位僕には親しい。村の本屋へ新刊の雜誌が來てゐても、此頃は買はずに歸るのが常である。流行文學よりも色づいた柿の葉の一片を持つて歸る方が今の僕にはたのしい。しかし亞は、渡り鳥を待つほども、自分は待つのだ。殊に最近北川と三好が加はつてから。 (昭和二年十二月)
底本:「梶井基次郎全集 第一卷」筑摩書房 1999(平成11)年11月10日初版第1刷発行 初出:「亞」第三十五(終刊)号 1927(昭和2)年12月1日発兌 入力:土屋隆 校正:高柳典子 2005年5月5日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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