我々はいまや一所懸命に掘った。そして私はかつてこれ以上に強烈な興奮の十分間を過したことがない。その十分間に、我々は一つの長方形の木製の大箱をすっかり掘り出したのだ。この箱は、それが完全に保存されていることや、驚くべき
それを眺めたときの心持を私は書きしるそうとはしまい。驚きが主だったことは言うまでもない。ルグランは興奮のあまりへとへとになっているようで、ほとんど口もきかなかった。ジュピターの顔はちょっとのあいだ黒人の顔としてはこれ以上にはなれないほど、死人のように
「で、こりゃあみんなあの黄金虫からなんだ! あのきれいな黄金虫! わっしがあんなに乱暴に悪口言った、かわいそうなちっちぇえ黄金虫からなんだ! お
とうとう、私は主従の二人をうながして財宝を運ぶようにさせなければならなくなった。夜はだんだん
一同はもうすっかりへたばっていた。が、はげしい興奮が我々を休息させなかった。三、四時間ばかりうとうとと眠ると、我々は、まるで申し合せてでもあったように、財宝を調べようと起き上がった。
箱は縁のところまでいっぱいになっていて、その内容を吟味するのに、その日一日と、その夜の大部分がかかった。秩序とか排列とかいったようなものは少しもなかった。なにもかも雑然と積み重ねてあった。すべてを念入りに
いよいよ調べが終って、はげしい興奮がいくらか
「君は覚えているだろう」と彼は言った。「僕が
「あの紙の切れっぱしのことだろう」と私が言った。
「いいや。あれは見たところでは紙によく似ていて、最初は僕もそうかと思ったが、絵を描いてみると、ごく薄い羊皮紙だということにすぐ気がついたよ。覚えているだろう、ずいぶんよごれていたね。ところで、あれをちょうど皺くちゃにしようとしていたとき、君の見ていたあの絵がちらりと僕の眼にとまったのさ。で、自分が甲虫の絵を描いておいたと思ったちょうどその場所に、事実、髑髏の図を認めたときの僕の驚きは、君にも想像できるだろう。ちょっとのあいだ、僕はあんまりびっくりしたので、正確にものを考えることができなかった。僕は、自分の描いた絵が、大体の輪郭には似ているところはあったけれども――細かい点ではそれとはたいへん違っていることを知った。やがて蝋燭を取って、部屋の向う
君が帰ってゆき、ジュピターがぐっすり眠ってしまうと、僕はその事がらをもっと順序立てて研究することに着手した。まず第一に、羊皮紙がどうして自分の手に入ったかということを考えてみた。僕たちがあの甲虫を発見した場所は、島の東の方一マイルばかりの本土の海岸で、満潮点のほんの少し上のところだった。僕がつかまえると、強く