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敵討札所の霊験(かたきうちふだしょのれいげん)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-12 9:22:13  点击:  切换到繁體中文

底本: 圓朝全集 巻の二
出版社: 近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
初版発行日: 1963(昭和38)年7月10日
入力に使用: 1963(昭和38)年7月10日


底本の親本: 圓朝全集 巻の二
出版社: 春陽堂
初版発行日: 1927(昭和2)年12月25日

 

敵討札所の霊験

三遊亭圓朝

鈴木行三校訂・編纂




        一

 一席申し上げます、是は寛政十一年に、深川元町ふかがわもとまち猿子橋さるこばしぎわで、巡礼があたを討ちましたお話で、年十八になります繊弱かよわい巡礼の娘が、立派な侍を打留うちとめまする。その助太刀は左官の才取さいとりでございますが、年配のお方にお話の筋を承わりましたのを、そのまゝ綴りました長物語ながものがたりでございます。元榊原さかきばら様の御家来に水司又市みずしまたいちと申す者がございまして、越後高田えちごたかたのお国では鬼組おにぐみと申しまして、お役は下等でありますが手者てしゃの多いお組でございます。この水司又市は十三歳の折両親に別れ、お国詰くにづめになり、越後の高田で文武の道に心掛けまして、二十五の時江戸詰を仰付けられましたので、とんと江戸表の様子を心得ませんで、江戸珍らしいから諸方を見物致して居りましたが、ちょうど紅葉もみじ時分で、王子おうじたきがわって瓢箪ふくべの酒を飲干して、紅葉を見にく者は、紅葉の枝へ瓢箪を附けて是をかつぎ、なりは黒木綿の紋付に小倉の襠高袴まちだかばかま穿いて、小長こながい大小に下駄穿きでがら/\やって来まして、ちょうど根津権現ねづごんげんへ参詣して、惣門内そうもんうちを抜けて参りましたが、只今でも全盛でございますが、昔からくるわ度々たび/\つぶれましては又再願さいがんをして又立ったと申しますが、其の頃贅沢な女郎じょうろがございまして、吉原の真似をして惣門内で八文字はちもんじで道中したなどと、天明の頃は大分だいぶ盛んだったと云うお話を聞きました。彼方此方あちらこちらを見ながら水司又市がぶらり/\と通掛りますると、茶屋から出ましたのは娼妓しょうぎでございましょう、大島田おおしまだはがったり横に曲りまして、露の垂れるような薄色のこうがいの小長いのをし、びんのほつれ毛が顔へ懸りまして、少し微酔ほろえい白粉気おしろいけのあるところへぽッと桜色になりましたのは、べっして美しいものでございます。緋の山繭やままゆ胴抜どうぬきの上に藤色の紋附のすそ模様の部屋紫繻子むらさきじゅす半襟はんえりを重ねまして、燃えるような長襦袢ながじゅばんあらわに出して、若いしゅに手を引かれて向うへきます姿を、又市はと目見ますと、二十五で血気でございますから、余念もなくしばらく見送って居りましたが、
又「どうも実に嬋娟窈窕せんけんようちょうたる美人だな、どうも盛んなる所美人ありと云うが、実にないな、のくらいな婦人は二人とは有るまい、どうもそのよろけながら赤い顔をしてく有様はどうもたまらぬな、どうも実にはア美くしい」
 と思ってたゝずんで居りますと、うしろから女郎屋じょろや若衆わかいしゅが、
若「えへ……」
又「なんだいうしろからげら/\笑って」
若「如何様いかゞさまでございます、お馴染なじみもございましょうが、えへ……外様ほかさまからお尻の出ないようにお話を致しましょう、えへ……お馴染もございましょうがお手軽様に一晩おうかれは如何で、へい/\/\」
又「何だい貴公は」
若「えへ……御冗談ばかり、遊女屋の若者わかいもので、どうも誠にはやへい/\」
又「遊女屋の若者、成程これは何だね大分左右に遊女屋が見えるが、全盛の所は承知してるが、貴公に聞けば分ろうが、今向うへ少し微酔で、顔へほつれ毛がかゝって、赤い顔をして男に手を引かれて行った美人があるが、れは何かえ遊女かえ、たゞしは堅気の娘のような者かえ」
若「へえ、只今へえ…御縁の深いことで、あれは手前方のおしょくから二枚目をして居ります小増こましと申します」
又「はア貴公の楼名ろうめいは何と云う」
若「へえ……楼名、えゝ増田屋ましだやと申します」
又「成程根津で増田屋と申すは大分名高いと聞くが、左様かえ増田屋で今の婦人は」
若「小増と申します」
又「成程増田屋でましを付けるのは榊原の家来で榊原を名乗るようなもので」
若「いえ左様な大した訳でもござりませんが」
又「国から出たてゞ何も知らぬが、何かえ揚代金あげだいきんのくらい致す、今の美人を一晩買う揚代は」
若「へい/\大概五拾ぴきでございますが、あのおさんは只今売出しで、拾もんめで、お高いようでございますが、のくらいな子供しゅ沢山たんとはございませんな、へい」
又「拾匁、随分値は高いが、拾匁出して彼のくらいな美人を寝かそうと起そうと自由にするのだから、実に金銀は大切な物だのう」
若「えへ、まず兎も角もおあがり遊ばしては如何」
又「だがあがりもしようが、婦人をそばへ置いてたゞ寝る訳にもかんが、何か食物しょくもつを取らんではならんが、酒と肴はどのくらいな値段であるか承わって置こう」
若「えへ……御存じ様でございましょう、おとぼけなすって、お小さい台は五拾疋でございます、大きい方は百疋で、中には六百文ぐらいのおやすいのもございます」
又「ふう百疋、成程よい遊女を揚げればいのを取らなければならんのう、成程それでは酒は別だろうな」
若「へい召上りませんでもまず一本は付けます」
又「百疋で肴は何のくらいなのが付くな」
若「へ……おとぼけでは困りますな、大概遊女屋の台の物はきまって居りますが、小さい鯛が片へらなどで、付合つけあわせの方が沢山でございます」
又「それは高いじゃアないか、越後の今町いまゝちでは眼の下三尺ぐらいの鯛が六十八文で買える」
若「御冗談ばかり仰しゃいます」
又「厄介になろう」
若「有難う存じます、おあがんなさるよ」
「あいー」
 とん/\/\と二階へあがると引付座敷ひきつけざしきへ通しましたが、又市は黒木綿の紋付に袴を穿いたなりで、張肘はりひじをして坐って居ると、二階廻しが参りまして、
婆「おやおでなはい」
又「初めて、手前てまい水司又市と申す者、勝手を心得ぬから何分頼む」
婆「何でございますねお前さん、瓢箪ひょうたんを紅葉の枝へ附けてお通んなはいましたねえ、滝の川へいらっしゃったの、御様子のいことゝ云ってお噂をして居たのですよ」
又「左様か、お前は当家の家内かな」
婆「おや厭ですよ、私は二階を廻す者です」
又「なに二階を廻す、この二階を」
婆「あれさ力持じゃアございません、本当に小増さんをお名指なざしひどいじゃアございませんか」
又「何が苛い、買いたいと思ったからあがったわ」
婆「本当に外で見染めて揚るのは一ばん縁が深いと申します、本当にお堅過ぎますよ、お袴をお取りなさいよ」
 と云ううちに小増が出て参りまして、引付ひきつけも済んで台の物が這入はいりますから、一猪口いっちょこって座敷も引け、床になりましたが、もとより田舎侍でありますから、小増は宵に顔を見せたばかりで振られました。


 

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