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小熊秀雄全集(おぐまひでおぜんしゅう)-09

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数649 更新时间:2006/8/29 0:41:44 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


心の敷物

いまも呪咀と罵りの
いつぱいはいつたトランクを引つさげて
私は寝床をぬけだして
朝の街の中に走りだした
生の中にもちこんだ赤い死の色
私の眼は死に光り
生きてゐるにぶい感能のない通行人や
電車の中の愚鈍な眼の人々に
その私の視線をつめたくをくる、
彼等の眼を蘇生させることは空しい
そして私は一日中街をかけまはつて
疲れて寝床に帰つてきてその中にもぐる
自由にふるまへ私のいのちよ、
朝と夜との間によりそれはないのだから、
飢えたら自分で自分の舌をしやぶるのだ、
漂泊の精神、
建物と建物との間を
自然の陰影を悲しみながら通過する
一日中かけまはる心の敷物、
帰りにはズタズタに擦り切れて
血にまみれた旗印、
ばたばたと斃れてゐる私の無数の死骸、


納屋の中の青春

あゝ冬はいやだつた
青春はコールタールを塗つたくられた
汚れたワイシャツを着た私達の人生が
納屋の中のやうな貧しい家で
おたがひの心も肉体も
ガバガバと鳴つて暮らした、
いま漸く春がきて、
しかも習慣的に――、
沖からは塩気を含んだ風を岸におくつてきた、
体はそのためにしめつて
私達は始めて人心地になつた、

人生に冷めたいものは冬と墓石だけで
人間の心は温いものと思つてゐたのに
冬の間――、冷めたかつたのは人間の心であつた
墓よりも冬よりも冷めたく
月よりも、秋よりも淋しい奴、お前人生よ、
春が来て私をちよつと許り私を嬉しがらせたとき
なまぬるい風が、街では病人を死へ運び去つた。


夜の群

人間とは救ひ難い者をも愛さねばならないのか
愚眛な動作で調子を合せて手の指を鳴らすナンセンス野郎も
金歯をむきだしにして笑ひ楽しんでゐる女も
壮観極りないほど鯨飲鯨食する徒も
燕尾服の前をはだけて立小便をしてゐる
胸に白薔薇を挿した泥酔漢も
よちよちと子供に手を引かれて
猥歌をうたひあるく職業乞食も
左翼ファンも文学青年も
ジレッタント学生、守銭奴の爺も
とろけた眼をしてゐる男色家も
これらのすべての者を愛する義務と
力とは誰がもつてゐるのか?
これらの悲しい愚かしい群は毎夜街をさまよふ
しかも彼等は何者をも怖れず
心の喜捨をも乞はず
強い独り語で満足してゐる
これら愚昧の徒は日増に街にあふれ
しづかに陥没するやうに夜となつた地球の
くらい階段にぞろぞろと降りてくる、
高遠な理想家、道徳家、政治家も
しばらくは呆然としてこれらの徒の
なすがまゝにそれをみてゐる
敷きのべられた夜を
足音も荒々しく心も散漫に
傾斜した街を彼等は降りてゆく
いまは道徳も何の説得力をもたない
この救ひ難い群を誰が救ふのか?


窓硝子

夜の寒い部屋の中で火もなく
ただ生きてゐる心をしつかりと
支へてゐる肉体だけが坐つてゐる
硝子窓にじつと呪はしい眼をおしつけて
戸外の暮れも押しせまつた街をみてゐる
喧騒もなく景品つきの騒ぎもなく装飾もなく
じりじりと新しい歳にくい入らうとしてゐる
戦争もまだ止まない
避けがたいものは避けてはならない――と
強い声がラヂオで吐(ママ)鳴つてゐる
やさしい猫が窓際にやつてきて
向ふ側から硝子戸に体をすりよせ
内側の私に媚びたやうな格好をする
少しも私が嬉しがらないことを知らない
彼女が熱心に笑ふそのやうにも
尻尾で猫はしきりに硝子を
はたはたといつまでも叩いてゐたが
急にすべてをさとつたやうに
また柔順な皮をするりと脱いで
野獣のやうな性格をちよつと見せて
閃めくやうに窓の下に落ちてみえなくなつた
光らない昼のネオンを
裏側からみることのできる
こゝの裏街の雑ぜんとした私の二階住居
罵しる詩を書く自由を自分のものにしてゐなければ
私は到底かうしたところに住むに堪へ難いだらう
自由はいつの場合もとかく塵芥の中で眼を光らしてゐる
幾人かの不遇なものゝために
生と死との間に自由を与へてゐるだらう
私もまたその間をさまよふのだ
冷めたい凍つた窓硝子に
顔を寄せ十二月の街を見おろす


幸福と退屈

ふしぎな時代に生れ合したものだ
その幸福さをしみじみと感じよう
人間と蛆と心中をするこの時代を感謝しよう
我々は生活の中で学びとつた沈黙の表情で
にやにやと笑つてすごさう
私は意地汚なく生きぬけるだけ
生きようとしてゐるものだ
火の歯車のなかに突入しようとする心を
じつと堪へて街を見る
白き千の箱、どれひとつ涙なくしては眼に映らぬ
退屈な奴はその退屈の長さだけ
キネマ館の周囲をとりまいてゐる
都会の哀愁は夕暮の靄にしづかに沈みただよふ
心躍らぬ奴は赤と白との玉を玉突屋の台の上で
ころがして遊びくらしたらいゝ
世紀を押し倒す力なく
ただ麻雀のパイは勇ましく倒れる

歯を抜かれた不快に似た不安が
永遠につづくかぎり
この酒のほろ酔ひも楽しいかぎり
まつたく何ものを怨むことはないが
まだ歯医者をにくむことは辛うじて残されてゐる


運命偶感

まだすり切れてゐない
私の運命よ
だがさういつまでも新しくはあるまい
次ぎの運命の引き継ぎのために
のこされた精神は
こゝらで石炭殻のやうになることを
私は怖れる
過去は打撃の多い
苦しみの多い生活であつた
運命を満腹さしてくれた
お前の行為に謝する
そして私の愛する民衆の愚眛と
聡明な時の流れに敬意を表する


詩人と秘密

秘密は沢山だ、散文家にまかせてをけ
彼等が秘密を保つこと大きければ
大きいほど大きな仕事ができるから――。
私は詩人だ秘密は大嫌ひ
現実から秘密を発見し
それを披露して人々に嫌な顔をさせたい
だが、すべての詩人は嘘吐きめだ、
まだまだ秘密の公開が足りない
君は真実の歌をさらけ出さない
散文家の大きな嘘は認めてやらう
小さな嘘は笑つてやらう
詩人の嘘は大小に拘はらず認められない
私は小さな嘘吐き共とたゝかふために
生活の上でも、
思想の上でもこんなに苦しんでゐる
馬鹿々々しいスタイリスト詩人共
日本にこれまでよき詩がないのは
君等が嘘でかためたニカワのやうに
立派に観念を固めるからだ
私のふるへる心臓をどうするのだ
どうしてこれを他人が押へようとするのか、
いまこそ知らせてやれ
いかに詩人とは生活が滑稽で
語ることがをかしくて
道化者のやうであるかを知らしてやれ
さて詩人の生活をものの二時間も語つてやれ
最初は面白がつて聞いてゐた奴等も
しだいに憂鬱な顔になるだらうから
秘密をさらけ出す詩人の性情は
すべてに憎まれるか迷惑がられる
それを怖れるな
大きな秘密を発見して
それを大きな考への下に披露してしまへ。

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