夏の野に幻の破片きらめけり
短夜を※[#「血+卜」、232-3、読みは「たお」か]れし山河叫び合ふ
炎の樹雷雨の空に舞ひ上る
日の暑さ死臭に満てる百日紅
重傷者来て飲む清水生温く
梯子にゐる屍もあり雲の峰
水をのみ死にゆく少女蝉の声
人の肩に爪立てて死す夏の月
魂呆けて川にかがめり月見草
廃虚すぎて蜻蛉の群を眺めやる
●表記について
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