第十一の男は語る。
「
飛雲渡
彼もさすがにそれを気に病んで、その後幾人の易者に見てもらったが、その占いはほとんど皆一様であったので、彼もしょせん短い命とあきらめて、妻を
「お前さんはなぜ命を粗末にするのだ」
「わたくしは或る家に女中奉公をしている者でございます」と、女は答えた。「主人の
青年はここへ来る途中で、それと同じような品を拾ったのであった。そこでだんだんに訊いてみると確かにそれに相違ないと判ったが、先刻から余ほどの時間が過ぎているので、その帰りの遅いのを怪しまれては悪いと思って、彼はその女を主人の家へ連れて行って、委細のわけを話して引き渡した。主人は謝礼をするといったが、彼は断わって帰った。
それから一年ほどの後、彼は二十八人の道連れと一緒に再びこの渡し場へ来かかると、途中で一人の女に出逢った。女はかの耳環を落した奉公人で、その失策から主人の機嫌を損じて、とうとう暇を出されて、ある髪結床へ嫁にやられた。その店は渡し場のすぐ近所にあるので、女は先年のお礼を申し上げたいから、ともかくも自分の家へちょっと立ち寄ってくれと、無理にすすめて彼を連れて行った。夫もかねてその話を聞いているので、女房の命の親であると尊敬して、是非とも
残された彼は幸いであった。他の二十七人を乗せた舟がこの渡し場を出ると間もなく、俄かに波風があらくなったので、舟はたちまち顛覆して、一人も余さずに魚腹に葬られてしまった。
青年は不思議に命を
女の知恵
その当時、
「あなたは一体どんな事件で、そんなに心配しておいでなさるのです」
丁がその一件を詳しく説明すると、韓氏は考えながら言った。
「もしその嫂が夫を殺したものとすれば、念のために死骸の脳天をあらためて御覧なさい。釘が打ち込んであるかも知れません」
成程と気がついて、丁はその死骸をふたたび検視すると、果たして髪の毛のあいだに太い釘を打ち込んで、その跡を塗り消してあるのを発見した。それで犯人は一も二もなく恐れ入って、裁判はすぐに
「お前の妻はなかなか偉いな。初婚でお前のところへ縁付いて来たのか」
「いえ、再婚でございます」と、丁は答えた。
「それでは先夫の墓を
姚は役人に命じて、韓氏が先夫の棺を開いてあらためさせると、その死骸の頭にも釘が打ち込んであった。かれもかつて夫を殺した経験をもっていたのである。丁は
時の人は姚の明察に服して、
(包孝粛は宋時代の
鬼の贓品
「ここの
老女はあると答えると、それではおれが
「これで妖怪は退治した」と、彼は言った。「しかしその一つを逃がしてしまった。これから二十年の後に、お前の家にもう一度禍いがおこる筈だから、そのときにはこれを焚け」
かれは一つの鉄の
「おまえの家には
これまでにも老女の話を聞いて、その鉄簡をみせてくれという者がしばしばあるので、彼女はその
老女はふと考え付いた。この大王などというのはどこの人間だか判らない。かの道士は二十年後に禍いがあるといったが、その年数もちょうど符合するから、大事の鉄簡を用いるのは今この時であろうと思ったので、腰につけている本物の鉄簡をそっと取って、
しばらくして、火も消え、烟りも鎮まると、そこには数十匹の猿が撃ち殺されていた。そのなかで最も大きいのがかの大王で、先年逃げ去ったものであるらしい。かれらのたずさえて来た諸道具はみなほんとうの金銀宝玉を用いたものであるので、老女はそれを官に訴え出ると、それらは一種の