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雷(かみなり)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数753 更新时间:2006/8/24 11:18:58 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

底本: 海野十三全集 第5巻 浮かぶ飛行島
出版社: 三一書房
初版発行日: 1989(平成元)年4月15日
入力に使用: 1989(平成元)年4月15日第1版第1刷

 

   1


 山岳重畳さんがくちょうじょうという文字どおりに、山また山の甲斐かいの国を、甲州街道にとって東へ東へと出てゆくと、やがて上野原うえのはら与瀬よせあたりから海抜の高度が落ちてきて、遂に東京府に入って浅川あたりで山が切れ、代り合って武蔵野むさしの平野が開ける。八王子市は、その平野の入口にある繁華な町である。
 ――待って下さい、その八王子を、まだ少し東京の方へゆくのである。そう、六キロメートルも行けばいいが、それに大してにぎやかではないけれど、近頃とみ戸口ここうが殖えてきた比野町ひのまちという土地がある。
 それは梅雨つゆもカラリと上った七月の中旬のこと、日も既に暮れてこの比野の家々には燭力しょくりょくの弱い電灯がつき、開かれた戸口からは、昔ながらの蚊遣かやりの煙が濛々もうもうとふきだしていた。
 丁度その頃、一人の見慣れない紳士が、この町に入ってきた。その風体は、およそこの田舎町に似合わしからぬ立派なもので、パナマ帽を目深に被り、右手には太いとう洋杖ステッキをつき、左手には半ば開いた白扇を持ち、その扇面を顔のあたりにかざして歩いていた。彼はなんとなくかかわりのある足どりをして道の両側に立ち並ぶ家々の様子に、深い警戒を怠らないように見えた。
 町は狭かった。だから彼は間もなく町外れに出てしまった。
 闇の中に水田みずたは、白く光っていた。そしてそこら中から、仰々しい殿様蛙の鳴き声があがっていた。の紳士は、ホッと溜息を漏らすと、帽子を脱いだ。稲田の上を渡ってくる涼しい夜風が紳士の熱した額を快く冷した。
「……思ったとおりだ。……今に見て居れ」
 紳士は、町の方をふりかえると、低い声で独り言を云った。
 彼は、恐ろしい殺人計画を、自分だけの胸中に秘めて、この比野の町へ入りこんできたのだった。紳士と殺人計画! 一体彼は何者なのであろうか?
 折から、同じ道を、向うの方からこっちへ近づいてくる人影があった。人数は二人、ピッタリと身体を寄せ合って、やってくる。なにかボソボソとささやきあっているが、話の意味はもちろん分らない。だがたいへん話に熱中していると見え、路傍に紳士が立っているのにも気づかぬらしく、通りすぎようとした。
「……モシ、ちょっと。……」
 と紳士が暗闇から声をかけると、
「うわッ……」
 というなり、二人の男は、その場に立ちすくんでしまった。そのときカランカランと音がして、長い竹竿が二人の足許あしもとに転がった。
「ちょっとお尋ねするが、この村に、大工さんで松屋松吉まつやまつきちという人が住んでいたですが、御存知ありませんかナ」
「えッ……」
 といって二人は顔を見合わせた。
「どうです。御存知ありませんかナ」
 と紳士が重ねて尋ねると、そのうちの一人が、ひどくおんぼろな衣服のえりをつくろいながら、オズオズと口を開いた。
「ええ、松吉というのは、わしのことですが、そう仰有おっしゃ貴方あなたは、どなたさんで……」
「ナニ、あんたが松吉さんだったのか。これはおどろいた」と、紳士はギクリと身体をふるわせた。「もう忘れてしまったかネ、こんな顔の男を。……」
 そういいながら、紳士はポケットから紙巻煙草を一本抜きだして口にくわえると、シュッと燐寸マッチを擦って火を点けた。
 赤い燐寸の火に照らしだされた不思議な紳士の顔を穴のあくほど見詰めていた松吉は、やがて大きく眼を見張り、息をグッとむようにして叫んだ。
「ホウ、立派になってはいるが、お前さんはたしかに北鳴四郎きたなりしろう……。もう、七年になるからナ。お前さんがこの町を出てから。……」
 北鳴と呼ばれた紳士は、感激深げに、しきりとうなずいた。

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