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ベースボール(ベースボール)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-10-26 9:22:57  点击:  切换到繁體中文


ベースボールの球(承前) 場中に一人の走者ラナーを生ずる時はボールの任務は重大となる。もし走者同時に二人三人を生ずる時はさらに任務重大となる。けだし走者の多き時は遊技いよいよ複雑となるにかかわらず球は終始ただ一個あるのみなればなり。今走者と球との関係を明かにせんに走者はただ一人敵陣てきじんの中を通過せんとするがごとき者、球は敵の弾丸だんがんのごとき者なり。走者は正方形(前回の図を参照すべし)の四辺を一周せんとする者にして一歩もこの線外に出ずるを許さずしかしてこの線上において一たび敵の球に触るれば立どころに討ち死除外アウトを遂ぐべし※(始め二重括弧、1-2-54)ここに球に触るるというは防者の一人が手に球を持ちてその手を走者の身体の一部に触るることにして決して球を敵に投げつくることに非ず。もし投げたる球が走者にあたれば死球デッドボールといいて敵を殺さぬのみならずかえって防者の損になるべし※(終わり二重括弧、1-2-55)されば走者がこの危険の中に身を投じて唯一ゆいいつ塁壁るいへきたのむべきは第一第二第三のベースなり。けだし走者の身体の一部この基坐蒲団ざぶとんのごとき者)に触れおる間は敵の球たとい身の上に触るるも決して除外とならず。(この場合において基は鬼事おにごとおかのごとし)故に走者はなるべく球の自己に遠かる時を見て疾走しっそうして線を通過すべし。例えば走者第一基にあり、これより第二基にいたらんとするには投者ピッチャーが球を取て本基(の打者ストライカー)に向って投ずるその瞬間しゅんかんを待ち合せ球手を離るると見る時走り出すなり。この時攫者キャッチャーはその球を取るやいなや直ちに第二基に向って投ずべく第二基人ベースマンはその球を取りて走者に触れんとすべし。走者は匆卒そうそつの際にも常に球の運動に注目しかかる時直ちに進んで険をおかし第二基に入るか退いて第一基に帰るかを決断しこれを実行せざるべからず。第二基より第三基に移る時もまたしかり。第三基より本基ホームベースに回る時もまたしかり。ただし第三基は第二基よりも攫者に近く本基は第三基よりも獲者に近きをもって通過せんとするには次第に危険を増すべし。走者ラナー二人ある時は先に進みたる走者をまずたおさんとすること防者が普通の手段なり。走者三人ある時はこれを満基フルベースという。(一基に走者一人以上留まることを許さず故に走者は三人をもって最多数とす)満基の時打者が走者となれば今までの走者は是非ぜひとも一基ずつ進まざるべからず。これ最も危険なる最も愉快ゆかいなる場合にしてこの時の打者の一撃いちげきは実に勝負にも関すべく打者もし好球をたば二人の廻了ホームインを生ずることあり、もし悪球を撃たば三人ことごとく立尽スタンジング(あるいは立往生という)に終ることさえあるなり。とにかく走者多き時は人は右に走り左に走り球は前に飛び後に飛び局面忽然こつぜん変化して観者をしてその要を得ざらしむることあり。球戯ベースボールを観る者は球を観るべし
ベースボールの防者 防禦の地にある者すなわち遊技場中に立つ者の役目を説明すべし。攫者キャッチャーは常に打者ストライカーの後に立ちて投者ピッチャーの投げたる球を受け止めるを務めとす。その最も力をつくす処は打者が第三撃にして撃ち得ざりし時その直球ジレクトボールつかむと、走者の第二ベースに向って走る時ボールを第二基人ベースマンに投ずると、走者ラナーの第三基に向って走る時球を第三基人に投ずると、走者の本基ホームベースに向って来る時本基に出てこれをいとめると等なりとす。投者ピッチャーは打者に向って球を投ずるを常務とす。その正投ピッチの方、外曲アウトカーブ内曲インカーブ墜落ドロップ等種々ありけだし打者の眼をあざむき悪球を打たしめんとするにあり。この外投者は常に走者に注目し走者ベースを離るること遠き時はその基に向って球を投ずる事等あり。投者攫者二人は場中最枢要さいすうようの地をむる者にして最も熟練を要する役目とす。短遮ショルトストップは投者と第三基の中ほどにあり、打者の打ちたる球をさえぎり止め直ちに第一基に向って投ずるをつとめとす。この位置は打者の球の多く通過する道筋なるをもって特にこの役を置く者にして短遮の任また重し。第一基は走者を除外アウトならしむるにもっとも適せる地なり。短遮等より投げたる球を攫み得て第一基をむこと(もしくは身体からだの一部をるること)走者より早くば走者は除外となるなり。けだし走者は本基より第一基に向って走る場合においては単に進むべくしてあえて退くべからざる位置にあるをもって球のその身に触るるを待たずして除外となることかくのごとき者あり。第二基人第三基人の役目は攫者等より投げたる球を攫み走者の身に触れしめんとする者にしてこの間に夾撃きょうげき等面白き現象を生ずる事あり。場右ライトフィルダー場中セントラルフィルダー場左レフトフィルダーのごとき皆打者の打ちたる飛球フライボールを攫み(この時打者は除外となる)またはその球を遮り止めて第一基等に向いこれを投ぐるを役目とす。しかれども球戯きゅうぎは死物にあらず防者にありてはただ敵を除外ならしむるを唯一の目的とするをもってこれがためには各人皆臨機応変の処置を取るを肝要かんようとす。防者は皆打者の球は常に自己の前に落ちきたる者と覚悟かくごせざるべからず。基人ベースマンは常に自己に向って球を投げらるる者と覚悟せざるべからず。
ベースボールの攻者 攻者は打者ストライカー走者ラナーの二種あるのみ。打者はなるべく強き球を打つを目的とすべし。球強ければ防者の前を通過するとも遮止しゃしせらるることなし。球の高くあがるは外観美なれども攫まれやすし。走者は身軽にいでたち、敵の手の下をくぐりてベースに達すること必要なり。危険なる場合には基に達する二間ばかり前より身をたおしてすべりこむこともあるべし。この他特別なる場合における規定は一々これを列挙せざるべし。けだし一々これを列挙したりともいたずらに混雑を加うるのみなればなり。
ベースボールの特色 競漕きょうそう競馬競走のごときはその方法甚だ簡単にして勝敗は遅速ちそくの二に過ぎず。故に傍観者ぼうかんしゃには興すくなし。球戯はその方法複雑にして変化多きをもって傍観者にも面白く感ぜらるかつ所作の活溌にして生気あるはこの遊技の特色なり観者をして覚えず喝采せしむる事多し。但しこの遊びは遊技者に取りても傍観者に取りても多少の危険をまぬかれず。傍観者は攫者キャッチャーの左右または後方にあるをしとす。

 ベースボールいまだかつて訳語あらず、今ここにかかげたる訳語はわれの創意にかかる。訳語妥当だとうならざるは自らこれを知るといえども匆卒そうそつの際改竄かいざんするによしなし。君子くんし幸にせいを賜え。
のぼる  附記
(七月二十七日)





底本:「ことばの探偵〈ちくま文学の森14〉」筑摩書房
   1988(昭和63)年12月20日第1刷
初出:「日本」日本新聞社
   1896(明治29)年7月19日号-27日号
※図の製作にあたっては、「子規全集 第十一卷 随筆一」講談社(1975(昭和50)年4月18日第1刷)を適宜参照しました。
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(大石尺)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(大久保ゆう)
2004年11月4日作成
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