第十三の男は語る。
「
この『池北偶談』はいわゆる小説でもなく、志怪の書でもありません。全部二十六巻を談故、談献、談芸、談異の四項に分けてありまして、談異はその七巻を占めて居ります。右の七巻のうちから今夜の話題に適したようなものを選びまして、大詩人の怪談をお聴きに入れる次第でございます」
名画の鷹
狐は毎夜その女のところへ忍んで来るので、張の家では大いに
そのうちに、張の家で客をまねくことがあって、座敷には秘蔵の掛物をかけた。それは
「今夜は危なかった。もう少しでひどい目に逢うところであった」と、狐はささやいた。
「どうしたのです」と、女は
「おまえの家の堂上に
女は夜があけてからその話をすると、家内の者どもも不思議に思った。
「世には名画の
評議一決して、その通りに綱を切って置くと、その夜は狐が姿をみせなかった。翌る朝になって、その死骸が座敷の前に発見された。かれは霊ある鷹の爪に撃ち殺されたのであった。
その後、張の家は火災に逢って全焼したが、その燃え盛る
無頭鬼
彼が
さすがの張献忠もこれには驚いて地に