您现在的位置: 贯通日本 >> 作家 >> 楠山 正雄 >> 正文

殺生石(せっしょうせき)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-1 12:16:54  点击:  切换到繁體中文

底本: 日本の諸国物語
出版社: 講談社学術文庫、講談社
初版発行日: 1983(昭和58)年4月10日
入力に使用: 1983(昭和58)年4月10日第1刷
校正に使用: 1983(昭和58)年4月10日第1刷

 

    一

 むかし後深草天皇ごふかくさてんのう御代みよに、玄翁和尚げんのうおしょうというとくたかぼうさんがありました。日本にっぽん国中くにじゅう方々ほうぼうめぐりあるいて、あるとき奥州おうしゅうからみやこかえろうとする途中とちゅう白河しらかわせきえて、下野しもつけ那須野なすのはらにかかりました。
 那須野なすのはらというのは十ほうもあるひろひろはらで、むかしはそのあいだに一けんいえく、とおくのほうに山がうっすりえるばかりで、見渡みわたかぎくさがぼうぼうとしげって、きつねやしかがその中でさびしくいているだけでした。玄翁げんのうはこのはらとおりかかると、おりふしあきすえのことで、もうれかけたすすき尾花おばなしろ綿わたをちらしたように一めんにのびて、そのあいだのこった野菊のぎくやおみなえしがさびしそうにのぞいていました。
 玄翁和尚げんのうおしょうは一にち野原のはらあるきどおしにあるいてまだ半分はんぶんも行かないうちに、みじかあきの日はもうれかけて、るそこらがくらくなってきました。このさきいくら行ってもとまいえつけるあてはないのですから、今夜こんや野宿のじゅくをするかくごをきめて、それにしても、せめてこしをかけてやすめるだけの木のかげでもないかとおもって、ゆうやみの中でしきりにましたが、一ぽんのひょろひょろまつさえってはいませんでした。それでもとおもってまたすこし行ってみると、草原くさはらなかに、大きな石のっているのがしろえました。
「やれやれ、これでつゆをしのぐだけの屋根やね出来できた。」
 と玄翁げんのうはつぶやきながら石のそばにってみますと、ちょうど人間にんげんせいたかさぐらいのすべすべしたきれいな石でした。玄翁げんのうは石のあたまかさをかぶせ、くさむすんでまくらにして、つえをわきにせたまま、ころりとよこになりますと、なにしろくたびれきっているものですから、もなくとろとろとねむりかけました。
 するとしばらくして、ねむっているまくらもとで、
和尚おしょうさま、和尚おしょうさま。」
 とかすかにこえがしました。はじめはゆめうつつでそのこえいていましたが、ふとがついて目をあけますと、もう一面いちめんくらやみで、はるかなそらの上で、かすかにほしが二つ三つひかっているだけでした。
「するといましがただれかんだとおもったのは、まよいであったか。」と玄翁げんのうおもって、がりもしずに、そのまま目をつぶってようとしました。するとまたうしろのほうで、こんどはまえよりもはっきり、
和尚おしょうさま、和尚おしょうさま。」
 とこえがしました。
 こんどこそ間違まちがいはないと玄翁げんのうおもって、ひょいとがりますと、どうでしょう、さっきの石のあったところがほんのりあかるくなって、そのかすかなひかりの中にわかい女のような姿すがたがぼんやりえていました。
 玄翁げんのうもさすがにびっくりして、その女にかって、
んだのはあなたですか。あなたはどなたです。」
 とたずねました。
 すると女はかすかにわらったようでしたが、やがて、
「びっくりなさるのはむりはありません。わたしはこの石のせいです。」
 といいました。
「その石のせいがどうしてまよって出てたのです。なにかわたしに御用ごようがあるのでしょうか。偶然ぐうぜんながら、こうして一晩ひとばんのお宿やどねがったおれいに、なにかしてげることがあればなんでもしましょう。」
 と玄翁げんのうはいいました。
 すると女はなみだをはらはらとこぼして、
「あなたはがたいお坊様ぼうさまのようですから、くわしくわたしのはなしいていただいて、その上におねがいがあるのでございます。おきになったこともあるでしょうが、じつはわたしは、むかしなにがしのいんさまの御所ごしょ使つかわれた玉藻前たまものまえというものでございます。もとをいいますと天竺てんじくんだ九のきつねでした。きつねは千ねんたつとうつくしい人間にんげんの女にけるものです。わたしも千ねんこうむと、きれいなむすめ姿すがたになりました。するとある日天羅国てんらこく班足王はんそくおうというおうさまがりのかえりにわたしをつけて、御殿ごてんかえっておきさきになさいました。わたしはながあいだきつねでいた時分じぶん人間にんげんにいじめられとおしてきたことをおもして、ふとわるこころがおこりました。そこであるとき天羅国てんらこくにいろいろと天災てんさいがおこって人民じんみんこまっていると、わたしは班足王はんそくおうにすすめて、これはおはかかみのたたりですから、これから毎日まいにちにんずつ人のくびって、百にちあいだに千にんくびをおはかそなえてよくおまつりなさい。きっとわざわいをのがれることができますといいました。じつは天災てんさいというのもわたしがじゅつをつかってさせたのですが、おうはこれをらないものですから、わたしのいうとおりに、毎日まいにちつみのない人民じんみんを十にんずつころして、千にんくびをまつりました。すると人民じんみんおうをうらんで、あるとき一揆いっきこしておうころしました。そしてわたしをつけて、りにしようとさわぎました。わたしはとうにして、山の中にかくれました。そうしてなんねんかたちました。

[1] [2] 下一页  尾页


 

作家录入:贯通日本语    责任编辑:贯通日本语 

  • 上一篇作家:

  • 下一篇作家:
  •  
     
     
    网友评论:(只显示最新10条。评论内容只代表网友观点,与本站立场无关!)
     

    没有任何图片作家

    广告

    广告