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私の書に就ての追憶(わたしのしょについてのついおく)
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作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-8-26 8:20:28 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 | ||||||||||||||
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東京の西郊に私の実家が在つた。母屋の東側の庭にある大銀杏の根方を飛石づたひに廻つて行くと私の居室である。四畳半の茶室風の間が二つ連なつて、一つには私の養育母がゐた。彼女はもう五十を越してゐたが、宮仕へをした女だけあつて挙措が折目正しく、また相当なインテリでもあつて、日本古典の書物の外に、漢詩とか、支那の歴史ものを読んでゐた。字も漢字風に固い字を書いた。当時五歳の私に彼女は源氏物語の桐壺の巻を「何れの御時にか、女御更衣数多侍ひ給ひける中に……」と読ませて、私は何の意味も判らないながら、養育母兼家庭教師である彼女の字に真似て実語経の一節や、万葉集の歌を万葉仮名で書き始めた。私は字を書くことに段 底本:「日本の名随筆64 書」作品社 1988(昭和63)年2月20日第1刷発行 1991(平成3)年9月1日第6刷発行 底本の親本:「岡本かの子全集 第一四巻」冬樹社 1977(昭和52)年5月 入力:渡邉 つよし 校正:門田 裕志 2001年9月20日公開 2005年6月28日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。 ●表記について
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