您现在的位置: 贯通日本 >> 作家 >> 小栗 虫太郎 >> 正文

紅毛傾城(こうもうけいせい)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-29 7:18:40  点击:  切换到繁體中文


  恋愛三昧

「それが、乗り込んでから、十八日目の夜のことで、戸外のやみには、恐ろしいあらしえ狂っておりました。冷たい風が、どこからとなくすきをくぐって、ともすると消されがちな、角燈を揺らめかしているのでしたが、私は、なんのことなく椅子いすにかけていて、いつか通り過ぎた、シベリアの村々を夢見ておりました。すると、霧が細かい滴となってかかる、ガラス戸の向こうに、それはおそろしいものが現われたのです。
 どす黒い、斑点はんてんのある、への字形に反りかえった腕が、格ガラスの右端から現われて、今にも、ハンドルに手をかけようとするのです……おお、父はよみがえったのでした。どうあっても、あんな片輪めいた、反り腕の男など、乗組員の中には一人としていないのですから。そう思うと私は、頭の中の血が、サッと心臓に引き揚げたように感じて、クラクラととびらによろめきかかりました。そして、呼吸を落ち着け、しっかりしようと努力しながら、扉に当てた椅子いすに、いつまでかじりついていたことでしょう。
 しかし、父の腕は、その瞬間限り消えてしまいましたけれど、ふとそれにつれて、私の胸にギスリと突き刺さったものがありました。というのは、海に乗り出すと間もなく、船内に、それは得体の知れない、悪疫えやみがはびこってきたからでした」
「悪疫」
 三人は、思わずね上げられたような、声を立てた。
「さようでございます。最初は、二、三日下痢模様が続きますと、骨も髄も抜け果てたようになって、次第に皮膚の色が透き通ってまいるのです。それで、病人たちは、死の近きを知るころになると、きまって船底近い、臥床ふしどからい出していくのです。そして、狂気のようになって、甲板へ出ようとしますけれど、そこには岩のようなくつと、ヒューヒューうなるむちが待ち構えているのでした。でもう、しまいには死の手に押さえつけられてしまって、わずかに首と、弱った頭をもたげるにすぎなくなってしまうのです。
 ところが、それから二度三度と現われた父の手は、いつも決まって、船底に続く鉄梯子てつばしごの方角のほうから現われてくるのでした。それからというもの私は、もしやしたら父と悪疫えやみとの間に、何か不思議なつながりがあるのではないか――ないかないかと、それのみをただ執念しゅうねく考えつめるようになりました。ですから、その軍船の中には、じりじり燃え広がっていく、恐ろしい悪疫と……。それから、野鳥のように子を犯そうとする、煙のような悪霊とが潜んでいるのです。
 打ち沈めて、……お願いですわ。……打ち沈めてくださいまし。それでないと、今にきっとこの島には鳥一羽、寄りつかなくなるに決まってますから」
 次第に調子を高めてきたフローラは、最後の言葉を、つんざくような鋭さで叫んだ。
 すると、応と答えた横蔵が、ばちを取り上げ、太鼓を連打すると、軍船を囲んだ小舟からは異様な喚声があがり、振り注ぐ火箭ひやが花火のように見えた。
 そうしてしばらくの間、アレウート号の炎は、いろいろな形に裂け分かれて、真紅の模様を、輝く水面に刻み出していたが、やがて波紋が積もり重なり、柔らかな鏡のようになると、わずか突き出たマストの先に、再び海鳥が群がりはじめた。
 こうして、フローラを忌まわしくも追い続けた悪霊の船、悪疫を積んだアレウート号は、再び水面に浮かぶことがなかったのである。
 その間、ちらつく火影の中で、紅琴はフローラの物語を聴き続けていた。
「でございますもの。私がいつか、あの船を逃れよう逃れようとしたって、無理ではございませんでしょう。ところが、そうこうともだえているうちに、計らずも今朝、黄金郷エルドラドーの輝きを望見したのでございます。
 それは、白夜がはじまろうとする白っぽい光の中で、島の頂きを覆う金色の輪が、かさのように広がり縮んでいて、それは透かし絵の、影像のように見られたのでした。しかし、その冷たい湿っぽい感覚が、私の肺臓にずうんとしみわたりました。逃れるのはいま――私は、からっぽい両に汗を浮かべて、病を装おうと決心しました。それからが、こうして、手厚いおもてなしをいただく仕儀にございます。どうかいつまでも、下碑はしためになりと、御手元にお置きくださいませ」
 永々と続いた、フローラの物語は終わった。
 ちょうどそれは、鏡に吹きかけた息のようなものであった。彼女をおびやかした、忌まわしい悪夢の世界は、すべて何もかも、海中に没し去ってしまったのである。
 そうしてフローラは、新しい生活を踏み出すことになった。
 しかし、ベーリングをはじめ、彼女さえも遠望したという黄金郷エルドラドーの所在は、ついに、この島のどこにあるのか明らかではなかった。それは、フローラという緑毛の処女が、そもそも神秘的な存在であるように、黄金郷という名を、聴いただけでさえ、三人は竜巻たつまきの中に巻き込まれたような気がしたらしい。
 ところが、その翌日から、フローラをめぐって、この島には激しい情欲のうずが巻き起こることになった。
 その翌日――フローラがすがすがしいの光に眼覚めたとき、浜辺のほうから、異様な喚声が近づいてくるのを聴いた。
 見ると、彼女はハッとなって胸を抱きしめた。そこには、土人たちに取り巻かれて、昨夜運命を、船と共に決したとばかり思われたグレプニツキーが、無残な俘虜ふりょ姿をさらしているのだ。
 首には、流木の刺股さすまたをくくりつけられ、頭はまた妙な格好で、高く天竺てんじく玉に結び上げられている。そしてこの黄色い顔に、ほこらのような眼をした陰気な老人は、突かれては転びながら、次第に岩城いわしろさして近づいてくるのである。
 けれども、それから始まった、横蔵の火の出るような尋問も、ついに効果はなかった。
 やはり彼も、フローラと同じことを言うのみで、黄金郷エルドラドーの所在は、依然迷霧の中に閉ざされているのであった。それから、グレプニツキーは、土人小屋に収容されたが、さかしい紅琴は、早くもただならない、二人の気配を悟ることができた。
「そもじ二人は、小さいながら、このラショワ島が一国であるのを忘れたとみえますのう。総じて貴人というものは、上淫じょういんたしなむのです。そなた二人は、にじとだに雲の上にかける思いと――いう、恋歌を御存じか。そのとおり、王侯のきさきさえも、犯したいと思うのが性情ならいなのじゃ。そのゆえ、遊女には※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)じょうろう風のよそおいをさせて、太夫だゆう様、此君このきみ様などともいい、客よりも上座にすえるのです。それも、一つには、客としての見識だろうと思いますがのう。くれぐれも、女子の情けを、ひどう奪ってはなりませぬぞ。それで、今日この今から、フローラを太夫姿にして、私は、意地と振り(客と一つ寝を拒む権利)を与えようと思うのです。相手の意に任せながら、そのかきを越えてこそ、そもじ二人は、この島の主といえるのじゃ」
 昨夜に続いて、再びこの島にも、聞くも不思議な世界が、ひらかれいこうとしている。
 それは、横蔵、慈悲太郎のひとみの底で、ひそかに燃え上がった、情けのほむらを見て取ったからであろうか、二人の争いを未然に防ごうとして、紅琴が、世にも賢しい処置に出たのであった。そして、フローラには、あわただしい、春の最初の印象が胸を打ったのである。
 ぬれた、青葉のような緑の髪を、立兵庫たてひょうごに結い上げて、その所々に差し入れた、後光のようなこうがいに軽く触れたとき……フローラの全身からは、波打つような感覚が起こってきた。またそうした、恋の絵巻の染めいろを、自分のまゆ碧々あおあおとした眼に映してみると、その対照の香り不思議な色合いに、われともなくフローラは、美の泉を見いだしたような気がした。
 彼女は、ハッハと上気して、腰を無性にもじもじ回しはじめた。
 それから、床着とこぎの黄八丈を着て、藤紫の上衣を重ね、結んだしごきは燃え立つようなくれない。そのしどけなさ、しどけなく乱れたすそ、燃え上がる裾に、白雪と紛うふくらはぎ。やがて、裲襠うちかけを羽織ったとき、その重い着物は、黄金と朱の、激流を作って波打ち崩れるのだった。
 こうして、フローラに太夫姿が整えられると、悩ましかった過去の悪夢も、どこかへ消え去ってしまった。
 彼女は、二つの世界の境界を、はっきりとまたぎ越えて、やがて訪れるであろう恋愛の世界に、身も世もなく酔いれるのだった。
 けれども、翌日から彼女を訪れるものは、やはり横蔵であって、慈悲太郎は、自分から近づくような気振りを見せなかった。それが、フローラの影法師を抱きしめて朦朧もうろうとした夢の中で楽しんでいるように見えたのである。
「のうフローラ、そなたとこうして、恋のはじめの手習いをするにつけて、つくづく近ごろは、沖に船が、通らねばよい――とのみ念ずるようになった。したがそなたは、わしの髪ばかりをいていて、なぜにこちらを向いてくれぬのじゃ。察してくりゃれよ。日がなそなたの呼吸を、首ばかりでのう、いでおる儂をな」
 と、横蔵が、恨みがましい言葉を口にしたように、何よりフローラは、彼の艶々つやつやしい髪の毛に魅せられてしまったのだ。
 海気に焼け切った、横蔵の精悍せいかんそのもののような顔――鋭く切れ上がったまなじり、高く曲がった鼻、硬さを思わせる唇にもかかわらず、その髪は、豊かな大たぶさにも余り、それが解かれるとき、腕に絡んで眠る水精のように思われたのだった。
 しかし、それには理由があって、以前大陸の東海岸に近いある町で、偶然フローラは、一枚の木版画で日本という国を知ったのであった。
 それには、顔に檜扇ひおうぎを当てた、一人の※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)じょうろうが、丈なす髪を振り敷いて、几帳きちょうの奥にいる図が描かれてあって、それに感じた漠然ばくぜんとしたあこがれが、いまも横蔵の、美しい髪を見るにつけ意識するともなく燃え上がったのであった。
「ホホホホ、おむずかりもほどになさいませ。いま一のいとをしめて、私調子を合わせたばかりのところでございますわ」
 と華奢きゃしゃな指に、一筋髪を摘まんで、輪になったそれをほぐしながら、
「ではいっそのこと、合わせ鏡をしたら……。それほど、私の顔を御覧になりたいのなら――、いかがでございますか」
 と持ち添えた、二つの鏡をほどよく据えて、前方の一つ――なかに映った横蔵の顔を、じっとのぞき込んだときだった。
 何を見たのかフローラは、アッと叫んで、取り落としてしまった。なぜなら、そこに映ったのが、銅々あかあかと光った、横蔵の半面と思いのほか、意外にも、奇怪を極めた絵となって飛びついてきたからだ。すでに、海底の藻屑もくずと消えたはずの父ステツレルの顔が、つぶれた左眼を暗くくぼませて、寒々とこちらを見返しているのだ。
 その黄色い皮膚、薄汚い襞々だんだらは、まるで因果絵についた、折れ目のように薄気味悪く、フローラは全身の分泌物を絞り抜かれたような思いだった。それからフローラは、邪険に横蔵を追いやって、その折回廊を、慈悲太郎が通り過ごしたのも意識するではなく、ただただ父の名を呼び、いつまでも、しびれたように座っていた。
 その一瞬の間に、彼女の眼は別人のように落ちくぼんでしまった。
 鉄の輪が、いつもこめかみを締めつけているように感じ、舌は、熱病のような味覚を持っていた。しかし、そうしているうちに、ふと横蔵の迫り方を思うと、いつかチウメンで出会った、あの恐怖がしくしくと舞いもどってきた。
 父の影を持つ男――それに、いつか身を任さねばならないとすれば、神かけても彼女は不倫から逃れねばならない。そう思うと、フローラはすっくと立ち上がって、一つの恐ろしい決意を胸に固めたのである――あのいとわしい幻影を殺すために、まったく不思議な心理、信ぜられない潔癖のために、彼女は、横蔵に生存を拒まねばならないのだ。
「のうフローラ、姉の才量で、今日から城内に、グレプニツキーを入れることにした。そして、黄金郷の在所ありかを、じわじわ吐かせることに決めたのじゃ」
 と言った横蔵の唇が、いつになく物懶ものうげであったように、それから数日後になると、果たしてステツレルの出現と合わしたかのごとく、城内には、悪疫えやみの芽がえはじめてきた。
 それは壁という壁から立ち上がる、妖気ようきでもあるかのように、最初横蔵に発して、さしも頑強がんきょうな彼も、日に日に衰えていった。きりのようなひげが、両ほおを包んで、灰色がかった皮膚から、一日増しに弾力が失われていくのだ。
 したがって、フローラの決意も、やがて下ろうとする自然の触手を思うと、いつか鈍りがちになるのも無理ではなかった。
 ところが、それから一月後のある朝、思いがけなく横蔵が、胸に短剣を突き立てられ、うねくる血に彩られた、無残な姿を発見された。
 その日は、垂れこめた雲が、深く暗く、戸外は海霧ガスと波の無限の荒野であった。その夜慈悲太郎はフローラと紅琴を前にして、彼が耳にした、不思議な物音のことを語りはじめた。
「ちょうど、とらの刻の太鼓を聴いたとき、風にがたつく物の響き、兄の吐くうめきの声に入り交じって、それは、薄気味悪い物音を聴いたのじゃ。のう姉上、わしの室のとびらの前を離れて、コトリコトリと兄のいる、隣室に向かう足音があったのだ」
「いやいや、何かそちは、空想そらごとにおびやかされているのであろうのう。気配とやらいうものは、もともと衣としか見えぬ、ちぎれ雲のようなものじゃ」
「ところが、それには歴然れっきとした、明証あかしがありおった……。通例なみの歩き方で、二歩というところが一歩というぐあいで、その間隔あいだが非常に遠いのじゃ、それで、なにか考えながら歩いておったとわしは推測したのだが……」
「おお、それでは……」
 とフローラは、いきなり紅琴の腕をつかんで、けたたましく叫んだ。
「それでは、父の亡霊が歩んでいたとおっしゃるのですか。中風を患った父は、不自由なほうの足を内側から水平に回して、弧線を描きながら運ぶので、自然そんなぐあいに聞こえるのでございますよ。ああ、あの父が、チウメンで殺された、アレウート号といっしょに、沈んだはずだった父が……」
 フローラは、心痛と恐怖のあまり、歯はがちがちと打ち合い、乾いた唇から、しゃがれたうめき声を立て続けるのだった。
 しかし、不倫の悪霊ステツレルは、どうしたことかそれなり姿を現わさなかったし、また横蔵の、下手人とおぼしいものも発見されなかった。
 そうして、いつとなく思い出さえも薄らいでしまって、今ではフローラも、慈悲太郎の唇を、おのが間にはさむような間柄なかになった。
 慈悲太郎は、兄とはちがって、白いふっくらとした肉で包まれ、むしろ、女性的に見えるのだが、その弾力、薄絹のような滑りに、フローラはじりじりと酔わされていった。
 その日は、空が青い光を放ったように思われ、波濤はとうの頂きが、薔薇ばら色のうねりを立てていた。
「こうして、白い雪のようなお肌の上に、手を置いておりますと、私の手が、なんとなく汚らしく、それに、黄色く見えるようでございますわ。早く奥方様のお許しをうけて、あなた様のお肌をほんとうに、私のものとしたいくらいでございますのよ」
 と悩まし気な、視線を彼に投げ、ほんのりと、紅味に染んだ見交わしの中で、その眼は、あおい炎となって燃え上がった。そして、片肌を脱がせ、しゃ襦袢じゅばん口から差し入れたを、やんわりと肩の上に置いたとき、その瞬間フローラは、ハッとなって眼をつむった。
 彼女は、臆病おくびょう獣物けだものが、何ものかを避けるように飛びのいて、ふたたび、その忌まわしい場所に視線を向けようとはしなかったのである。
 というのは彼女が手を引くと同時に、窓越しに差し出された、一つの、煙のような掌を見たからであった。
 それは、おそらく現実の醜さとして、極端であろうと思われる――いわばちょうど、孫の手といったような、先がべたりと欠け落ちたステツレルのそれであったからだ。
 その夜、徹宵よっぴてフローラは、壁に頭をもたせ、うずくまるようにして座っていた。
 父ステツレルの怪異が――、あの妖怪ようかい的な夢幻的な出現が、時を同じゅうして、いつも、れ果てたときの些中さなかに起こるのは、なぜであろうか。と、いくら考えつめていっても、同じような混沌こんとん状態と同じような物狂わしさは、いっかな果てしもなく、ただただ彼女だけが、その真っただ中に、取り残されているのを知るのみであった。
 すると突然、ひゅうひゅうというすさまじい声が、空から聞こえてきた。
 彼女の相手となる、男という男に、あの世から投げる父の嫉妬しっとが、あまねく影を映すとすればいつか彼女にかびが生え、青臭いひつぎに入れられても、その墓標には、恋の思い出一つ印されないに相違ない。もう一度、そうだ……。もし慈悲太郎に、横蔵と同じ運命をたどらせるとすれば、もはや男と呼ばれて、彼女をおびやかす、忌まわしい対象が、この島にいなくなるのだ。
 と思いなしか、前よりもいっそう狂い募る、波の響き、風の音の中から、彼女にそう警告したものがあった。
 しかし、ここに奇異ふしぎというのは、間もなく横蔵の場合と、符合したかのように、慈悲太郎が悪疫にたおされてしまったからである。
 そして、季節も秋近く、そろそろ流氷のとどろきがしげくなったころ――、その日は、暮れるとともに、恐ろしい夜となって展開した。
 一刻一刻と風は高まり、海は白いあわをかぶって、たてがみのような潮煙を立てた。その時、異様な予感にそそられて、フローラは頭をもたげ、部屋の濃いやみの中をじっとのぞきはじめた。それは、あらしの合間を縫って、どこからともなく響いてくる、漠然とした物音があったからだ。
 そうして彼女は、その夜更けに、ふと慈悲太郎との部屋境にある、格ガラスを透かして、時折り青白いはためきをする、蝋燭ろうそくの炎を見つめているうちに、いきなり、激しい恐怖の情に圧倒されてしまった。
 見ると、扉がいつの間に開かれたのであろうか、荒れ狂う大風に伴った雨の流れが、その格ガラスの上に、ドッと吹きつけたのである。と思うと、瞬間おどろと鳴り渡った響きの中から、見るもんだ蒼白あおじろい腕が――しかも、指のひしゃげつぶれた、反り腕の父のそれが――フローラの眼をかすめて、スウッと横切ったのであった。

上一页  [1] [2] [3] [4] [5] 下一页  尾页


 

作家录入:贯通日本语    责任编辑:贯通日本语 

  • 上一篇作家:

  • 下一篇作家:
  •  
     
     
    网友评论:(只显示最新10条。评论内容只代表网友观点,与本站立场无关!)
     

    没有任何图片作家

    广告

    广告