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若菜集(わかなしゅう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-11 9:21:08  点击:  切换到繁體中文

底本: 藤村詩集
出版社: 新潮文庫、新潮社
初版発行日: 1968(昭和43)年2月10日
入力に使用: 1997(平成9)年10月15日55刷
校正に使用: 2003(平成15)年9月5日61刷

 

こゝろなきうたのしらべは
ひとふさのぶだうのごとし
なさけあるてにもつまれて
あたゝかきさけとなるらむ

ぶだうだなふかくかゝれる
むらさきのそれにあらねど
こゝろあるひとのなさけに
かげにおくふさのみつよつ

そはうたのわかきゆゑなり
あぢはひもいろもあさくて
おほかたはかみてすつべき
うたゝねのゆめのそらごと

一 秋の思


  秋

秋は
  秋は来ぬ
一葉ひとはは花は露ありて
風の来てく琴の音に
青き葡萄ぶどうは紫の
自然の酒とかはりけり

秋は来ぬ
  秋は来ぬ
おくれさきだつ秋草あきぐさ
みな夕霜ゆふじものおきどころ
笑ひの酒を悲みの
さかづきにこそつぐべけれ

秋は来ぬ
  秋は来ぬ
くさきも紅葉もみぢするものを
たれかは秋に酔はざらめ
智恵ちえあり顔のさみしさに
君笛を吹けわれはうたはむ

  初恋

まだあげめし前髪まへがみ
林檎りんごのもとに見えしとき
前にさしたる花櫛はなぐし
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅うすくれなゐの秋の
人こひめしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋のさかづき
君がなさけみしかな

林檎畑のの下に
おのづからなる細道ほそみち
が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

  狐のわざ

庭にかくるゝ小狐の
人なきときによるいでて
秋の葡萄の樹の影に
しのびてぬすむつゆのふさ

恋は狐にあらねども
君は葡萄にあらねども
人しれずこそ忍びいで
君をぬすめるわが

  髪を洗へば

髪を洗へば紫の
小草をぐさのまへに色みえて
足をあぐれば花鳥はなとり
われにしたが風情ふぜいあり

目にながむれば彩雲あやぐも
まきてはひらく絵巻物えまきもの
手にとる酒は美酒うまざけ
若きうれひをたゝふめり

耳をたつれば歌神うたがみ
きたりてたまふえを吹き
口をひらけばうたびとの
一ふしわれはこひうたふ

あゝかくまでにあやしくも
熱きこゝろのわれなれど
われをし君のこひしたふ
その涙にはおよばじな

  君がこゝろは

君がこゝろは蟋蟀こほろぎ
風にさそはれ鳴くごとく
朝影あさかげきよ花草はなぐさ
しき涙をそゝぐらむ

それかきならす玉琴たまごと
一つの糸のさはりさへ
君がこゝろにかぎりなき
しらべとこそはきこゆめれ

あゝなどかくは触れやすき
君が優しき心もて
かくばかりなるわがこひに
触れたまはぬぞうらみなる

  かさのうち

二人ふたりしてさす一張ひとはり
傘に姿をつゝむとも
なさけの雨のふりしきり
かわくもなきたもとかな

顔と顔とをうちよせて
あゆむとすればなつかしや
梅花ばいかの油黒髪くろかみ
乱れてにほふ傘のうち

恋の一雨ひとあめぬれまさり
ぬれてこひしき夢の
染めてぞ燃ゆる紅絹もみうらの
雨になやめる足まとひ

歌ふをきけば梅川よ
しばしなさけを捨てよかし
いづこも恋にたはぶれて
それ忠兵衛ちゅうべえの夢がたり

こひしき雨よふらばふれ
秋の入日の照りそひて
傘の涙をさぬ
手に手をとりて行きて帰らじ

  秋に隠れて

わが手に植ゑし白菊の
おのづからなる時くれば
一もと花の暮陰ゆふぐれ
秋にかくれて窓にさくなり

  知るや君

こゝろもあらぬ秋鳥あきどり
声にもれくる一ふしを
        知るや君

深くもめる朝潮あさじほ
底にかくるゝ真珠しらたま
        知るや君

あやめもしらぬやみの夜に
しづかにうごく星くづを
        知るや君

まだきも見ぬをとめごの
胸にひそめる琴の
        知るや君

  秋風の歌

さびしさはいつともわかぬ山里に
    尾花みだれて秋かぜぞふく


しづかにきたる秋風の
西の海より吹き起り
舞ひたちさわぐ白雲しらくも
飛びて行くへも見ゆるかな

暮影ゆふかげ高く秋は黄の
きりこずゑの琴の
そのおとなひを聞くときは
風のきたると知られけり

ゆふべ西風にしかぜ吹き落ちて
あさ秋の葉の窓に入り
あさ秋風の吹きよせて
ゆふべのうづら巣にかく

ふりさけ見れば青山あをやま
色はもみぢに染めかへて
霜葉しもばをかへす秋風の
そら明鏡かがみにあらはれぬ

すずしいかなや西風の
まづ秋の葉を吹けるとき
さびしいかなや秋風の
かのもみぢにきたるとき

道を伝ふる婆羅門ばらもん
西に東に散るごとく
吹き漂蕩ただよはす秋風に
ひるがへり行くかな

朝羽あさばうちふる鷲鷹わしたか
明闇あけくれそらをゆくごとく
いたくも吹ける秋風の
はねに声あり力あり

見ればかしこし西風の
山のの葉をはらふとき
悲しいかなや秋風の
秋の百葉ももはを落すとき

人は利剣つるぎふるへども
げにかぞふればかぎりあり
舌は時世ときよをのゝしるも
声はたちまち滅ぶめり

高くもはげし野も山も
息吹いぶきまどはす秋風よ
世をかれ/″\となすまでは
吹きもむべきけはひなし

あゝうらさびし天地あめつち
つぼうちなる秋の日や
落葉と共にひるがへ
風の行衛ゆくへを誰か知る

  雲のゆくへ

庭にたちいでたゞひとり
秋海棠しゅうかいどうの花を分け
空ながむれば行く雲の
さらに秘密をひらくかな

  小詩二首

    一

ゆふぐれしづかに
     ゆめみんとて
よのわづらひより
     しばしのがる

きみよりほかには
     しるものなき
花かげにゆきて
     こひを泣きぬ

すぎこしゆめぢを
     おもひみるに
こひこそつみなれ
     つみこそこひ

いのりもつとめも
     このつみゆゑ
たのしきそのへと
     われはゆかじ

なつかしき君と
     てをたづさへ
くらき冥府よみまでも
     かけりゆかん

    二

しづかにてらせる
     月のひかりの
などか絶間なく
     ものおもはする
さやけきそのかげ
     こゑはなくとも
みるひとの胸に
     忍び入るなり

なさけはくとも
     なさけをしらぬ
うきよのほかにも
     ちゆくわがみ
あかさぬおもひと
     この月かげと
いづれか声なき
     いづれかなしき

  強敵

一つの花にちょう蜘蛛くも
小蜘蛛は花をまもり顔
小蝶は花に酔ひ顔に
舞へども/\すべぞなき

花は小蜘蛛のためならば
小蝶のまひをいかにせむ
花は小蝶のためならば
小蜘蛛の糸をいかにせむ

やがて一つの花散りて
小蜘蛛はそこに眠れども
羽翼つばさも軽き小蝶こそ
いづこともなくうせにけれ

  別離

人妻をしたへる男の山に登り其
女の家を望み見てうたへるうた


たれかとゞめん旅人たびびと
あすは雲間くもまに隠るゝを
誰か聞くらん旅人の
あすは別れと告げましを

きよき恋とやかたがひ
われのみものを思ふより
恋はあふれてにごるとも
君に涙をかけましを

人妻ひとづま恋ふる悲しさを
君がなさけに知りもせば
せめてはわれを罪人つみびと
呼びたまふこそうれしけれ

あやめもしらぬしや身は
くるしきこひの牢獄ひとやより
罪の鞭責しもとをのがれいで
こひて死なんと思ふなり

たれかは花をたづねざる
誰かは色彩いろに迷はざる
誰かは前にさける見て
花をまんと思はざる

恋の花にもたはむるゝ
嫉妬ねたみちょうの身ぞつらき
二つのはねもをれ/\て
つばさの色はあせにけり

人の命を春の夜の
夢といふこそうれしけれ
夢よりもいや/\深き
われに思ひのあるものを

梅の花さくころほひは
はすさかばやと思ひわび
蓮の花さくころほひは
はぎさかばやと思ふかな

待つまも早く秋は
わが踏む道に萩さけど
にごりて待てるわが恋は
清きうらみとなりにけり

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